「ツッコミ」は空気を一変させるキーマン?/ツッコミのお作法⑤

小説・エッセイ

公開日:2024/11/25

先日、『ハマスカ放送部』(テレビ朝日)にまた呼んでもらいました。これまでにこの番組では菅田将暉さんたちと音楽ゲームで対決したり、学生時代に部活でやっていたハンドベルの腕前を披露させてもらったり、それまでコテンパンに言われていたのに英語が話せると知った途端に永野さんにビビられたりと、いろんなことをやらせてもらっています。今回は、MCのハマ・オカモトさんと齋藤飛鳥さんがラップを勉強して自己紹介ラップをできるようになろう! という企画でした。

僕はザ・マミィ酒井貴士とラップユニット「Mells」をやっていましたし、ハマさんのバンドOKAMOTO’SのライブでEminemの「Lose Yourself」を披露させてもらったこともあります。後者は本当になぜなんだという話なんですが、ともかく一応ラップの経験はあります。そんな僕のこの日の役割はというと、ヒップホップには付き物の「ディス」を学ぼうというコーナーで、MC2人にディスられるターゲットになることでした。駆け出しのころの僕が思い描いていたテレビの出方じゃありません。呼び込まれてスタジオに出ていったところ、先生役のラッパー・GASHIMAさんから「みんなでトンツカタン森本さんをディスろうー!!」という、前代未聞のタイトルコールがありました。

「今から存分にディスを受けるわけですが、お気持ちいかがですか?」と聞かれて、出てきたのは「とってもふゆかぁい(不愉快)」という一言でした。

これはツッコミなのかどうか若干怪しいですが、広義でツッコミにくくらせてください。最近、こういうシンプルでちょっとふざけた言い方が好きでよくやっています。〈ひょうきんおとぼけツッコミ〉と名付けましょう。あえてストレートに、とぼけた言い方で状況を説明したり空気を変えたりするツッコミです。

気まずさをそのまま口にすることで空気を変える

特に使いがちなのが「気まずぅ〜い」。誰かが場違いなことを言って変な空気になったとき、誰かの発言を周りがちゃんと拾わなくて沈黙が訪れたとき、聞いていて気まずくなるやりとりが目の前で生じたときなど、使える場面が多くて便利です。たとえば、こんな感じです。

A「悪いけど、ちょっとお金貸してくんない?」
B「いやお前、まずはこないだ貸した5万円返してくれよ」
A「あー、ごめんごめん、お金ができたら返すから」
B「頼むよ、ちゃんとしてよ」
A「おう…」
B「……」
森本「え、気まずぅ〜い!」

「急に森本現れたな」という意見はいったん置いときまして、どれだけ仲が良くてもお金の話となるとどうしてもちょっとシリアスな空気が流れますよね。他の人もいる時にそんな感じのままいられると周りは困ります。そういうときに〈ひょうきんおとぼけツッコミ〉は効力を発揮します。変にこねくり回さず、シンプルな言葉をファニーに言うことで緩和させるのもひとつの手です。これはお笑いの場に限らず、普通の社会でもかなり汎用性が高いんじゃないでしょうか。ただし、自分が気まずくさせた張本人のときはもちろん使えません。「お前のせいだろ!」すぎるので。

■ツッコミ例
「気まずぅ〜い!」

■ツッコミ名称
ひょうきんおとぼけツッコミ

■解説
目の前の出来事をストレートに、コミカルな言い方で表現するツッコミ。場の空気を変える効能がある。

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森本晋太郎(もりもと・しんたろう)/1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。