新たな環境で「なんだか上手くいかない」と思っている人に。オススメの絵本『たくさんのドア』

暮らし

更新日:2018/4/16

『たくさんのドア』(主婦の友社)

 新しいことを始める時、その先には何が待ち受けているのか不安になります。その一歩を踏み出すべきかどうか、迷って立ち止まってしまうこともあるでしょう。でも、その一歩が必ず人生の可能性を広げてくれるはず。そう綴るのは、アメリカの作家アリスン・マギーによる絵本『たくさんのドア』(主婦の友社)です。一度は廃刊になっていましたが、「子どもの卒業記念や入学祝いにどうしても贈りたい」という声が数多く集まったことから復刊されました。

 アリスンの代表作といえば『ちいさなあなたへ』。小さな子どもが大人になるまでの成長に想いを託したこの絵本は発売当初、アマゾンなどの児童書分野でハリーポッターをおさえて1位の座に。日本でも子どもを持つ母親を中心に“泣ける絵本”として人気が広がり、55万部のベストセラーとなりました。


 人生にはたくさんのドアがあり、その向こう側には驚くことや面白いことが待ち受けています。「どうやって こたえを みつけていくのだろう」と投げかけているのは、目の前に現れた出来事をどう受け止めるのかはあなた次第、ということを示唆しているようです。

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 進む先は嵐かもしれないし、冷たい雪が降っているかもしれません。それでもアリスンは、あなたがその道をどんどん進んでいけると、強く肯定しています。なぜなら、ドアの向こう側の自由に憧れるあなたは、自分が思っている以上に強い存在だからです。それはまるで、「まぶしく みゃくうつ たいようの ひざし」や「しずかに うみを たぐりよせる つきの みちかけ」のように。


 しかも、アリスンは、あなたがどんなに必死で進んでも、答えが見つからない時もあることを知っています。でも、怖気づくことはありません。あなたは「はるばるとした おおきなもの」に守られているのだと。だからあなたはまた必ず、自分の手で次の新しいドアを開けることができるのです。

「おおきなもの」とは、この本を贈ってくれた家族や友人かもしれないし、これから出会う人かもしれません。あるいは、このメッセージを贈るアリスンのことかもしれないし、自分の中にある大きな可能性のことかもしれません。いずれにしても、この本を開くたびに、その「おおきなもの」の存在に気づき、勇気づけられるはず。まだ見ぬ未来にずっと寄り添ってくれる一冊、大切な誰かにはもちろん、自分へのプレゼントとしても贈りたいですね。

文=吉田有希