お店の本格点心を家でも食べられる! 包み方動画付きでわかりやすい感動レシピ

暮らし

更新日:2021/11/18

簡単・生地から作る本格点心
『簡単・生地から作る本格点心』(市川友茂/講談社)

 点心は“店で食べるもの”だと思っていないだろうか?

 小さなせいろに鮮やかに並ぶ専門店の点心は、培われた技術と経験がなければ到底作れない。事実、レシピ本を調べてみても、プロを目指している人向けの高額な専門書ばかり。自宅で作るにはハードルが高すぎる…と私自身も思っていた。

 ところが最近、素人でも気軽に手にとれる1冊が発売された。それが『簡単・生地から作る本格点心』(市川友茂/講談社)。著者は本場香港で点心を学び、世界大会点心部門で入賞を果たしたこともある「料理工房ICHIKAWA」のオーナーシェフ。辻調理師専門学校で長年教鞭をとった経験もあり、点心を学ぶために料理研究家も多く足を運ぶという凄腕だ。

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 本書はそんな著者が「家でも点心を作りたい」という多くの声に応えた点心ファン待望の1冊。本来点心はため息が出るほど手の込んだ工程を踏んで作られているのだが、本書にはそのプロセスができる限り簡単に、しかも丁寧にまとめられているから、「点心作り、ちょっと気になる…」という人にこそ気軽に手にとってもらいたい。

点心の楽しみは皮にあり! 手作りならではのもちもち、プリプリ食感に感動

簡単・生地から作る本格点心 P26-27

 餃子、焼売、えび蒸し餃子、ごま団子、パオズ、中国式パイ…。ページをめくってみると、見るも鮮やかなプロの点心の写真が並んでいる。「おいしそ~う!」という感情と同時にこみ上げてくるのが、「こんなに立派な点心を、果たして自分で作れるだろうか…」という不安。が、ここで怯むなかれ。生地のこね方、のばし方、包み方などは、丁寧にコマ送りのプロセス写真で解説されている上、ページに付いているQRコードから包み方の動画解説も見ることができる。これなら、初めて作る人でも途中で迷子になることはきっとない。

簡単・生地から作る本格点心 P28-29

 何を作ろうか迷ったら、まず手始めに身近な材料で作れる「餃子」や「水餃子」から作ってみるのがおすすめ。これなら休日に家族や友人を巻き込んでワイワイ作れそうだ。点心の生地はパンを作る時のように一生懸命時間をかけてこねる必要はないので、意外と手軽にできるはず。

簡単・生地から作る本格点心 P20-21

 生地をこねて、のばして、包んで…と皮から手間ひまかけて作った餃子は、できあがりの感動もひとしお! 一口ほおばれば、作りたてならではの皮のプリプリ感ともちもち感が一気に押し寄せ、この上ない幸せに包まれるはずだ。「ねぎ油ソース」や「炒め豆板醤」といった点心に合うつけダレのレシピも載っているので、併せて作って味変を楽しんでほしい。

 1度作ってみて全体の流れがわかったら、次はせいろを使った「焼売」や「えび蒸し餃子」、「ごま団子」にも挑戦を。慣れてくればこんな美しい点心も、プロ顔負けの完成度で作れるようになるかも…!

簡単・生地から作る本格点心 P40-41

 せいろを持っていなくても、自宅にある蒸し器を使えばOK。蒸し台などのパーツを揃えれば鍋でも簡単に蒸すことができる。そのほかの道具も、基本的には家にあるもので事足りるから、最初から特別なものを揃える必要はない。

 本書のレシピをコンプリートすると、10種の生地、22種の包み方をマスターできる。生地の作り方さえ覚えれば、包み方や餡は好きなようにアレンジできるのもおもしろい。たまにはじっくり料理に時間を費やすのもなかなかいいもの。時間を忘れて没頭できる点心作りは、疲れた脳をおいしくリセットしてくれそうだ。

文=齋藤久美子