おはなし絵本(2024年1月 新刊&おすすめ絵本)
公開日:2024/1/22

小学校低学年になった途端、“絵本迷子”になっちゃうことはありませんか? 児童書を読むのには苦戦するけど、簡単なおはなし絵本では退屈してしまう。そんな揺らぎの時期におすすめしたい、ちょっと背伸びできるおはなし絵本をご紹介します。
幼馴染で同じクラスの男の子に「すきかも」と言われた女の子。初恋前夜の心の動きをチャーミングに描いた『ちゃうちゃう ちゃうねん』。小学2年生の教科書収録でお馴染みの『おてがみ』を英語音声で楽しめる絵本や、漫画のようなコマ割りが親しみやすい『バムとケロ』は、英語絵本の第一歩に。アーノルド・ローベルによる『いろいろへんないろのはじまり』では、色にあふれた美しいラストを通じて、じんわりと心が温かくなるのを体感してもらえるでしょう。
ドタバタ展開に目が離せない『たこをあげるひとまねこざる』も面白がれるお年頃。暴れん坊の男の子の内面世界を描いた『かいじゅうたちのいるところ』は、共感できるお子さまも多いかもしれません。
どんどん一人で本が読めるようになってほしい反面、まだまだ絵本と親しんでほしいと思う複雑な親心。大人にとっても心に響く絵本ばかりなので、一緒に読めば余韻を共有できるいとおしい時間となるはずです。
幼馴染のあっくんに突然「すきかも」と言われたゆいちゃん。「すき」って気持ちを一生懸命考える2人にキュンとする『ちゃうちゃう ちゃうねん』
ちゃうちゃう ちゃうねん
著:もりなつこ 絵:はしもとえつよ
みどころ
「ぼく ゆいちゃんのこと すきかも」と同じクラスのあっくんに言われて、ひっくりかえるほど驚いた、ゆいちゃん。「なんで?」と聞いても「来週おしえるわ」としか言ってくれない。今日は月曜日やで。来週まで1週間もある!
あっくんに理由を教えてもらえないので、ゆいは仕方なく、火、水、木、金……毎日考えます。「ぶたばな、ブヒブヒがじょうずやから?」「だんごむし見つけんの、うまいから?」何を聞いてもあっくんは「ちゃうちゃう、ちゃうねん」。ついに約束の「来週」、月曜日にあっくんがゆいちゃんのところに何かを持ってきます。そして「すきかも」と考えた理由を教えてくれて……。
小学校低学年の子たちにぴったりの絵本。ケンカしたり、笑ったり、学校で助け合ったり……そうやって男の子や女の子関係なく、信頼関係を築いていく一方で、「(特定の子に)何かをしてあげたい」と思う繊細な気持ちも、ちょっとずつ揺れ動きながら育っていくのかもしれません。
もりなつこさんの親しみやすい文章に、照れたり驚いたり表情豊かな子どもたちを、はしもとえつよさんが生き生きと描きます。理由を考え尽くしたゆいちゃんが、日曜日に「わたしがすきなもの」について考えるところが微笑ましいです。ぜひ親子やお友だちとで「すきなもの」についておしゃべりしちゃいましょう。子どもたちの前向きな「すき」に心がほこほこする絵本です。
やんちゃでいたずらっ子のマックスは、怪獣の王様になって空想の冒険へ! 子どもの内面世界を豊かに描いた世界的名作『かいじゅうたちのいるところ』
かいじゅうたちのいるところ
作:モーリス・センダック訳:じんぐう てるお
みどころ
いたずらっこの男の子マックスは、今夜もおおかみのぬいぐるみを着ると大あばれ。
「この かいじゅう!」
おかあさんに怒られても平気で言い返す。
「おまえを たべちゃうぞ!」
とうとうマックスは夕飯抜きで寝室に閉じ込められた。
ところがその部屋に、にょきりにょきりと木が生えだして……気が付けばすっかり森の中。そこへ波が打ち寄せてマックスは船に乗り込んだ。長い時間をかけて航海すると、たどりついたのは「かいじゅうたちの いるところ」。すごい歯をガチガチさせて、うおーーっとほえて、目玉をぎょろぎょろさせ、すごい爪をむきだしている。なんて恐ろしい! でもマックスだって負けていない。
「しずかにしろ!」
怒鳴りつけると、マックスは魔法を使ってあっという間に彼らの王さまになってしまったのだ。彼らは一緒に踊り、遊び、森の中を行進し……。
