カルボナーラはエリンギでかさ増し!バストを落とさず26キロの減量に成功した「やせるおかず」シリーズの柳澤さんに秘訣を聞いた!
公開日:2017/1/20
クリスマス、忘年会、お正月、新年会など、何かと食べたり飲んだりするイベントの多い年末年始。気がつけば数キロが増えていたという人も多いのではないだろうか。「毎年のことだし…」「もう歳だし…」「結局やせないよ…」と諦めることはない。そんなネガティブな考えを払しょくして、すっきりやせる方法がある。
巷で大ブームとなっている「作りおきダイエット」。その火付け役になったのが、大ベストセラーとなっている柳澤英子氏の「やせるおかず 作りおき」シリーズだ。そこで3日間試してみたところ、2キロも体重が落ちた! 嬉しくなって続けると、続く10日でもう1キロ減り、体脂肪率は3パーセントも低下。ちなみに特に運動はしていない。
私自身、30代半ばから健康に対する意識は右肩上がりに高まっている(つもり)が、なぜか体重も同じように右肩上がりに。食べることが好きで我慢できないのも原因だろう。ところが、今回は食べながら体重が落ちたのだ。そこで、「やせるおかず 作りおき」について柳澤さんに詳しく伺った。

ダイエットのいいところ取り。“合わせ技”で糖質スローオン
著者の柳澤さんは、52歳でこのダイエットに取り組み、わずか1年の間に73キロから47キロという26キロの減量に成功。「体調を崩すこともなく、健康のまま」美しくやせた。だが、それまでは何度となくダイエットに挫折してきたという。
――そもそもなぜ「作りおき」をしようと思ったのですか?
柳澤(以下、敬称略):ダイエットを始めた時、「作りおき」をしてやせようとは思ってなかったんですね。失敗ばかりしてきたから、今回こそはやせるにしても、食べることを我慢したくないなと。そこで、いろんなダイエットのいいところを取り入れてみたんです。糖質オフもいいし、肉と卵とチーズ(MEC食)もいいし、野菜のビタミンとミネラルもいい。
あと注目したのは食物繊維。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維をバランスよく摂ると腸にいい。腸の環境が良くなると幸せな気分にもなって、脳にもいいんです。ちゃんと食べて腸内環境を整えればストレスもないかなとレシピを考えていったんです。
気づいたのは、お菓子があればつい食べちゃうように、あると食べてしまう。じゃあ、お菓子の買い置きより、やせるおかずの「作りおき」があれば、それを食べるかなと。実際、結構食べてましたが、やせていったんです。
――種類も豊富だし、シンプルでアレンジしやすいメニューも多いです。
柳澤:同じ食材ばかりだと飽きてしまうので、バリエーションがあった方がいいんです。食材もまとめて買って何品かに作り分けてしまえば、最終的に食べきると栄養のバランスがとれる。
昔からある「作りおき」は、煮物など甘塩っぱいものが多いですよね。確かにご飯のおかずにぴったりだけど、それだと太る。そこで塩分と砂糖をあまり使わないで日持ちするレシピを考えました。
――だから、酢を使った料理も多いんですね。サラダ感覚で食べられます。
柳澤:そう、お酢も血糖値を上げにくくするダイエット効果があるんです。しかも、食材が傷みにくくなる。
あと例えば、トマトも糖質制限ではあまり薦められない食材ですが、リコピンが豊富。じゃあこんにゃくと一緒に食べればいい。こうやって“合わせ技”にしながら、トータルで血糖値が上がりにくいように工夫しました。
ちょっとした詐欺? 炭水化物も「食べていい」
とにかく我慢しないのが柳澤流。大原則は、糖質を低めにして、食物繊維で血糖値を上がりにくくすること。あれもダメ、これもダメではなく、あれもいい、これもいいと考えてみる。本書には食べていいものが多く、「制限」が少ない。糖質やカロリーの表示すらない。
――糖質を低めといいながら、パスタやご飯のレシピもあります。
柳澤:たまにはパスタも食べたいじゃないですか。全く食べないのはやっぱり切ない。食べたい気分の時に「食べられない」って思うより、「食べられる」レシピを考えたんです。例えば、カルボナーラはエリンギでかさ増ししています。そうすると、意外と「パスタを食べた」感があるんですね。
私の「やせおか」では、ご飯も食べていいですよって言っています。ただし、「やせおか」を食べた最後にどうぞって。でもそんなに食べられないんです。食べていい安心感があるのかもしれないですが、「やせおか」を実践している皆さんは食べずにお腹いっぱいって満足して終わりにできています。ちょっとした詐欺みたいですけど(笑)。
――私もご飯が大好きなのですが、食べなくても大丈夫なのが不思議に感じていました。
柳澤:ご飯があまり恋しくならないおかずなんですね。それに、ここにあるレシピは噛み応えのあるものも多いでしょ。噛んでるとお腹いっぱいになりやすいんです。唾液がたくさん出て消化酵素もたくさん出る。わざとざっくり切って、食べ応えがあるようにしてるんです。
きっかけはグルメな父が糖尿病に。遺伝の可能性も…
――料理が好きになったきっかけは?
柳澤:父が料理好きだったんです。男の料理だから、アシスタントに私を使ってたんですよ。小学生の時から手伝っていました。食べることが好きなのも、遺伝したんだと思います。
でも、その父が糖尿病になってしまって。最期はほとんど何も食べられなくなりました。あんなにグルメだった父が、おかゆや白湯みたいなものをちびちび食べてて…。父の型は、6割で遺伝すると言われました。私も糖尿病予備軍だったんです。
――それで健康を保ったまま、ダイエットに成功された。ご主人も10キロ減!
ご主人の孝文さん:僕もすっかり食べグセが変わりましたね。たまにカツ丼とか食べますけど(笑)。骨密度も筋肉も落ちてないですよ。
実は4年前までは血圧が高くて、降圧剤も飲んでたんですが、医者に「10キロぐらい落とせば良くなる」って言われて。10キロ減って、降圧剤も不要になりました。
柳澤:「やせおか」はその人を適正体重に導く食事法だと思うんです。ほとんどの人はどこかしらに余分なお肉があるけれど、やせすぎの人なら逆に体重は増えるかもしれませんね。
――私の場合、顔やお腹まわりからスッキリしました。
柳澤:筋肉を残して、脂肪が落ちるんですね。胸も小さくなりません。私も背中のお肉が落ちたからブラのサイズは変わったけれど、カップのサイズは変わらなかったですね。

