「見守る」と「監視する」は違う! 子供の成長に合わせて距離感を選び直そう/頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て④
公開日:2020/7/3
親が頑張りすぎないほうが、子どもは伸びる! 個別指導塾で、5000組を超える家庭と面談をしてきた著者が気づいた「本当に頭がいい子の育ち方」。それは、「与えられる」のではなく、「見守ってもらえる」環境だった!

頭がよくなる3原則プラス1
原則② 見守る
頭がよくなる「3原則プラス1」。原則②は「見守る」です。
ここでお話しする「見守る」という関わり方は、子どもの自主性を引き出すうえで大切な役割を果たします。過剰な手出しや口出しをしないことで子どもの挑戦する意欲をあと押しし、それでいて必要なときには気づいて手助けすることで致命的な挫折はさせない、ほどよい関わり方です。
ただ、中には、子どもを見守るつもりが、いつの間にか「監視」になっている親御さんがいます。まずは「見守る」と「監視する」の違いを押さえておきましょう。
「見守る」と「監視する」の違い
公園で子どもを遊ばせている親御さんは、だいたい2パターンに分かれます。
ひとつは「ブランコをこいでいるそばに行ったら危ないから、気をつけるんだよ」と、本当に大事な注意だけをして、あとはそっと見ているパターン。
もうひとつは、「そっちへ行っちゃダメでしょ、それをさわったら汚れるでしょ」と、子どもの行動にいちいちダメ出しをしてしまうパターンです。
どちらの親御さんも、子どもを遊ばせてあげようと公園に来ています。しかし前者は最低限の注意をするだけで済み、後者は決して本意ではないのでしょうが、あれこれと指図をしてしまっています。
まさに「見守る」と「監視する」の違いです。
この違いはどこからくるのか。ひと言で言えば、「子どもへの信頼」があるかないかに尽きるでしょう。
「あの子は、ここまでならば大丈夫。ここを超えそうなときだけ注意しておけばいい」という信頼を持っている親は、子どもを監視せずに済むのです。
親が子どもを監視してしまうと、子どもの側も「お父さん・お母さんのOKをもらわなきゃ」「お父さん・お母さんの機嫌がよくなることがいいことだ」と考えてしまい、いつまでたっても自立できません。
監視に陥らないためには、子どもを信頼することが大切です。
まずは子どもの「今日の姿」を見よう
「子どもを信頼するといっても、具体的にはどうしたらいいの?」という声が聞こえてきそうですね。
それは「見守る」という言葉の中に答えがあります。
「見守る」とは「見て、守る」ということ。まずは見てください。何を見るのか。子どもの「今日の姿」をです。
「見守る」とは、子どもの成長に合わせて距離感を選び直すことです。子どものできることは日々変わっていきますから、それに合わせて親も距離感を見直すことが必要になります。
まだ小さいうちはどこに行くにも手をつなぎ、角を曲がるときにも親が一歩先に出て、危なくないか注意してから曲がっていたことでしょう。
それが何年かたつと、手をつないで歩く必要がなくなります。それでもまだ、子どもと一緒に歩いていたはずです。
さらに子どもが成長すると、1人で大丈夫だと信頼できるようになり、一緒に歩く必要がなくなります。
このように、どこまで任せ、どこから保護するのかを選ぶ。これが「見守る」ということなのです。適切に見守ることが、子どもを信頼することにつながります。
子どもの成長に合わせて距離感を選び直す
子どもを守りたい気持ちが強い人や世話好きな人は、注意が必要です。子どもがすでにできること、ちょっと頑張ればできそうなことまで、先回りしてやってあげてしまいがちだからです。
そんな親御さんに意識していただきたいのは、「ひき算の保護」です。
たとえば「あの子は服を自分で引き出しに片づけられる。ということは、私は服をたたむところまでしてあげれば大丈夫だな」とか、「牛乳をコップに注ぐところだけ手伝えば、あの子は朝食の用意が1人でできるな」といったようなことです。
子どもの成長に応じて、親がどこまで手助けするかを決めるのです。余計な手助けをせずに見守ることで、子どもは小さな成功体験を積むことができます。
「距離感の選び直し」の指針としてわかりやすいのが、山口県で長く教育に関わられた緒方甫先生による「子育て四訓」です。
一、乳児はしっかり肌を離すな
二、幼児は肌を離せ 手を離すな
三、少年は手を離せ 目を離すな
四、青年は目を離せ 心を離すな
子どもの成長に合わせた距離感や親のあり方がシンプルな言葉から伝わります。
もちろん、子どもの成長速度は一定ではありませんし、時には後戻りもします。先週はできていたことが、今週はまたできなくなっていたりすることもあります。子どもの成長は常に「前進」ではありません。今のお子さんに合った距離感で見守ってあげてください。