子どもの好奇心が急上昇! 動物園での驚きと発見を体験できる!?『あらしのよるに』作者が描く“新感覚あてっこ絵本”
公開日:2023/7/26

小学1年の息子の懇談会で、「最近の子どもは自分のやりたいことを見つけられない傾向にある」と聞いてドキリとしました。やりたいことがあってこそ、将来の道が開けるというもの。子どもたちに「もっと知りたい」「もっとやりたい」という好奇心を持たせるには、どうしたらいいのでしょうか。

そこで注目したいのが、クイズのように動物をあてっこして子どもの好奇心を育てる絵本『あてっこ どうぶつずかん だれ』(KADOKAWA)です。
作者は、旭山動物園の飼育係として25年間働いた経験をもとに、『あらしのよるに』や『どうぶつえんガイド』などを描いてきた大人気作家、あべ弘士さん。あべさんが描くイラストはどれもユーモラスで、親子共にハマってしまいそうです。
同じネコ科でも大きさはちがう?

この本は、質問と答えが交互にあらわれるクイズ形式で進みます。最初の質問ページには、同じネコ科の動物であるトラとネコの絵が、四角いコマのなかに描かれていました。さすがはネコ科、すこし吊り上がった目、やわらかそうな鼻、長くのびたヒゲなど、お顔の感じがよく似ています。
気になる質問はというと、「おおきいほうは だれ?」。
目の前のトラが大迫力で飛び出す!

次のページをめくると、「トラ」と答えが書かれていました。コマの中にこぢんまり収まっていたトラが、コマから大きく飛び出しています。今にも「ガオ~」という声が聴こえてきそうな迫力! 隣にいるネコも「でかいにゃー」とおどろいています。お子さんも、目の前にいるトラが急に動き出したような躍動感あふれる絵に、目を奪われるのではないでしょうか。
いつのまにか科学的な知識が身に付く

コマに入った動物たちは、後半へ向かうにつれて、だんだん増えていきます。ホッキョクグマ、ノウサギ、カモ、アザラシ、ヘビ、コウモリ、フクロウ、カメと8種類の動物たちが登場するページも。
質問は、「たまごをわって うまれてくるのは だれと だれと だれと だあれ?」。
このあたりになると質問の難易度が上がり、親のほうも「だれと…だれだっけ?」と頭を抱えることに。ですが、この本を何度も読むうちに、お子さんはこんな難しい質問にも答えられるようになるのです。
答えのページには、動物の生態にまつわる科学的な知識がわかりやすく書かれていました。質問の答えだけではなく、その答えの根拠を知ることができるのが、この絵本のポイント。「なぜそうなるのか?」を知れば、「じゃあ、この場合はどうなの?」と好奇心のタネが次々と生まれていきそうです。
動物園をめぐっているような感覚の絵本
元飼育員である作者が描く絵本は、動物のことがくわしく書かれていたり、答えのページで動物が動き出したりして、本のなかで動物園をめぐっているような感覚でした。
わが子は、夜暗くなると元気になる動物を問うページで、「クークー」「ガーガー」と眠っている動物たちの声真似をしていました。動物たちのユニークな表情に愛着が湧いたのだと思います。完全に親バカですが、かわいい…。子どもって本当に動物が好きですよね。
この本は、物事について深く知りたいとき、どんな問いかけをして、何を学べばいいのか、そんな「学び方」や「学習するときの道筋」を教えてくれるような気がします。何度も読んだお子さんは、次は自分でクイズを生み出しているかもしれませんね。
好奇心をくすぐられ、「動物園で答え合わせをしたい」「図鑑を読んでもっと知りたい」など、次のアクションや体験学習をリクエストしてくることもありそうです。夏のお出かけや自由研究にも、役立てたいものです。
文=吉田あき
◆書誌情報『あてっこ どうぶつずかん だれ』(KADOKAWA)
https://yomeruba.com/product/ehon/322211000479.html