「焼き肉用」「煮込み用」…お肉は調理方法によって選ぶのが大事/その下ごしらえ、ホントに必要?

暮らし

公開日:2022/2/21

煮込み用のお肉はスジが多いから、長い時間かけて煮込むの。そうするとコラーゲンがゼラチンに変わり柔らかくなって、美味しくなります。

野田

野田 先日スーパーで特売の肉を買って、焼いてみたらなんだか固くて。それでよく見たら「煮込み用」って書いてあったんです。

松本

松本 私、以前から気になってるんですけど、「焼くだけでいい」肉と「煮込まないとだめ」な肉、その区別がついてない人が意外と多いなと思うんです。これ、初心者に限らないの。「お肉が安かったから買ってきたのよ」と言って、カレー用とかシチュー用の肉を買ってきて、それを焼いちゃう人がいるんですね。そして「焼いたら固くて食べられなかった」と言っていて。

野田

野田 それはまさに僕のことです(笑)。よく見ると肉のパックには「焼き肉用」とか「カレー用」と書いてありますよね。

松本

松本 基本的なことなのですが、ステーキでも焼き肉でも、ただ焼くだけでいいのは「短時間火を通すだけでいい」というお肉なの。カレー用やシチュー用は、コトコト煮て「長時間火を通さないといけないお肉」ということなんです。そこのところを、意外とわかっていらっしゃらない方が多くて。お肉の場合はそういう風に大きく分けられるということ、その上でそれぞれに安い肉・高い肉があるということを知っておいて頂くと間違えずにすみます。

野田

野田 実際、煮込み用の肉を焼いて食べてもあまり美味しくなかったです。

松本

松本 美味しくないというよりもお肉が固いんです。本当に短時間焼いただけだと、嚙みきれないぐらいかもしれないですね。

野田

野田 焼き肉用と煮込み用では、何が違うんでしょうか?

松本

松本 煮込み用のお肉には筋が多いんです。すね肉、バラ肉などが固いんですが、足とか肩とかよく動かすところはスジが発達していて固いんですね。「牛スジ」として売られてるのはもう本当にスジだけの塊なんですけど、スジというのはコラーゲンが多いんです。コラーゲンは最低1時間半ぐらい煮ないと柔らかくならない。

野田

野田 そういうスジが多い肉は、煮込み用の肉として売られているわけですね。

松本

松本 逆に、焼き肉用のお肉は筋肉繊維が主でスジが少なくて柔らかいんです。あまりそういうことをする人はいないと思いますが、焼き肉用のお肉をコトコト煮たとしますよね。そうすると、筋肉というのは加熱すると繊維の束がほぐれる一方、繊維自体は固く締まってきますから、せっかくの柔らかいお肉がパサパサになってしまう。だから、お肉は「焼くための肉」「煮込まないとだめな肉」に分けられるということなんです。

野田

野田 やっぱり肉の用途はちゃんと守らないと美味しくないんですね。

松本

松本 一般的には、煮込み用の肉の方が安いことが多いですね。煮込み用をコトコト煮込むと、スジのところがぷるぷると柔らかくなってきますし、赤身のところは筋肉がほぐれていきますから、全体としては柔らかく感じられて美味しくなります。

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