指で絵本の世界を大冒険! 指先を使って脳の発達もうながす『ゆびさんぽ』

文芸・カルチャー

公開日:2023/3/1

ゆびさんぽ
ゆびさんぽ』(まつざきしおり/KADOKAWA)

 参加型絵本にはいろいろありますが、“ゆびでさんぽする”という興味深い絵本が登場しました。その名も『ゆびさんぽ』(KADOKAWA)。仕事柄さまざまな絵本を読んできましたが、指でお散歩するのははじめて。手に取ってみると、絵がとても可愛らしい! 現役ママイラストレーター、まつざきしおりさんによる初の絵本作品だといいます。

 可愛い~面白そう~と絵本をじっくりと眺めていたら、近くで遊んでいた6歳の息子が「何なに? それ読むの?」と興味深そうに寄ってきました。6歳男子も惹かれるくらいなので、もっと小さなお子さんたちもこの絵に心を奪われるのでは…と感じました。文章による説明はそこまで多くない絵本なので、赤ちゃんから遊べそうです。

ゆびさんぽ

 中身は横開きではなくダイナミックな縦開き。それによって、指で散歩をする動きがスムーズになるとか。さあ、人差し指と中指の2本を床につけ、人間の足のように立てながら…絵本の上をトコトコ歩き、時にはトントンと跳びながら進んでいきましょう。

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 このページは、青信号になった横断歩道をみんなで渡ります。はじめにボタンを押す、というのが本物みたいでいいですね。

ゆびさんぽ

 息子のお気に入りは、石の上をぴょんぴょんと跳んで向こう岸へ渡るページ。ゴールでは旗を持ったカエルさんが待っています。石には動物やのりもの、お花など、いろいろなかたちがあるのがポイントで、息子は何度やっても「こっちを通ってみよう」とクジラの石をマストで通ります。そしてゴールに着くと「よっしゃ!」とうれしそう。息子から「石から落ちるなよ」と言われながら、参加をせがまれました。親子で遊べるのもうれしいポイント!

ゆびさんぽ

 可愛らしい鍵盤が描かれたページも。ピアノの階段をドレミファソラシド~♪ と歌いながら上れます。猫たちも賑やかにふああ~と合唱したり、ラッパを演奏しています。

 説明の文章を読む前から、息子がドレミファソラシド~と歌い出したのでびっくり。教えたことがなかったので、この歌声を聴けたのは親として収穫でした。そして、一番上まで上ったら今度は「ドシラソ“ラ”ミレド~」と何も言わずに下りてきたので、もう一度びっくり。“ファ”が“ラ”になってしまったのは、ご愛嬌ということで…。

“ゆびさんぽ”でさまざまな世界を冒険

 指で散歩をしながら、ファンタジーの世界から横断歩道や鍵盤などリアルな世界まで、さまざまに広がる世界を冒険できてしまう本書。指先が上手に使えるようになり、脳の発達をうながすという、大きなうれしいおまけつき。

 何度も遊んでみてお伝えしたいのは、夢中になっている子どもを見ている親もうれしい、ということです。各ページに書かれた歩き方や遊び方に素直に反応し、その世界に入り込んで無邪気に声をあげながら楽しそうに遊ぶ姿が、わが子ながらとても可愛いのです。この本を見るたび、喜んで遊ぶ笑顔を思い出すことができそう。隣にいる親もいろいろとおトクな絵本なのです。2本指で遊んだ後は、小さなぬいぐるみや車のおもちゃでお散歩して遊んでも楽しいですよ!

文=吉田あき

◆書誌情報『ゆびさんぽ』(KADOKAWA)
https://yomeruba.com/product/ehon/322209000357.html

◆指であそぶ参加型絵本 『ゆびさんぽ』 紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=ZDU7_VYSHdU

◆ヨメルバの記事もチェック
・「ゆびさんぽ」制作前夜まんが
https://yomeruba.com/news/entry-13871.html
・「ゆびさんぽ」制作秘話インタビュー
https://yomeruba.com/news/entry-13878.html