「SHERLOCK(シャーロック)」で英語を学ぶ。ベネディクト・カンバーバッチ主演ドラマの生きた会話で学ぶ英文法
更新日:2023/9/27

イギリスの公共放送BBCで制作された『SHERLOCK』。誰もが知る名探偵・シャーロック・ホームズを現代に蘇らせたこのドラマはあっという間に話題になり、現在までシーズン4、映画版までも製作されたという人気ぶりである。主演を務めたベネディクト・カンバーバッチは、この作品で一躍世界的に有名となった。
本家の小説を多分にリスペクトしながら、現代に観るドラマとして練り上げたこの作品は、日本でも高い人気を誇っている。
『SHERLOCKで身につく英文法』(南谷三世:著、スティーヴン・モファット、マーク・ゲイティス:原作/KADOKAWA)は、最近Twitter(現・X)でバズっていた。その名の通り、シャーロックのドラマでのセリフをもとに英文法を身につけようという本である。
英文法は役に立たない? 実は英会話の中でしっかり息づいている
着眼点は面白いけど、会話(セリフ)で成り立っているドラマで英文法を学ぶ? と違和感を覚えた人もいるかもしれない。日本人が学校で習う英文法はどうせ役に立たない、と言われて久しい。しかし、英文法は実は会話の土台である。
英語は、比較的シンプルな言語なため、ニュアンスや時制をくみとらないと、相手の本意がわかりにくい。もちろん、自分の気持ちもきちんと伝えられない。その助けになってくれるのが英文法である。
例えば「過去形」の章では、原作でも人気の女性キャラクター・アイリーンとシャーロックの緊張感あふれるやり取りが登場する。
アイリーン:That camera-phone is my life, Mr.Holmes. I’d die before I let you take it. It’s my protection.
そのカメラ電話は私の命よ、ホームズさん、それをあなたに奪わせる前に私は死ぬわ。それは私のお守りなの。シャーロック:It was.
お守りだった、だ。
王室のスキャンダルが入ったカメラ付き携帯電話を、アイリーンは「自分のお守りである」と現在形で称する。一方でシャーロックはただの過去形で表現し、その電話を持ち帰る。
まさに攻防と言うべき印象的なシーンだが、その一助となっているのが、シャーロックが使う過去形。過去形で言い切ることで「今はもうそうではない」ことを強調しているのだ。
こうした細かなニュアンスは会話でよく起こるが、紙の上で説明するのは難しい。ドラマの1シーンと絡めることで、よりリアルに、使える英語として身につけることができる。
特にこのドラマはセリフが持つ裏の意味、主人公シャーロックをはじめとした登場人物の感情の機微も面白さのひとつである。ドラマを徹底的に楽しみ尽くしたい人にも、この本は大きな助けになってくれるはずだ。
楽しみ方も学び方もいろいろ選べる文法書
トップバッターの「時制」から順に読んでいくのはもちろん、弱点とする項目から読むのもOKだ。
また、引用されているセリフがどのシーズンのエピソードなのか、索引になっているので、好きなエピソードの箇所だけ拾い読みする使い方もできる。
文法書としても説明がわかりやすいし、多少特殊とはいえ、会話文の様々なサンプルが登場し、会話に使える生きた英文法を学べるだろう。念のため言っておくが、『SHERLOCK』はイギリス・ロンドンが主な舞台なので、アメリカ英語には則していないので注意しておこう。
この本を読み終わった後、もう一度『SHERLOCK』を見直してみるのも良いだろう。ドラマの該当シーンを見れば、発音を確認することもできる。それもまた、楽しみ方の1つだ。
シャーロックとイギリス英語に敬愛を!
この本を読んだら、きっとあなたのシャーロック愛はもっと深まるはずだ。
また、シーズン途中で挫折した人、飽きて見るのをやめたという人も、彼らの話す英語の文法を理解することで、ドラマを新たな向き合い方で楽しめるかもしれない(多少ネタバレになるかもしれないけれども)。
もしかしたら、シャーロック・ホームズが謎を解くがごとく、あなたも英文法が読み解けるようになっているかもしれない。
文=宇野なおみ