読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ

谷崎潤一郎

職業・肩書き
作家
ふりがな
たにざき・じゅんいちろう

「谷崎潤一郎」のおすすめ記事・レビュー

サド・マゾ・フェチ・レズ…。大人になった今だからこそ読みたい谷崎潤一郎名作5選

サド・マゾ・フェチ・レズ…。大人になった今だからこそ読みたい谷崎潤一郎名作5選

 明治から昭和にかけて、日本の文壇は大きく花開いた。その中で「性愛」というジャンルをしっかりと埋めた文豪こそが谷崎潤一郎だろう。一般に耽美主義(※)に分類される谷崎の作品には、数多くの「癖のある」女性が登場する。現在とは比べ物にならないほど女性に対する性的な縛りや固定観念が強く、貞操が重要視された時代に、フェティシズム、レズビアン、サディズム、マゾヒズムなどを切り口に、性に自由に生きる魅惑的でラディカルな「新しい女性」を書き続けた。

(※)たんびしゅぎ:思想・道徳的規範よりも美の享受・形成に最高の価値を置く立場。生活を芸術化して官能の享楽を求める。

 谷崎潤一郎は間違いなく「文豪」の括りに入る大作家であるが、一般的に小中高の国語の授業では馴染みのない人物でもある。それは、「性愛」や「性的嗜好・倒錯」が大きなテーマとして扱われるため、教育の材料として扱いにくいためだといわれている。

 そういった観点からも、“大人になった今こそ読みたい文豪”としては、谷崎潤一郎は間違いなく第1位だと筆者は感じる。谷崎文学から得られる見地は「性」から「生」まで、「きれいごと…

全文を読む

マリッジブルーで下痢が止まらない!? 昭和初期の女の婚活を描いた谷崎潤一郎『細雪』

マリッジブルーで下痢が止まらない!? 昭和初期の女の婚活を描いた谷崎潤一郎『細雪』

『細雪 (上) (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 蒔岡家は大阪の名家だが、衰退しつつあった。四姉妹の中でいちばん美人である三女の雪子には多くの縁談があったが、家の誇りのためにそれらを断ってきたため、雪子は30歳を過ぎても未婚である。四女の妙子が奥畑という男と駆け落ちをし、新聞社の間違いで雪子の名前が新聞に載ることに。ふたりはすぐに見つかり、連れ戻されて仲は解消されたようだったが、それにより雪子の縁談の数はさらに減ってしまう。

 長女の夫が仕事で東京に行くことになり、雪子も一緒に上京することになった。一方妙子は人形作りで才能を発揮し、大阪に留まる。その後妙子は洋裁と舞にも打ち込むようになり、板倉というカメラマンと出会う。大水害の時に板倉が妙子を救出し、妙子は彼に好意を抱くようになる。妙子は洋服店を開くための資金援助を依頼するため東京に行くが、板倉が病気になりすぐに大阪に呼び戻される。そして板倉は亡くなる。

 雪子のもとには名古屋の名家の息子との縁談が舞い込む。しかし見合いはうまく行かず、相手側から断られる形となった。蒔岡家は初めて先方から縁談…

全文を読む

まるでSM!? 深く結ばれた究極の師弟愛——谷崎潤一郎『春琴抄』

まるでSM!? 深く結ばれた究極の師弟愛——谷崎潤一郎『春琴抄』

『春琴抄 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 容姿端麗な春琴には舞の才能があったが、彼女は9歳の頃に病気で失明し、三味線を学ぶようになった。彼女は三味線の才能も持っていた。春琴に仕え、世話係をしていた佐助も三味線を学ぶようになり、彼女の弟子となる。春琴は気性が荒く、稽古は激しい。撥(ばち)が飛び、叱声が響き、佐助は泣き出す。しかしそんなサディスティックな師匠の人格否定のレッスンを、佐助は待ち遠しく感じるようになる。

 そんな日々の中、春琴が妊娠していることが発覚する。皆がふたりの関係を怪しんだが、春琴と佐助は関係を否定し、結婚もしない。結局、春琴は佐助そっくりの子供を出産し、里子に出してしまう。

