愛娘を幸せな女性にする育て方。親子心理のプロが説く、娘を将来不幸にする親のNG言動とは?
公開日:2017/12/26

親との関係で悩む子どもは後を絶えない。しかしそうではない人でも、当人や両親の気づかぬうちに、生育環境によってある特定の部分に何らかの“こじれ”を抱えてしまっているケースは往々にしてあるように思える。もっと言えば、ほとんどの親子が大なり小なりそのような問題を抱えているのではないだろうか。本人は「愛情たっぷりに育ててくれた親に感謝している」と心底思っていて、また親も「神に誓って我が子を愛している」と思っていても、だ。それは何故か?―答えは至ってシンプルである。親が子のために良かれと思って為す言動が、時として子どもに“不幸の種”を植え付けてしまうことがあるからだ。
■“女の子”の育て方―こんな世の中だからこそ
「愛情があれば問題ない」と思っていても、前述のように子育ては複雑難解なもの。とは言ってもやはり、我が子に幸せな人生を歩んでほしいと思うのは親としてまっとうな愛なのだ。
そんな親の気持ちに応えてくれる本をご紹介したい。『女の子の育て方-子どもの潜在意識にこっそり“幸せの種”をまく方法-』(中野日出美-親と子の心理コミュニケーション協会代表/大和出版)である。
著者の中野日出美さんは、自身の子育てへの悩みから心理学を学びはじめ、子どもの潜在意識にはたらきかける育児法を確立。親子関係改善を図るセラピストとしての活動で経験した豊富な実例をもとに、「潜在意識」という観点から語られることの少ない育児の世界に一石を投じた格好だ。
本書は『男の子の育て方』(同)と併せて刊行された本でありそちらもまた実に良書であるが、本記事では『女の子』の方を取り上げさせていただきたい。
育て方のアドバイスを男女別の本に分けている点に関して、「娘に女の子らしさを植え付けようと考える時代錯誤な内容ではないだろうな?」と訝った方がいたのならば、安心してほしい。本書はむしろ、「女は夫の経済力の下で家事と子育てを営み、夫を支えるべきだ」などという感覚からいまだに抜け出せていないこの社会の中で“自分の力で幸せを生み出せる自立した女性”に育てるための方法を教えてくれる。それに、脳の構造までもが女の子と男の子とでは異なり、社会から受ける誘惑や人生に潜む落とし穴の出現箇所も大きく違ってくるのだ。そういった観点に立つとやはり、女の子には女の子の育て方があるべきだと頷ける。
■子どもの「潜在意識」に働きかける
本書の一番の特徴は、子どもの「潜在意識」に対して親がアクションを行う点である。「潜在意識」とは自覚できない心の部分のことで、氷山にたとえるならその大部分を占める水面下の部分のようなもの。反対に、自覚できている心の部分を「顕在意識」と呼び、こちらは水面上に見えている氷山の一角のようなものだ。
我々は他人と、ましてや我が子とコミュニケーションを図る時には、通常は相手の顕在意識にメッセージを送ろうと考えるもの。しかし、自分の働きかけは思わぬかたちで相手の潜在意識にまで届く。著者は、心理セラピストとして培った知識と自身の育児経験をもとにこう説いている。
子どもの潜在意識は、まるで畑のようなもの。そして、親から子どもへのメッセージは種のようなもの。畑にまかれた種はやがて成長し、木となり、花となります。それが女の子の人生にとって成功の花となるものもあれば、失敗の花となるものもあります。(21ページ)
■傷つかない&傷つけられない女性はこうして育つ
生きていく上で、女の子の心や体を傷つける誘惑やワナはたくさんある。愛娘の潜在意識の畑には、「自分を傷つけない種」をまいてあげたいものである。その際、親が絶対にやってはいけないNG言動=“不幸の種”の例のひとつとして、「自分の悩みや夫との関係について我が子に相談し、子どもを母親のカウンセラーがわりにする」ことが挙げられている。このようにして育てられた女の子が大人になると、自分自身が人生のバランスを崩していてもその問題にはフタをして、人の支援をすることで存在意義を確かめようとする恐れがあるという。また、人を信用できなくなったり、心から愛することができなくなったりする危険性もあると著者は説く。
それでは“幸せの種”は何だろうか? 本書で解説されている7つの「自分を傷つけない種」のうちのひとつが「NOと言える勇気を育む」である。男の子に比べて、早いうちから共感性や協調性が育つ女の子は、嫌なことを頼まれた時に断りにくいという傾向があるという。しかし、しっかりと「嫌です」と言えることが女の子の心と体を守る“幸せの種”になるのだ。
「子どもに○○させたら勉強が好きになる」や「○○させすぎたら子どもはグレる」というような教育ノウハウ本はこの世に数え切れないほど存在するが、本書は「○○のような親の言動は子どもの潜在意識に影響を与え、子どもの将来を××に向かわせる」という点が新しい。愛娘に幸せな将来を手に入れてもらうためには、親の言動は常に子どもの潜在意識に対する働きかけとなっているということをしっかりと認識しなければならない。
文=K(稲)
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