平和を願う絵本(2024年8月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

更新日:2024/8/6

我々、日本人にとって、8月はほかのどの月よりも戦争・平和について考える機会の多い月といえます。それは1945年8月6日に広島、9日に長崎へ原子爆弾が投下された歴史があること、8月15日が終戦記念日であるからです。

2024年は、戦後79年目の年です。当時を知る人々が数少なくなってきている昨今、私たちは戦争の怖ろしさをどのように次の世代に伝えていけばよいのでしょうか。ドラマ、映画、ニュース番組などのメディアはもちろん、絵本もその大切な役割を担っているといえるのではないでしょうか。

今回は、79年前の戦争を描いた残すべきロングセラー絵本をはじめ、動物たちが登場する寓話的物語から戦争の愚かさ、平和について考える絵本、今の世界が抱えている戦争と子どもへの影響などジャンルも多様な絵本・児童書を集めました。

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暑い夏、外に出るのも大変な日は、ぜひ室内で、家族で、平和について考える機会を作ってみてください。

穏やかに日常を過ごす老夫婦に忍び寄る原子爆弾の足音。『スノーマン』レイモンド・ブリッグズが投げかける核兵器の恐怖『風が吹くとき』

風が吹くとき

作・絵:レイモンド・ブリッグズ訳:さくま ゆみこ

出版社からの内容紹介

のどかな老夫婦の日常を一瞬にして引き裂いた原子爆弾。核兵器の恐ろしさをリアルに伝える世界的ベストセラー、新訳で待望の復刊。

昭和20年8月6日、朝ごはんを食べていたみいちゃんが空に見た青白い光。原爆がもたらした消えない苦しみと悲しみ、怒りが迫る『ひろしまのピカ』

ひろしまのピカ

文・絵:丸木 俊

出版社からの内容紹介

昭和20年8月6日、原子爆弾の光が広島の空をつらぬきました。
戦争への怒りと鎮魂と平和への願いをこめて送る絵本。
世界二十数ヶ国で読み継がれています。

第二次世界大戦は終わったのに一向に世界平和へ向かわない人間。怒った動物たちは……ドイツの巨匠・ケストナーが込めた反戦へのメッセージ『どうぶつ会議』

どうぶつ会議

文:エーリヒ・ケストナー絵:W.トリヤー訳:光吉 夏弥

みどころ

「しようがない人間どもだ!」

ゾウのオスカー、キリンのレオポルト、ライオンのアロイスが、北アフリカの湖のほとりで人間たちのニュースに腹を立てています。第二次世界大戦が終わり、世界平和維持のために国際会議を何度開いても、いっこうに成果があがらないのです。

そこで彼らは考えます。人間たちの会議が何の役にも立たないのは、会議のせいではない、人間たちのせいだ。動物たちが会議を開き、平和の道を示すしかない、と。世界中の全ての種類の動物たちを、北アフリカの動物会館に集め、最初で最後の動物会議をひらこうと決心します。スローガンはただひとつ……子どもたちのために!

この絵本が出版されたのは1949年、第二次世界大戦が終わって4年後のこと。子どもたちの未来を祈りつづけたドイツの作家エーリヒ・ケストナーが、数々の作品でコンビを組んできたヴァルター・トリアーと組み、人間たちへの皮肉をユーモアと愛嬌たっぷりに描きだします。

どうして私たち大人は、一番大事なことをすぐに忘れてしまうのでしょう。いつの時代にも通じる普遍的なこのテーマ。子どもも大人も一緒になって考えていかなくてはなりません。

戦争や紛争により自国を離れ、家を失った子どもたち。過酷な環境の中で力強く生きる姿をとらえ、難民問題を投げかける写真絵本『世界に生きる子どもたち 私はどこで生きていけばいいの?』

世界に生きる子どもたち 私はどこで生きていけばいいの?

文:ローズマリー・マカーニー訳:西田 佳子

出版社からの内容紹介

シリーズ《世界に生きる子どもたち》第二弾
だれにでも住む家が必要です。
子どもたちには、安全で、幸せに暮らせて、家族と食事ができて、
おもちゃで遊べて、なんの不安もなく眠りにつける場所が必要なのです。

しかし、世界には、危険がせまり、家を離れざるをえなくなった人たちがいます。
2016年末の時点で家を追われた人の数は6,560万人といわれています(国連UNIHCR協会*ホームページより)。
戦争や紛争のために、多くの子どもたちとその家族が難民になりました。

彼らの人生は過酷で不安に満ちています。
それでも、ときには笑い、遊び、友だちをつくり……
どこかで、誰かが、自分たちを新しい家へと温かく迎えてくれるだろうという希望を胸に、生きています。

本書はこうした難民の状況を知り、問題を考えるきっかけとなることを目指して作られた写真絵本です。
新たな家をさがしもとめ、前を向いて生きている子どもたちと家族の姿をとらえています。
*UNHCR…国連難民高等弁務官事務所
(総ルビ/対象学年:小学校中~高学年)

美しい歌声が聴こえる森の小さな村。見知らぬ男に言われるがまま村人が〈金もうけの木〉を植え始めたとたん??田島征三さんが描くラオスが舞台の物語『森の歌がきこえる』

森の歌がきこえる

作:ルートマニー・インシシェンマイ 田島 征三

出版社からの内容紹介

ときおり、どこからか風にのって美しい歌声がきこえてくる森の中の小さな村に、ノイという少年がすんでいた。あるときやってきた見しらぬ男に言われるまま、村人が〈金もうけの木〉を植えはじめてから、森は荒れ、ノイは母さんのための薬草をさがしに、いつもよりずっと遠くまでいかなければならなくなった。ある日ノイは、深い森の奥で、歌をうたいながら織物をおっている女を目にする。そして、その織物のすばらしさに目がくらみ、思わずそれをぬすんでしまった。
ラオスへの現地取材を重ね、田島征三が描く森の再生と愛の物語。ラオスのアーティスト、インシシェンマイのオブジェをコラージュした合作絵本。

高校生だったかこさとしさんが見た戦時中の風景、体験したこと。戦争への怒りと平和への願いが込められた『秋』。半世紀以上を経て絵本化

著:かこ さとし

出版社からの内容紹介

かこさとし未発表作品、ついに刊行!

倉庫に眠っていた、かこさとし未発表作品は、コロナでステイホームの期間中、
加古総合研究所の鈴木万里さん(かこさとし長女)が作品整理中に見つけたものです。
この作品の最初の原稿執筆が1953年、なんと構想から実に68年、
半世紀以上を経て初めて世に出るオリジナル作品です。

テーマは、かこさんが終生、憎んでいた「戦争」です。
太平洋戦争のとき、高校生だったかこさんが体験した実話です。
戦争の悲惨さに怒り震えるかこさんが、いつまでも忘れないようにと
子どもたちに伝えようとした作品です。
平和を願うかこさんの強い思いが込められています。

子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、天国のかこさんからの贈り物です!

道端でうずくまるおばあさん、ゆきなとみくが声をかけると「あたしは、関根すず。9さい!」 3人は一日中町を歩き、語り合うーー『いつかの約束 1945』

いつかの約束 1945

作:山本 悦子絵:平澤 朋子

出版社からの内容紹介

「あたしは、関根すず。9さい!」
ゆきなとみくは、自分は9歳だと言うおばあさんに出会い、共に一日町を歩き回ることに。
後日、二人は意外な場所で彼女と再会する。残されたメッセージに込められた思いとは?

いっしょに町を歩きまわり、語り合った、忘れられない夏の一日。

動画公開中