コルデコット賞を受賞しているこの作品は、国際アンデルセン賞をはじめ、数々の絵本賞を獲得しているモーリス・センダックの代表作。世界中の子どもたちを魅了しつづけているロングセラー絵本です。
なんといっても魅力なのは、威勢のいい男の子マックスとかいじゅうたちの緊張感あるやりとり。あんなに迫力のあるかいじゅうたちが、彼の手にかかると何だか愛らしく見えてくるのです。それでもやっぱり小さな男の子。疲れ切ったあとに思い出すのは……おかあさんの懐かしいあの匂い。
豪快でちょっぴり恐ろしくもあるこの絵本。だけど読めばすっかりその世界に入り込んで夢中になってしまうのは、細かく小さなしかけの積み重ね。くるくる変わるマックスの表情に、本心を読み切れないかいじゅうたちの存在。現実と夢の行き帰り。それは永遠のようでもあり、ほんの一瞬のようでもあり。安堵の気持ちで絵本を閉じ、すぐまた読み返したくなってしまう。大人が読めば、子どもの内面の豊かさを思い出させてくれるような1冊でもあるのです。
ジョージが凧をあげれば……やっぱり! 次々起こるハプニングに、ハラハラドキドキが止まらない『たこをあげるひとまねこざる』
たこをあげるひとまねこざる
作:マーガレット・レイ 絵:H.A.レイ 訳:光吉夏弥
出版社からの内容紹介
ある日,ひとりでるす番をしていたジョージは,窓からウサギ小屋を見つけ,すぐ外に出ていきました.子ウサギとかくれんぼしたり,釣りをして池に落ちたり…そして今度は,たこあげに挑戦します.
日本語のニュアンスを大切にした英語版。日英表記の付録付きで読み比べもできる『Bam and Kero’s Treehouse バムとケロのもりのこや英語版』
Bam and Kero’s Treehouse バムとケロのもりのこや英語版
作:島田 ゆか訳:Christopher Belton
出版社からの内容紹介
近くの森にきいちごをつみにいって、つるくさに覆われた古い小屋を見つけたバムとケロ。修理がとくいななんでもやのソレちゃんといっしょに、もりのこやのおおそうじをはじめます。
大人気の絵本『バムとケロのもりのこや』を、カナダ在住の作者と、40年以上日本で暮らす翻訳者が、バムとケロの世界観を大切に、日本語のニュアンスにこだわってつくった英語版。自然な英語で物語を楽しむことが出来ます。
小学2年生の教科書掲載『おてがみ』をはじめ、有名なおはなしを日英2ヶ国語で『英日CD付 英語絵本 ふたりはともだち Frog and Toad Are Friends』
英日CD付 英語絵本 ふたりはともだち Frog and Toad Are Friends
作:アーノルド・ローベル 訳:三木卓 語り:宮本充、吉田直子 音楽:谷川賢作
出版社からの内容紹介
大人気絵本の「がまくんとかえるくん」シリーズの『ふたりはともだち』が英語と日本語
のCD付きで初登場です! 谷川賢作氏(作曲家・ピアニスト 父は谷川俊太郎)に
とてもピッタリなBGM音楽をつくっていただきました。
小学校で絵本を使った英語活動が増えてきています。教科書に出てくるお話でもあります
ので、はじめて英語にふれるお子様に自信を持ってお薦めします。
もちろん、大人の方にもコーヒーでも飲みながら、ゆったりと聴いていただける内容です。
ちょっと“やり直し英語”ができますよ!
色がない世界 “はいいろのとき”から青、黄、赤が生まれ、世界が色づいていく様子に引き込まれる『いろいろへんないろのはじまり』
いろいろへんないろのはじまり
作・絵:アーノルド・ローベル 訳:まきたまつこ
出版社からの内容紹介
昔、色のない時代がありました。魔法使いが、最初は青、次は黄色、その次は赤の世界を
つくりだします。 でも、一つの色だけでは、なんだか落ち着きません。
そこで色を混ぜ合わせると、どうなったでしょう?
【動画公開中】新たな一年をスタートする一冊 絵本・児童書
文/栗田奈緒子 編集/木村春子