 春琴が三味線奏者として独立した後もかわらず佐助が同行し、わがままな春琴の身の回りの世話をした。春琴の三味線の才能は世間に広く知られるようになる。そんな春琴のもとに、利太郎という名家の息子が弟子入りしてくる。利太郎は春琴の美貌が目当てで弟子入りしたため、彼女を梅見に誘って口説こうとする。しかし春琴は利太郎に厳しく当たり、稽古の仕置きでケガをさせる。

 …

全文を読む

「人妻と少女の同性愛」「燃えるような不倫関係」小説の美しいベッドシーンまとめ

「人妻と少女の同性愛」「燃えるような不倫関係」小説の美しいベッドシーンまとめ

 小説に登場するベッドシーンは、グロテスクに性を炙り出したものから、爽やかな切り口でえぐみをまったく感じさせないものまで、実に多種多様だ。本稿ではそんな中から、素直に「美しい」と感じるベッドシーンを5つご紹介したい。

このまとめ記事の目次 ・ため息の時間 ・失楽園 ・さよなら、ニルヴァーナ ・卍 ・ボクたちはみんな大人になれなかった

■蘭の花は、美しく官能的…まるで女性の身体のよう

『ため息の時間』(唯川恵/新潮社)

『ため息の時間』(唯川恵/新潮社)は恋をせずにいられない男女のための短編集。「夜の匂」は、付き合いたての男女を描いている。

長いキスの後、井沢は右手で幹子の両手首を掴み、頭の上へと持ち上げた。それから脇の下に顔を突っ込み、舌を這わせた。かすかにあの蘭に似た甘酸っぱく、生々しい匂いがした。

 蘭という花の、美しさとグロさを併せ持った様を、女性と結びつける描写が印象的だ。この話は途中から彼女(幹子)の親友が介入してきて予想外の結末を迎えるので、ぜひそこもチェックしてほしい。

■燃えるような禁断の愛は、切なく、美しい

『失楽園』(渡辺淳一/講談社)

全文を読む

妻にするため少女を自分好みに育てるつもりが…奴隷に――谷崎潤一郎『痴人の愛』

妻にするため少女を自分好みに育てるつもりが…奴隷に――谷崎潤一郎『痴人の愛』

『痴人の愛 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 28歳独身の河合譲治は、模範的なエリートサラリーマンである。女性経験もなく、真面目すぎる彼は会社で「君子」と呼ばれていた。世間を知らない少女を引き取って教育し、時期がきたら結婚するという願望を持っていた彼は、浅草のカフェの見習いの給仕であるナオミという15歳の美少女を見初める。彼は実家が貧しい彼女を引き取り、2人暮らしを始める。

 ナオミが16歳になった春、ふたりは入籍する。譲治は洋服、食事、習い事など、ナオミが欲しがるものは何でも与え、一流の女に育て上げようとした。ナオミの女としての肉体的な魅力は増してきたが、彼女は頭も行儀も悪く、浪費家で飽きっぽい女になってしまった。

 ある日譲治は、ナオミが男と立ち話をしているのを目撃する。彼はナオミが何人もの男と深い仲になっていることに気づき、彼女を家に閉じ込めた。それでも男と密会していることが分かり、彼は怒鳴ってナオミを身ひとつで追い出してしまう。

 しかし彼はナオミが恋しくて、また心配で仕方がなくなる。探してみると、彼女はダンスホールで知り合った男の家…

全文を読む

「この指がなまなましく覚えている」味わい深いエロ! 【文豪に学ぶ官能表現講座】

「この指がなまなましく覚えている」味わい深いエロ! 【文豪に学ぶ官能表現講座】

 文学と言われると、なにか崇高でお堅いものをイメージする方もいるかもしれないが、名作とされる文学にはかなり踏み込んだ性描写が実際多く存在する。ふだん我々が、単に「エロいなぁ」「興奮するなぁ」という言葉だけで済ませているようなシチュエーションや心理状態も、文豪の手にかかれば一層輝くのだ。「そんな言葉で例えるの!?」「こんなに細かく説明するの!?」「自分では言葉にできなかったけど、これを読んだら自分があの時どうして興奮していたのかが分かる気がする!」などと感じさせられる文豪たちの官能的な文章を5点ご紹介したい。

■湯上り姿は15~20分後が旬! ——谷崎潤一郎『痴人の愛』

『痴人の愛 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 やはり文学に潜むエロと言えば、この人は欠かせない。谷崎潤一郎は性をテーマに描いた名作を多く生み出しているため学校で習うことは少ないが、そのクオリティは凄まじい。代表作『痴人の愛』は、真面目な男がいずれ自分の妻にするために15歳の少女を育てるが、次第に少女の魔性にとりつかれ下僕になっていく様子を描く物語だ。

