倉庫の中で両手両足を縛られた男。どうすればいいのか、悩み抜いた末に出した答えは?【倉庫の男】/意味がわかると鳥肌が立つ話③
公開日:2023/8/21
『意味がわかると鳥肌が立つ話』(蔵間サキ:編著、toai:絵/Gakken)第3回【全13回】
累計460万部を突破した「5分後に意外な結末」の公式ライバルシリーズ「5分後の隣のシリーズ」より、『意味がわかると鳥肌が立つ話』をお届け。一見何気ない物語のようだけど、意味がわかると、その意外な展開に思わずゾワっと鳥肌が…。怖いだけではなく、感動や笑いなど、さまざまなタイプのショートストーリーを収録。読み進めるうちにどんどんはまっていく……「鳥肌」エピソードをお楽しみください。
【怖い場面あり、苦手な人は閲覧注意!】

倉庫の男
人気のない、深夜の埠頭。冷たく並ぶ倉庫たち。そのうちの1つの倉庫の中では、両手両足を縛られた一人の男が転がっている。
なぜ、こんなことになったのか? まったく記憶がない。
だが今は、そんなことよりも、早くこの状況をどうにかすることが先だ。
誰かがこの倉庫に現われる前に、なんとかしなければならない。そのことだけはわかった。
しかし、どうすればいいんだ。悩んだ。
首を左右に激しく振り、頭をかきむしり、悩み抜いた。
「あ゛ぁぁぁっ!!」
声を上げる。男はビクンと身を震わせる。
そして決心した。
もう後戻りはできない。
「やっぱり殺すしかない」
俺は、ポケットからナイフを取り出した。
