「トラウマ必至!」の最恐コマベスト2 【小松左京の怖いはなし『骨』】
更新日:2017/2/7
『日本沈没』などのベストセラーで知られる作家・小松左京が遺したホラーの名品を、電子書籍オリジナルコミックとして配信する【小松左京の怖いはなし】。現在まで4作品がリリースされている話題の同シリーズから、「トラウマ必至!」の最恐コマベスト3を選出。3日連続でそのコマを紹介しよう。あなたにとって一番コワいのはどれ?
ベスト2 『骨』(呪みちる)

男は裏庭に井戸を掘ってもらうことにした。男の家の水道は止まっており、湧き水だけでは心もとなかったからだ。
やがて井戸を掘っていた職人が、「悪い物が出やした」と言いながら、土の中で見つけた骨を持ってくる。骨といってもかなり古い時代のもので、すでに化石化している頭蓋骨だった。
掘り進めると、その下の土からはナウマン象の化石までが出てくる。どうやらこの裏庭には石器時代の遺跡が埋まっているらしい。さらに深く穴を掘る。すると今度は、縄文土器や埋葬された人骨が出てきた。
おかしいと思いませんか? 普通、地層というのは古い時代から新しい時代に向かって、下から上へと積み重なっていくものだ。縄文時代の化石は、石器時代よりも上の地層にあるはずなのだが、ここでは逆になっている。
興味を惹かれた男は、職人に頼んでどんどん地面を掘ってもらう。縄文時代、弥生時代、古墳時代、と掘れば掘るほど時代がどんどん新しくなってゆき、それにつれて出土する骨の数も増えてゆく。そして……というのが、次にあげる一コマ。

いたるところに骨、骨、骨。13世紀、ジンギスカンの軍勢が各地でくり広げた虐殺は、すさまじいものだったというが、これはその時代の骨なのか?
上から下へ積み重なる地層、というSF作家らしい奇抜な発想を、怪奇マンガの実力派である呪みちるが見事にビジュアル化したシーン。「人間ほど残忍酷薄な同種殺戮を繰り返してきたものはない」という、作中のフレーズのとおり、人間の残虐さがひしひしと伝わってくる。
男はさらに穴を掘る。時代は古代から中世、近世とすこしずつ現代に近づいてゆくが……。ネタバレ厳禁のアイデアストーリーなので、先に待っているオチは黙っておこう。
すべての伏線がぴったりつながる「そうだったのか!」という驚きと、衝撃のラストを味わってほしい。
文=朝宮運河
再生ボタンを押すと音声が再生されます。
■「小松左京の怖いはなし ホラーコミック短編集」
発売日:2016年7月26日(火)
<デジタルコミック>
配信プラットフォーム:Amazon Kindleほか、電子書店各サイト
価格:各100円
<朗読作品>
配信プラットフォーム:定額制オーディオブック配信サービスAudible
⇒Audibleの詳細はこちらまで
※掲載内容は変更になることがあります。