例えばこんなレシピ。ルールを守って、お腹いっぱい食べよう
最新刊の『超入門!やせるおかず作りおき』には、やせおかのルールがわかりやすく説明されている。食べ方の3箇条は、「1 野菜はたっぷり食べる 2 肉や魚もしっかり食べる 3 炭水化物は控えめに」。
食事量は減らさず、バランスよく食べる。タンパク質1に対して野菜2の割合で。楽しく食べられるよう、苦手な食材も好きな食材にアレンジするなど、大らかに取り組むことも推奨されている。ちゃんと食べて、満足するのがポイントのようだ。
ちなみに、タンパク質メインの食材で、私のお気に入りのレシピの一つは、鶏肉団子(同書P54)。鶏挽肉に3分の1ほどのおからが混ぜられているのだが、水切りした豆腐でアレンジしている。鍋料理をした時などに、まとめて作ってしまうのだ。酢としょうゆを回しかけ、レンジで4分加熱するだけ。食べる時にはチーズをのせて温めるなどして楽しんでいる。
野菜のレシピでは、きゅうりの梅あえ(P45)が定番だ。梅干しとごま油であえるだけという超簡単レシピ。同頁のレンチンきのこも、キノコ類とハムにガーリックパウダー、顆粒コンソメを加えてチンするだけ。頂き物の美味しい洋風だしを振りかけて、好きなハーブで味を変えたりしている。
ダイエットにありがちなのが、「もっと~~」「こうしないとダメだ」と視野狭窄になること。また体重が落ちても、何度か大なり小なりの停滞期は訪れるもの。そんな時も、焦ってはいけない。しばらくするとストンと階段状に落ちていくのだそう。
バランスよくちゃんと食べ続けること。ムリもしない。もし炭水化物をたくさん摂ったとしても、その前後で調整すれば、それほど影響もないとか。たまにはパスタやラーメンも食べつつ、本書にある「1日に3回もやせるチャンスがある」考えで、気長に取り組んでみようと思う。
シリーズは発売順に『やせるおかず作りおき』『夫もやせるおかず作りおき』『お弁当もやせるおかず作りおき』『全部レンチンやせるおかず作りおき』『超入門!やせるおかず作りおき』の全5冊。次回作も検討中という。
なお、レシピは順にどんどん簡単にしているとのこと。他の料理本にはない手軽さもムリなく続けられる最大の秘けつだろう。
バリエーション豊かなやせるおかずシリーズ。年末年始で暴飲暴食した人もそうでない人も、やせおかメソッドで食事を楽しみながら、健康的にやせてみてはいかが?

取材・文=松山ようこ