「角野栄子あたらしい童話大賞」応募数2000超の中から受賞作が決定! 審査委員長・角野栄子「見たこともないような新しい幼年童話を生み出してほしい」《贈呈式レポート》

文芸・カルチャー

更新日:2025/1/16

角野栄子あたらしい童話大賞

 無我夢中で本を読んだ子どもの頃の記憶は、大人になってからも人生を支えてくれるもの。2024年からスタートした「角野栄子あたらしい童話大賞」は、まさに子どもたちを夢中にさせる作品を求めて創設された童話賞です。

 審査委員長は「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズ(ポプラ社)、「魔女の宅急便」シリーズ(福音館書店)などの角野栄子さん。特別審査員に「かいけつゾロリ」シリーズ(ポプラ社)の原ゆたかさん。現代を代表する児童文学作家に作品を読んでもらえる絶好の機会ということもあり、同賞には2289作品という予想をはるかに上回る数の応募がありました。

「これまでの童話のイメージにとらわれず、自由な表現で、5~8歳の“自分で本を読み始めた”子どもたちに向けて書かれたもの」という条件のもと、記念すべき第1回の受賞作に選ばれたのは4つの童話。2024年11月26日の贈呈式で語られた受賞者の言葉、審査員のおふたりによる選評をお届けします。

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2024大賞 迂回ひなたさん『びょうき銀行にあずけちゃえ』

角野栄子あたらしい童話大賞

【あらすじ】病気を預けたり引き出したりできる「びょうき銀行」という斬新なアイデアが光る作品。

角野栄子氏・選評】びょうき銀行にATMのカードがあったりして、本筋とはちょっと離れたところのこまやかな気配りに、作者の日常の暮らしの豊かさが見えます。それが作品を魅力的にしているし、読む側の想像力もそこから広がって楽しませてもらえる。ただ、この病院は大人でも子どもでもいいのか、どんな病気でもいいのか、そのあたりがぼやけているので、ちゃんと書いてあるといい。何回も書き直しをして、これからもどんどん成長していただきたい。

原ゆたか氏・選評】この作品を読んだ後、実際に病院に行く機会があり、トイレに行った時、奥にびょうき銀行があって病気を預けられないかな…と思ってしまった。“ひょっとしたら本当にあるんじゃないか”というリアリティにドキドキする。子どもにとって興味のあるテーマだった。ただ、子どもにとって便利なだけのシステムだとずるをするお話になってしまう。甘えるだけではうまくいかなかった、という教訓がどこかにあるといいと思います。

【受賞者・迂回さんの言葉】普段は小学校の教員をしております。「先生は言葉で子どもに魔法をかけるお仕事なのよ」という恩師の言葉を心に留めながら、このお話を書きました(小学校教員。新潟県新潟市出身、神奈川県在住)。

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