目指すべきは誰も置き去りにしない「情報共有ツッコミ」/ツッコミのお作法②

小説・エッセイ

公開日:2024/10/14

なるべく多くの人に「面白い」と思われたい

あえて説明を省くことで生まれる面白さもあります。旧友、真空ジェシカのラジオ『ラジオ父ちゃん』(TBS Podcast)なんて、ボケの川北(茂澄)がまだ世に出ていない芸人のギャグや口調をなんの説明もなくマネしまくって、相方のガクも毎回説明するのは面倒くさいからツッコまずに放置しています。だけど聞く人によっては「あぁ、あれのことか」と思えて面白いし、だからこそ濃くて根強いファンが増えていく。その一例として僕は『ラジ父』リスナーから「成立松」と呼ばれています。「成立松」というのは、芸人が嘘のツイートで「いいね」を荒稼ぎしているのを取り締まる『ラジ父』の恒例企画「嘘松大捜査」でなぜか僕が毎回ターゲットにされることと、『ラジ父』のイベントMCやガクが番組を休んだときのピンチヒッターを務めて「場をどうにかして成立させる人」として扱われていることを合わせてつけられたあだ名です。タイミングもなかったので今まで一度もちゃんと説明したことなかったけど、「成立松」って文字に起こすとこんなにややこしかったんですね。自分の存在が一番成立を阻んでいるのでは?

こういった「知る人ぞ知る」がわかる気持ち良さももちろん尊重しつつ、僕は僕で見たり聞いたりしている人全員をできる限り引き連れていきたいです。なるべく多くの人に「面白い」と思われたいというのを行動原理に、今後もこの姿勢を続けていこうと思います。

お笑いの世界に限らず、日常生活でも〈情報共有ツッコミ〉が使える場面はある気がします。たとえば友達3人でしゃべっているとき、その内の2人にしかわからない固有名詞を出して盛り上がっていたら、残りの1人は話に入れなくて寂しいですよね。みなさんもわりと身に覚えがある場面だと思います。

そういう思いをする人が出ないように、誰かが何か言ったときに情報が足りていないと思ったらすかさず言葉を補足したり、自分が話すときもなるべく丁寧に説明したりするのが〈情報共有ツッコミ〉。心がけてみると、コミュニケーションがスムーズになるんじゃないでしょうか。ただ、やりすぎると僕みたいにひんしゅくを買うケースもあるということを共有しておきますね。

トンツカタン森本晋太郎

(取材・文/斎藤岬)

<第3回に続く>

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森本晋太郎(もりもと・しんたろう)/1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。