娘のために風俗店で働くシングルマザーと出会ったのは――「Deep Love」シリーズ最新作が私たちに問いかける“本物の愛”
公開日:2019/2/16

2000年代初め、10代の女の子たちを虜にしたケータイ小説があった。その人気は、書籍になってますます広がりを見せ、シリーズ累計840万部超え(漫画版を含む)。そして2018年、そんな伝説のシリーズ「Deep Love」が復活し、また新たな愛をわたしたちに向けて問いかけはじめた。2019年2月、そのシリーズ最新作として刊行されたのが、『Deep Love Again(1)』(Yoshi:原案、久嘉めいら:漫画/講談社)だ。
『Deep Love Again』では、「Deep Love」シリーズの作者であるYoshi氏が原案を、久嘉めいら氏が漫画を担当。物語は、最愛の人・アユを亡くした義之(よしゆき)とレイナのファーストシーンから幕を開ける。


このふたりと巡り合う本作の主人公は、風俗店で働くシングルマザー、27歳の楓(かえで)だ。彼女には、稼がなくてはならない理由があった。一刻も早く、6歳の娘・里麻(りま)の手術費用を貯めなければならないのだ。



病に苦しみ、追い詰められていた里麻の胸中を知った楓。これ以上、里麻を待たせることはできない。里麻は楓の、たったひとつの生きる意味だ。
楓は無理をして仕事を増やすが、食うや食わずの生活では、当然身体がもたなくなる。風俗の仕事でも、写真と違って痩せすぎていると言われてしまうなど、支障を来すようになってきた。そんなとき──。


大衆食堂の店主・秀人(ひでと)は、楓が街でひったくりに遭ったとき、親切で助けてくれた人だった。楓にとって彼の存在は、切り詰めた暮らしの中の、たったひとつの安らぎでもあったのだ。
甘えてはいけない。里麻を救うために、他人の優しさなど邪魔なだけ。楓はそんなふうに自分を奮い立たせようとするけれど、里麻の容体はますます悪化し、貯金額は手術代に追いつかない。窮地に立たされた楓は、とうとう最後の手段を取るしかなくなった。だが、人として恥ずべきその行為を、よりによって秀人に目撃されてしまい……?
注記しておきたいのは、これは序章のはじまりにすぎないということだ。楓を翻弄する運命の大波は、これだけでは終わらない。「Deep Love」シリーズを象徴する息もつかせぬ展開は、新シリーズにおいても健在だ。それどころか、より過激さと深さを増して、わたしたちの心の奥に迫る。
「Deep Love」シリーズが大ブームとなったあのころ、どうしてわたしたちは、あんなにもこのシリーズに夢中になっていたのだろう。答えはおそらく、「愛については、誰も正しいことを教えてくれないから」ではないかと思う。
『Deep Love Again』に登場する人物たちも、“愛”というあいまいなものに振り回され、行動を支配されている。愛することで、大切な相手を傷つけるかもしれない、苦しめることもあるかもしれない。けれど、その愛でしか癒せないものがあるのも事実だ。
20年前、ケータイの画面に愛の答えを探した人も、新しく愛の深淵をのぞき込もうとする人も、“Again”のタイトルどおり、今一度、この物語を通して、自分にとっての“愛”とはなにかを考えてみてほしい。
文=三田ゆき