【累計16万部突破の通い猫アルフィーシリーズ】猫が”猫の学校”を開校し仔猫に授業する猫づくしハートフル物語
公開日:2023/7/18

世界を平和にするのは、猫なのではないかと思う。モフモフとした毛並み、好き勝手に揺れるしっぽ、モチモチとした肉球。猫を愛でているだけで、心が満たされてしまうのは私だけではないはず。でも、猫は自由気まま。私たちはこんなにも彼らのことを愛しているのに、彼らは人間のことなど、気にも留めていない。もし、猫がほんの少しでも、私たちのことを気にかけてくれたとすれば、これ以上の幸せはないのだが……。
いや、もしかしたら、猫も、猫なりに、私たち人間のことを思ってくれているのかもしれない。そんなことを信じさせてくれる物語が、シリーズ累計16万部突破の大人気シリーズ「通い猫アルフィー」だ。灰色猫・アルフィーが複数の家を行き来する「通い猫」として周囲の人々を幸せにしていくこの物語は、私たちの心を温かくする。シリーズ最新第8巻『通い猫アルフィーと3匹の教え子』(レイチェル・ウェルズ:著、中西和美:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)でも、他巻同様、猫たちが巻き起こす奇跡に、優しい気持ちにさせられるだろう。
シリーズをまだ読んでいない方々のために、今までの物語をおさらいしておこう。灰色猫・アルフィーは、老婦人の飼い主を亡くし、ひとりぼっちになったことをキッカケに、たどり着いたエドガー・ロードで「通い猫」として生きることを決意した。だが、目星をつけた人間たちは、何やら問題を抱えているらしい。次第に、エドガー・ロードに住む人間たちのことが放っておけなくなったアルフィーは、猫ならではの方法で、通い先の人々の悩みを次々と解決していく(第1巻)。はじめての恋を経験したり(第2巻)、薄茶と黒の縞の猫・ジョージを実の息子のように可愛がったり(第3巻)、通い先の家族みんなで別荘に出かけたり(第4巻)。たくさんの出会いと別れを経験しながら、アルフィーは他の猫たちと一緒に、いつだって周りのみんなが幸せになるための方法を探している。
最新第8巻では、そんなアルフィーが“猫の学校”を開校する。生徒は、新しく家族に加わった3匹の仔猫。1歳になったばかりの仔猫たちのお世話にてんてこ舞いの日々を過ごしていたアルフィーは、彼らを立派な猫にするために、自分が先生となることを思いついたのだ。
こんなに可愛い学校が他にあるだろうか。ワンパクな仔猫たちと、彼らに振り回されるアルフィーの姿に、思わず笑みがこぼれてしまう。授業を始めようにも、ある仔猫は本棚によじ登り、またある仔猫はカーペットに映る自分の影を追いかけまわし、また別の仔猫は自分のしっぽにじゃれていて、アルフィーのことなど、ちっとも見ていない。どうにか話を聞いてくれても、彼らは、わちゃわちゃと好き勝手におしゃべり。アルフィーがお手本をみせようとしても、生徒たちは、お昼寝してしまい、大事な場面を見逃してしまうこともある。やんちゃ盛りの仔猫たちを教育するのは、とてつもなく大変。アルフィーの思いがちゃんと伝わればいいけれど、仔猫たちは全く違う風に理解してしまったり、大きな事件を巻き起こしたり。その愛らしさに癒されながらも、時にハラハラドキドキ。気づけば、猫たちの奮闘劇から目が離せなくなってしまう。
「人間はぼくたちの面倒を見てくれるけど、本当は、根っこのところではぼくたちが人間の面倒を見てるんだ」
猫好きならば、アルフィーの授業は面白くてたまらない。「ウチの愛猫もそんなことを考えているのかも?」と思わされるものも少なくはない。もしかしたら、アルフィーと同じように、あなたの愛猫も、私たち人間のことを気にかけてくれているのかも? 人間たちを幸せにするために動き回る、アルフィーや仔猫たちの姿を見るにつれて、そんな確信が心に湧いてくる。そして、猫たちが巻き起こす奇跡に感動せずにはいられない。ああ、なんて温かい物語なのだろう。猫好き必読。可愛い猫たちの大活躍を、ぜひともあなたも見届けてほしい。
文=アサトーミナミ