「マルハラ」には「!」で対抗できる?/ツッコミのお作法⑦

小説・エッセイ

公開日:2024/12/23

ツッコミのお作法

ツッコミを入れるのは口頭だけとは限りません。案の定、僕はLINEでもよくツッコみます。

この連載でもたびたびお名前が登場するOKAMOTO’Sのハマ・オカモトさんとは7年前にレギュラー番組でご一緒させていただいたのをきっかけに仲良くさせてもらってます。2年ほど前にハマさん、ハマさんのスタイリストさん、ラランドのサーヤ、ゲスの極み乙女の休日課長と僕という5人で一度飲みに行ったことから端を発したLINEグループがあるのですが、9月に休養から復帰したハマさんのお祝いとして久しぶりにみんなでご飯に行くことになりました。余談ですが、「いつかこのメンツで小旅行に行きたいけど、スケジュールが合わなそうだから仕事として行けるようになろう」という理由でこのグループLINEの名前は『熱海オールスターロケ』です。

食事会の当日、サーヤから「仕事が押したのですこし遅れそうです」とグループLINEに連絡がありました。普通ならここで「了解!」と返して終わりそうなもんですが、そうはいかないのが『熱海オールスターロケ』。以下LINEの続きです。

ハマ「了解です!森本さんと腕クロスして乾杯するやつやりながら待ってます、白湯で」
森本「内臓を労りながらやるやつじゃないのよ!」
ハマ「じゃあ無水エタノールでやろう」
サーヤ「過酸化水素水」
森本「間ないのかよ、あんたら」
ハマ「間? アミノ式のこと?」
森本「いや燃焼系アミノ式はなんの間でもないわ!」
サーヤ「喋ってるだけで怒られてみた」
森本「ニコニコ動画みたいに言うな!」
課長「会話レベルすごい…」

課長の過大評価をきっかけにみんなが少しずつ恥ずかしくなってなんとか会話が落ち着きました。その節は助かりました、課長。

文字でツッコむのは対面でのツッコミとは全然違います。軽いツッコミのつもりで書いた言葉が、冷たく突き放しているように見えてしまうことも。文字だけだとどうしても感情が伝わりにくいですよね。これは〈ツッコミのお作法〉以前の単なるコミュニーケーション術ですが、ベタに「!」をつけたり「(笑)」を足したり、文章としてのキレを犠牲にしてでも「これはツッコミですよ」と伝える姿勢が必要だというのが今のところの僕の結論です。ただ、先ほどのLINEのように劇物を飲まされそうになっている時は例外なので毅然とした態度でツッコみましょう。

7年間、毎日LINEしている同期にも「!」を欠かさない

一時期、「マルハラ」という言葉が話題になりましたよね。LINEで句読点を使われると「怒っているみたいで怖い」と感じる現象を指した言葉で、ネット上でその是非が議論になっていました。様々な意見がありますが、僕は「怖い」と思ってしまう感覚は理解できます。

2017年からほぼ毎日、鳥山大介という同期の芸人とひたすらしゃべる『おこたしゃべり』という生配信をやっています。始めた当初は週に1,2回やれたらいいなと思っていたのですが、お互いの家が近かったこととスケジュールが真っ白という魔のシナジーの結果、ほぼ毎日というペースに落ち着きました。

とはいえアルバイトなどの都合でスタート時間もバラバラですし、できない日もあります。なので毎日「今日どうする?」「何時からやる?」とLINEをして決めています。そういうときも「20時からで!」「ごめん、今日はなしでお願い!」と「!」をつけて送っています。それに対して鳥山も「おけ!」と返してきます。

「ごめん、今日はなしでお願い。」と送ろうが「わかった。」と返ってこようが、そこに含みはないことはお互いにわかっています。付き合いはもう11年、7年間ほぼ毎日生配信をしている仲です。「!」がなくても「え?怒ってる?」なんて思うことはない間柄です。でも万が一にも「今日はできない」という情報以外の何かがあると思われたくない、それに対して思うところがあると思われたくない……。そういった両者の自意識が「!」のラリーを発生させているんでしょう。それに、7年間これでやってきてしまったので今さら「!」をなしにすると逆に「何かあった!?」となりそうです。「!」ひとつで不安が解消されるなら安いもんです。いや、安いもんです!

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森本晋太郎(もりもと・しんたろう)/1990年、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。