第1回「薩摩ポッター」/酒飲み独身女劇場 ハッピーエンドはまだ来ない①
公開日:2024/1/12
風呂もろくに入れず入園時間まで刻一刻と時が近づいていく。
何度も行くことを諦めようと思ったけれど、チケット代が勿体無い。これがただの紙切れになった時、一体何本のビールが買えるのだろうと…考えるだけで胃痛が悪化しそうなので立ち上がることに。
前夜にセットされていた髪から大量のピンを引っこ抜く。ぶわぁっと束ねられていた髪が春風にゆられたスカートのように広がる。まずいと帽子で塞ぎ込み、いざ出陣。最悪なコンディションだけど、それ以上にハリポタ愛は強かった。
電車に乗る前に何か胃に軽く入れたほうがいいなと思い、ウィダーインゼリーを買って数口だけ流し込んで乗車したら地獄発生。胃が故障中なので消化できないよ〜と別ルートから抜け出そうとしてきたのだ。
耐え難い苦痛に思わず「殺してくれェ」と声が漏れる。でも全部私のせいじゃ…。
もしかして、もしかしてなんだが、ダンブルドアも飲まされてたあの黒い水が盛られた?喉が渇いているのに、何か飲むと危険が走る。私はあの薩摩焼酎を飲み切ることで、何か得られたのだろうか。ちなみに、胃痛が走っている時は無理に何か胃に入れるのではなく飴なんかを舐めて糖質を摂取するのがいいらしい。
死闘を繰り広げた電車を脱出し、ハリーポッタースタジオツアーの入り口にボロボロになった体で無事辿り着いた。入った瞬間にめちゃくちゃ広いお土産コーナーがずらっと広がっていて、完全に映画の中に入っている。さっきまでの胃痛が嘘のようにアドレナリンによってかき消されていく。耐え難い二日酔いの時は、アドレナリンが出るような場所に行くことがおすすめだ。富士急ハイランドなんかどうだろうか。
胃痛もおさまってきたので、お土産コーナーでカチューシャなどを物色していると鏡に映った自分の顔があまりにもパンパンでハツカネズミのようになっていて叫びそうになった。即座にルーナのメラメラメガネを購入して、顔を封印することに成功。
しかし、ここでまたもや問題発生。このメガネのレンズ、右が赤くて左が青くて3Dメガネのようになっていたので再び酔ってきたのだ。しかし、お見せするに耐え難い顔のため、外す選択肢はなく終始ウインクをすることでツアー進行。
ハリー・ポッターで登場したセットがそのまま再現されていて、そこを練り歩くことができるのだけど、とにかくポッタージュニアが多い。
目立つメガネをかけていたせいか、ローブを羽織ったポッタージュニア達に取り囲まれ「お姉ちゃんはハグリッド?」と聞かれて戸惑いを隠しきれなかった。
そこはハーマイオニーだろと。
