オーブンや蒸し器でかんたんに作れる!「蒸しショウガ」の作り方/お医者さんがすすめる 不調を治す10倍ショウガの作り方
公開日:2022/12/29
蒸し器を使った蒸しショウガの作り方
ショウガを蒸してから乾燥させるのは、ショウガに含まれている薬効成分のジンゲロールを加熱・乾燥工程でショウガオールに変えるためです。ジンゲロールは100℃以下で加熱すると、一部がショウガオールになります。5分加熱しただけで、もともと含まれていたショウガオールが1.5倍になるという実験結果があります。
ジンゲロールとショウガオールの化学構造式は非常によく似ていて、ジンゲロールから水分子がひとつ取れたものがショウガオールです。そのためジンゲロールからショウガオールを生成する反応は「脱水反応」と呼ばれます。
加熱してショウガオールを増やしたショウガは、乾燥工程でさらにショウガオールを増やしていきます。乾燥はすなわち水を取り去ることですから、脱水反応が促進されるわけです。この化学反応を家庭でもできるようにしたのが、蒸しショウガです。
作り方

①ひねショウガを洗い、皮の汚れた部分だけをそぎ落とします。
皮のすぐ下に薬効成分がたくさんあるので、皮はなるべく取りません。黒くなっているところだけを包丁やピーラーで取り除くくらいでいいでしょう。

②次に、ショウガをスライスします。厚さは1ミリくらいで、できるだけショウガの縞模様に平行に包丁を入れます。ショウガの繊維は固いので、包丁を滑らせないように充分気をつけてください。

③スライスしたショウガを蒸します。蒸し鍋や蒸籠にクッキングシートを敷き、ショウガが重ならないように並べます。鍋に水を入れ、火にかけて蒸気が勢いよく上がってから30分くらい蒸します。できあがりの目安は、ショウガの香りが甘くなったことでわかります。
ジンゲロールは加熱するとショウガオールのほかにジンゲロンという香り成分も生成するのですが、甘い香りはこのジンゲロンの匂いです。

④蒸し上がったショウガを、乾燥します。天日で干す場合は、清潔な台の上にクッキングペーパーなどを敷き、ショウガを重ならないように並べて干します。
ただし、天気が変わって雨が降ったりしたら、すぐに取り込まなくてはなりません。その点便利なのは、キャンプ用品店などで売っている食器乾燥用の干し網です。3段くらいになっていて、全体が網で覆われているため、天日干ししている最中に雨が降り出したり、夜になったりしたら、そのまま室内に持ち込んでどこかにぶら下げておくだけで、室内干しができます。
天日干しなら1日、室内干しなら1週間くらいで蒸しショウガが完成します。乾燥が充分でないとカビが生えやすくなるので、全体がカリッとした状態になるまでしっかり乾燥させましょう。
ちなみに、ここで紹介したキャンプ用の干し網は、もともとは釣った魚を開いて干物にするための道具でした。魚を干すとハエがたかったり、鳥に狙われたりするので、こうした道具が作られたのでしょう。
ですから、近くにキャンプ用品店がない場合は、釣り道具店をのぞいてみるといいかもしれません。もちろん、アウトドア用品を扱っているネットショップでも売られています。価格は1000円くらいです。
蒸し器で蒸す場合、一度に蒸すことができるのは生ショウガ100グラムくらいでしょう。それ以上の量を一度に作るなら、何段も重ねられる蒸籠が便利です。中華料理の飲茶が好きなら、持っていてもいいかもしれません。
繰り返しになりますが、電子レンジは絶対に使わないでください。かつて、乾燥工程を楽にしようとして電子レンジを使った人がいましたが、電子レンジでの加熱は、乾燥したショウガが燃え出す可能性が高いのでとても危険です。
電子レンジの利用は、シリコンスチーマーなどの器具を使った蒸し工程にとどめておきましょう。シリコンスチーマーでの蒸し工程は、このあと説明します。
<第6回に続く>