「完全に騙されました!」TikToker書店員はなが推薦する、ミステリ小説『右から二番目の夏』

文芸・カルチャー

公開日:2022/10/25

右から二番目の夏
右から二番目の夏』(梅野小吹/KADOKAWA)

これは最高のミステリ小説!
タイトルから青春ものかな? と思いましたが、完全に騙されました!笑

もう夢中で読んでしまった!!
あの時こうすれば良かった、そんな後悔を経験したことある人にめちゃくちゃ心に響くと思います!

物語のあらすじは、主人公キリは幼い頃に幼馴染を亡くし、
高校生になった今も塞ぎ込んだまま。
生きる気力もなくただ毎日を過ごすだけ。
そんなキリの元に1人の少女がやってくる。

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「姉は事故ではなく誰かに殺された」

幼馴染の妹を名乗る彼女、雪音から突然告げられるその一言。

幼馴染の天音が死んだのは当時みんなが集まっていた隠れ家「秘密基地(ネバーランド)」の近く。
誕生会の最中、喘息の発作が出てしまったキリを助けようとし、川に落ちてしまった天音。
自分が喘息の薬を忘れたから、それで水を汲んでこようとした天音が足を滑らせて川に落ちてしまった。

自分が喘息の薬を飲んでいれば天音は助かった。
つまり天音を殺したのは自分だ。

キリはそのことを雪音に伝える。
そして、それを今でも後悔していると。
そんなキリに雪音はとんでもない提案をする。

姉を救うために、タイムリープしませんか? と。

タイムリープの条件は3つ。
・後悔している過去を鮮明に思い描くこと。
・後悔した日と結びつく「何か」を用意すること。
・以上2点をふまえた上で秘密基地(ネバーランド)の窓をくぐること。
過去に行くための手段は「後悔した日と結びつく”何か”」を用意すること。

キリは戸惑いながらも、天音を救えるならとその誘いに乗る。
そしてキリは過去に戻り、喘息の薬を飲む。

そしてここからがマジで面白い!
過去を変えたはずなのに、未来に戻ってきても天音はあの日に死んでいた。
つまり自分の喘息は天音の死には関係ない。
「天音を殺した」犯人は別にいる。

鍵となるのは幼馴染が亡くなった誕生日会。
当時は事故死とされていたそれは、調べれば調べるほどに誰かに殺されたとしか思えなくなる。容疑者は誕生日会に集まっていた友人達。当時つるんでいた仲間の中に、幼馴染を殺した犯人がいる。

キリはまた過去に戻り友人達の行動を観察し、天音の死につながりそうな可能性を潰していく。そうすることで変わっていくのが現在の自分の状況。仲の良かった友達は疎遠になっていたり、逆に接点がなかった人との繋がりができていたり、そしてあの頃はわからなかった友人達の悩みや苦悩も知っていく。

そして犯人に辿り着くのですが、
そこで物語は終わりじゃなかった…。

各ジャンルの面白さがふんだんに詰まった青春SFミステリ小説本でした!

文=書店員はな