「角野栄子あたらしい童話大賞」応募数2000超の中から受賞作が決定! 審査委員長・角野栄子「見たこともないような新しい幼年童話を生み出してほしい」《贈呈式レポート》
更新日:2025/1/16
その人の体の一部になるような幼年童話を

審査委員長・角野栄子さんのゆかりの地に建てられた「魔法の文学館(江戸川区角野栄子児童文学館)」で行われた贈呈式。著者の将来性を鑑みながら選考された4作品は、これから編集者がついて刊行を目指していくそうです。
贈呈の後には角野さんが、本賞に対する想いや、幼年童話の必要性についてスピーチ。
「自分で字を読み始めることの楽しさを知るのが5歳から7~8歳くらい。この頃に読んだ本の潤いが、その人の体の一部のようになって人生についてまわるような気がします。私自身もそうでした。作家自身が楽しみながら書ける場を作り上げたら、子どもたちが面白いと思える作品が書けるんじゃないかな、と。今回の受賞作はみんな主人公が素晴らしかった。でも欲張りなもので、“形ができてしまっている”とも感じました。見たこともないような新しい幼年童話にこれからも期待しています」
また、「子どもの頃に面白い本に出会ったら、本好きの大人に育っていくのだから、幼年童話はもっとも継承しなければならない文学。日本の出版文化もそこから始まっていくのだと考えています。この文学館にはピカピカした読者がいっぱい来て、みんな楽しそうに本を読んでいます。そういう風景がずっと続いてほしい」と幼年童話の今後に期待を寄せる言葉もあり、大きな拍手がおくられました。
子どもの人生そのものに伴走するような幼年童話を——。本賞が抱える大きな可能性を示すような贈呈式となりました。
取材・文=吉田あき 撮影=島本絵梨佳