一体女の「湯上り姿」と云うもの…

全文を読む

【1分間名作あらすじ】谷崎潤一郎『卍』――同性愛と不倫。卍模様に交錯する愛

【1分間名作あらすじ】谷崎潤一郎『卍』――同性愛と不倫。卍模様に交錯する愛

『卍 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 夫に不満のある園子は、通っている美術学校で光子という美しい女性に出会い、やがてふたりは同性愛の関係を持つようになる。園子の夫は次第に、園子と光子がただの友達関係ではなさそうだと不信がるようになる。

 光子は同性の園子とは別に綿貫という男とも交際しており、光子の妊娠が発覚する。しかしこの妊娠は、光子を自分だけのものにするために綿貫がついた嘘だった。綿貫は性的不能者であることを秘密にしていたのだ。光子は園子のことを愛していたが、嫌いな綿貫から束縛され、逃げられずにいた。

 綿貫の策略はますます過激になり、逃げ場を無くした園子と光子は死なない程度に服薬し、計画的に心中を装う。これにより綿貫は光子と会えなくなった。ふたりは搬送され眠っていたが、先に目覚めた光子は、看病をしていた園子の夫と性関係を持ってしまう。そして彼が光子の初めての男になってしまった。

 誰かが不幸になるなら全員で死ぬと約束し、光子と園子、光子と園子の夫という3人の奇妙な恋人関係が始まった。夫婦は次第に光子に支配されていく。ふたりは毎晩、光子に…

全文を読む

【1分間名作あらすじ】谷崎潤一郎『刺青』――「美女の肌に刺青を彫りたい」日本を代表するフェティシズム小説

【1分間名作あらすじ】谷崎潤一郎『刺青』――「美女の肌に刺青を彫りたい」日本を代表するフェティシズム小説

『刺青(新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 大きな動乱もなく、人々がのんびりと暮らしていた時代。そんな世の中では美しい者こそが強者であり、多くの人は美を求めて入れ墨をしていた。

 元浮世絵師の清吉は、大変評判の高い若手の刺青師(ほりものし)であった。江戸中の者が優れた入れ墨をしてもらうために彼のもとを訪れたが、清吉は理想的な骨格と肌とを持つ者しか相手にしなかった。彼は「美女の肌に己の魂を彫り込みたい」と長年願望を抱いていたが、理想とする女は江戸中を探してみてもなかなか見つからなかった。

 ある夏の日、料理屋の前で籠のすきまから真っ白な女の素足がはみ出ていた。足を見ただけだが、才能ある彼の目にはその女のすべてが見えており、この女こそが自分が長年求めていた理想の女であると確信するに至った。清吉はその籠を追いかけたが、やがて見失ってしまう。

 翌年の春の朝、清吉のもとによこされた使いの娘が、まさにあの女であった。彼は帰ろうとする娘を引き留め、「この絵にはお前の心が映っている」と言いながら、処刑される男を眺める妃が描かれた絵画と、男たちの屍骸に魅せられる若い…

全文を読む

「谷崎潤一郎」のおすすめ記事をもっと見る

「谷崎潤一郎」のレビュー・書評をもっと見る

「谷崎潤一郎」の本・小説

陰翳礼讃

陰翳礼讃

作家
谷崎潤一郎
大川 裕弘
出版社
パイインターナショナル
発売日
2018-01-18
ISBN
9784756250124
作品情報を見る
陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫)

陰翳礼讃・文章読本 (新潮文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
発売日
2016-07-28
ISBN
9784101005164
作品情報を見る
文章読本 (中公文庫)

文章読本 (中公文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
中央公論社
発売日
1996-02-18
ISBN
9784122025356
作品情報を見る
細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
発売日
1955-11-01
ISBN
9784101005126
作品情報を見る
細雪 (中公文庫)

細雪 (中公文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
中央公論新社
発売日
1983-01-10
ISBN
9784122009912
作品情報を見る

「谷崎潤一郎」人気の作品ランキングをもっと見る

「谷崎潤一郎」の関連画像・写真

「谷崎潤一郎」の関連画像・写真をもっと見る