谷崎潤一郎『刺青』あらすじ紹介。「美女の肌に刺青を彫りたい」日本を代表するフェティシズム小説
更新日:2023/7/12

大きな動乱もなく、人々がのんびりと暮らしていた時代。そんな世の中では美しい者こそが強者であり、多くの人は美を求めて入れ墨をしていた。
元浮世絵師の清吉は、大変評判の高い若手の刺青師(ほりものし)であった。江戸中の者が優れた入れ墨をしてもらうために彼のもとを訪れたが、清吉は理想的な骨格と肌とを持つ者しか相手にしなかった。彼は「美女の肌に己の魂を彫り込みたい」と長年願望を抱いていたが、理想とする女は江戸中を探してみてもなかなか見つからなかった。
ある夏の日、料理屋の前で籠のすきまから真っ白な女の素足がはみ出ていた。足を見ただけだが、才能ある彼の目にはその女のすべてが見えており、この女こそが自分が長年求めていた理想の女であると確信するに至った。清吉はその籠を追いかけたが、やがて見失ってしまう。
翌年の春の朝、清吉のもとによこされた使いの娘が、まさにあの女であった。彼は帰ろうとする娘を引き留め、「この絵にはお前の心が映っている」と言いながら、処刑される男を眺める妃が描かれた絵画と、男たちの屍骸に魅せられる若い女を描いた「肥料」と題する絵画とを見せた。怯える娘を麻酔で眠らせた清吉は一心不乱に、娘の背中に巨大なジョロウグモの絵を彫った。
麻酔から覚めた娘は、魔性の女に変貌していた。清吉は帰ろうとする女を呼び止め、もう一度刺青を見せてくれと懇願する。女は剣のような鋭い瞳を輝かせ、「お前さんは真先に私の肥料になったんだねえ」と言い、服を脱いだ。刺青に朝日が差して、女の背中は光り輝いていた。
文=K(稲)
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