世界のエリートの共通言語「美術史」を知らずして戦えない! この一冊でサクッと制覇!!
公開日:2017/10/31

社会がグローバル化する中、日本でも財界人や企業向けの、美術に関するセミナーが増えているという。世界のエリートは教養として「西洋美術史」を身につけているというが、その理由は、「美術」が無難な話題であることと、その国、その時代の宗教・政治・思想・経済的背景が表れているものだからである。
西洋美術史、約2500年のうちの、必要最低限の知識が身につく一冊が『西洋美術史 世界のビジネスエリートが身につける教養』(木村泰司/ダイヤモンド社)である。木村泰司氏は、講演、執筆を多数手がける新しい西洋美術界のエンターテイナーとして、今最も注目を集める美術史家だ。
伝統的に知性と理性に訴えることを是としてきた西洋美術史。古代から信仰の対象でもあった西洋美術は、見るだけでなく「読む」ものであり、メッセージを伝えるための手段として発展してきた。つまり、それぞれの時代の政治、宗教、哲学、風習、価値観などが造形化したものが美術品であり建築なのだ。
日本人は、欧米人のように子どもの頃からの「読む」美術教育を受けていないため、感性で美術作品を見てしまいがちだが、美術史を知らずに美術を見ることは、知らない言語の映画を字幕なしで見るようなものだと著者は述べる。
美術年表に沿って美術品を紹介するのではなく、背景にある歴史や事件、文化、価値観とともに、美術様式の流れを掴むことができる。いくつかピックアップしてみよう。
西洋美術の原点、古代ギリシアの彫像が「裸」の理由
ギリシア人にとって人間の姿は神(絶対神ではなく感情豊かな神様)から授かったもの。美しい男性の裸は神も喜ぶという思想があった。紀元前6世紀以降、アテネでは美男コンテストが開催されていたという。
「目で読む聖書」としての宗教美術の発達
ゴシックはメッセージ性の強い建築様式。大聖堂のステンドグラスは字の読めない人に教えを伝え、窓からの光は、宗教的な世界に生きてきた人々の「神は光である」という思い。光=神ということを念頭に置くことが大切だ。
ブリューゲルの「バベルの塔」にみる奥深いメッセージ
言わずと知れた名画「バベルの塔」からはネーデルラントの宗教的、政治的に混乱していた状態が読み解ける。旧約聖書が主題であり、古代の遺跡コロッセオ(キリスト教徒迫害の象徴)が塔のモデルだ。
英雄イメージを定着させた、ダヴィッドの「ボナパルト(ナポレオン)のアルプス越え」
現代の政治家顔負けのイメージ戦略が見てとれる。実際はラバに乗っての峠越えだったが、国家元首の象徴でもある白馬に乗り、前脚を跳ね上げさせ突撃の命令を下している。
世界のビジネスマンが当たり前に身につけている西洋美術史の知識。美術鑑賞や社交の場だけでなく、使い方次第ではビジネスシーンにおいても大いに役に立つかもしれない。この1冊で世界がぐっと広がるはずだ。
文=泉ゆりこ
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