五月病になる前に…グーグルやアップルも注目している「マインドフルネス」の秘密を知る一冊

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公開日:2017/5/9

『ヒマラヤ大聖者のマインドフルネス』(ヨグマタ 相川圭子/幻冬舎)

 新しい仕事、新しい仲間、新しい職場。キレイに心の表面を彩ったペンキを、内側からはがすように、どこからともなく出現してくるのが五月病と呼ばれる心の闇です。

 そもそも、なぜ五月にそうした心の動きが起こりやすいのでしょうか。ひとつには個々人の「差」が明らかになってくることがあります。たとえば、コピーという一見ささいなことひとつをとっても、とり方・手際の良さ、出来上がった書類のまとめ方・渡し方など、人によって差があるものです。もうひとつは、「差」とは全く逆で、「同じである」という認識が生まれやすいことです。繰り返す日常、同じ仕事、同じ仲間、同じ通勤路、同じ職場……人々のワーキングスタイルは近年多様になってきたとはいっても、やはりそうした「同じである」ことが仕事の流れの中で起こる可能性は誰にとってもあります。

 そうした「違い」や「同一さ」に対する動揺を乗り越えるのにオススメな一冊が『ヒマラヤ大聖者のマインドフルネス』(ヨグマタ 相川圭子/幻冬舎)です。

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 著者はインド最大の聖者協会から最高指導者の称号を授かり、世界で二人しか存在しないサマディヨギ(ヒマラヤ大聖者)、あるいはヨグマタ(ヨガの母)として世界中から尊敬されています。どうしても人と比較してしまう、何もしないと不安になる、物・お金に対する執着……そうした煩わしさにどのように向き合っていけばいいかという姿勢について、著者は「今、ここにいる」ということに集中するようアドバイスしています。

「今、ここにいる」。そこには、「在る」という幸せがあります。何かを失うことに対する不安はありません。お母さんの子宮に抱かれているような、内側から満ちるやさしさと静寂に包まれます。

 仕事の進展、同僚・上司・部下・クライアントとの関係、デスクの散らかり、家のローン、ゴミ出しの日、消し忘れたような気がする電気、花金だからと使いすぎたお金、合コンで対角線上にいたからと声をかけなかった人。私たちは、ふと油断しただけで、過去や未来、そして「今」とは名ばかりの、煩悩でがんじがらめになっている目の前の状況に縛られてしまう危険性に晒されています。「今ここにいるだけで幸せなのではないだろうか」と、連綿と流れる時間の中で気づくことはなかなか難しく、スマホの画面は忙しい日常からの逃げ口には狭すぎます。

 では、どうすればいいのか。著者は「何もしない時間」の重要性を提示し、誰しも仕事をする上で重要だと分かっている集中力の持つ危険性について、こう語っています。

普段集中しているときはエネルギーが活性化していて、消耗しています。いざリラックスすべきときにも、集中が癖になっていて、エネルギーが消耗し漏れ出してしまい、ついには枯渇してしまうのです。

 何かに必死で取り組むこと、その結果何かを勝ち取ることは悪いことではないと著者は断言しています。しかし同時に、その根本である心が枯れ果ててしまったら、できることもできなくなってしまうという意識を持つことがより重要であると、一冊を通じて説いています。休暇中もついつい頑張ってしまった方に、鮮やかな黄色の表紙がふと足を立ち止まらせてくれる本書をオススメいたします。

文=神保慶政