第1回「薩摩ポッター」/酒飲み独身女劇場 ハッピーエンドはまだ来ない①

文芸・カルチャー

公開日:2024/1/12

 入園前日、ちょうどお世話になっている方の結婚式後のパーティーに呼ばれていたので参加することに。

 カジュアルって書いてあったのでヘアセットだけ美容室でお願いし、私服で参戦したのだが場違い感MAX。

 腰まである黒髪を巻いて見覚えのあるブランドロゴのスーツを身に纏った長身の男性や、身内で固まっている学校のクラスにいても交わらなかった世界線の女性陣や、命令を下されたら「はい!」としか言えなくさせる威厳を放つおじ達。その中でも私服で来ていた私は完全にアウェイだった。

 自由席で立食タイプ。スマホばかり見ていても「何しに来た?」と思われそうだし、行儀が悪い。置物としてやり過ごすのも難易度高めだったので何度バーカウンターに酒を取りに行ったかわからない。

 思いの外、一次会は早めの解散だったのでそそくさと帰ろうとしたら角っこに同じ境遇になっていた知り合いを発見。

 類は友を呼ぶとはまさにこのこと。

 あの場を、あの時間のもどかしさを、共有できる仲間がいることは本当に心強かった。辺りを見渡すとまた端っこに孤独の看板を背負った知り合いを発見。気付けば3人で壁も天井も一面手書きのお品書きだらけの居酒屋に来ていた。

 畳にちゃぶ台、洒落たシャンパングラスではなくレトロなロゴが入ったジョッキで飲むビール。ソースがしっかりすぎるほど染み込んだべちゃべちゃのコロッケ。はい最高。

 人生でビールが美味しかった瞬間ベスト3に入るくらい、環境丸ごと美味しかった。

 同じ傷を負った仲間と打ち解けるのは一瞬だ。あれよあれよと閉店時間にさしかかり、どこも23時前には、お店が閉まっていたので唯一開いていた沖縄料理居酒屋に出向いた。

 そこから全ての帳尻が狂い始めた。

さかむら・ゆっけ、●酒を愛し、酒に愛される孤独な女。新卒半年で仕事を辞め、そのままネオ無職を全う中。引っ込み思案で、人見知りを極めているけれど酒がそばにいてくれるから大丈夫。たくさんの酒彼氏に囲まれて生きている。食べること、映画や本、そして美味しいお酒に溺れる毎日。そんな酒との生活を文章に綴り、YouTubeにて酒テロ動画を発信している。気付けば、画面越しのたくさんの乾杯仲間たちに囲まれていた。