「一人の小説ファンとして早く続きが読みたいです」『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』THE RAMPAGE川村壱馬インタビュー
公開日:2021/3/12

2月25日に刊行された『小説 BATTLE OF TOKYO vol.1』(角川文庫)が話題を呼んでいる。「BATTLE OF TOKYO」とは、Jr.EXILE世代の4チーム――GENERATIONS、THE RAMPAGE、FANTASTICS、BALLISTIK BOYZ――から総勢38名が集結し、遥か未来の架空都市「超東京」を舞台にコラボバトルを繰り広げる次世代エンタテインメント・プロジェクト。本プロジェクトでは、Jr.EXILEのメンバー自らが、その分身となるキャラクターの名前や設定を考えているという。
物語の中で用心棒集団「ROWDY SHOGUN」のメンバー・ルプスとしてその分身が活躍する川村壱馬さん(THE RAMPAGE from EXILE TRIBE)は、圧倒的読書量を誇る小説好き。小説版によって初めてストーリーの全貌を知った川村さんに、感想を伺った。
僕は普段から本が好きでよく読むほうなんですが、「BATTLE OF TOKYO」(以降BOT)の小説を読んでまず思ったのは、「ものすごく読みやすい」。小説を読むのが苦手だなとか、あとはSFってちょっと難しいのかなと思っている人も、スラスラ読めるし絶対に楽しめます。
Jr.EXILEのことを知らなくても、全く問題ないですね。この本の作りですごくいいなと思ったのは、BOTの38人のキャラクターを、元になったJr.EXILEの38人のメンバーと紐づけて解説していないことなんです。その辺のことを知っていると楽しめる部分もあるけれど、知らなくてもいい。僕自身、読んでいて「あれ、このキャラクターはどのメンバーが考えたんだっけ?」と、情報が合致しない部分もあったんですが、純粋に小説自体が面白いから一切気になりませんでした。
内容的にはタイトルに「vol.1」とある通りで、BOTの基本的な設定であるとか、4つのグループの紹介という面が強いです。1章ごとに一つのグループがフィーチャーされて、メンバー構成やグループ特有の能力が出てくるんですけど、単に「顔見せしますね」みたいな感じではないんですよ。1章ごとにちゃんとでかい事件が起きて、きっちりオチのついたお話になっているんです。アクションシーンも、小説を読んでいるとは思えないくらい、頭の中で映像が動きました。加えて、この物語はけっこう考えさせられる面もあるんですよね。BOTの世界では3Dプリンターの技術がかなり進化していて、あらゆるものが複製可能になっている。でもその中で、複製できないオリジナルなものの価値があって……という。何が本物で、何が偽物なのか、いまの世の中における産業的な話とリンクするなと感じました。
ちょっとだけ現実の僕らの話をすると、Jr.EXILEの中で僕らTHE RAMPAGEはダントツでメンバーが多くて、16人いるんです。ROWDY SHOGUNがフィーチャーされた章(Chapter3 守護篇)は、16人全員を出すのがけっこう大変じゃないかなと思っていました(笑)。でも、メンバーが目まぐるしくポンポン出てくるところは他の章にはない楽しさだったし、いつものグループの仲の良さというか、16人ならではの信頼感の厚みは「あぁ、THE RAMPAGEだ」と感じて嬉しかった。
ボディガードの仕事をしているROWDY SHOGUNは、4つのグループの中でも一番「正義!」というイメージを抱きました。少年漫画のヒーローものっぽい雰囲気があって、単純にかっこいい。「ルプス」という自分のキャラもものすごくかっこよく書かれていたんですが……実はルプスって、小説の中に登場してから名前が出てくるまで、数ページのタイムラグがあるんです。だから最初、気が付かなかったんですよ。
ROWDY SHOGUNの章が始まってキタキターと思っていたら、六本木の街に名前のない男の子が現れて、女の子を助けるために、素手で悪い奴らに立ち向かう。悪い奴らが突き出したナイフを、素手で受け止めるんですね。その後に拳銃でお腹を撃たれるんですけど、服にちょっと穴が開いただけで平然としている。そのまま立ち去ろうとしたら、女の子に「あの、名前を……!」と言われて、後ろ姿のまま「『ROWDY SHOGUN』のルプスだ」。そのセリフを見た瞬間、「えっ、俺!?」って(笑)。そういえば顔面に1発入れられてたな、痛くもかゆくもないけどムカつくなって……すみません、現実と小説を一番混同しちゃっていたのは自分でした(笑)。
BOTは、まず小説から入った方が面白いし、理解しやすいかもしれません。「vol.2」ではROWDY SHOGUNとMAD JESTERSが戦いそうだなくらいの想像はできますけど、今後どういうストーリーになるのかは僕らも全く知らされていません。メンバーとしてだけではなく、いち小説ファン、いちSFファンとして、早く続きが読みたいですね。だって、謎が多すぎるじゃないですか。「vol.1」を読み終えた今は……クイズ番組を見ていて「正解はCMの後で!」と言われている状態なんですよ(笑)。
取材・文:吉田大助
写真:種子貴之
ヘアメイク:谷川一志 (KIND)