ケンカして、家を出て行ったひとり娘。父が出した手紙への返答は…【意地っ張りな父娘】/5秒後に意外な結末 オイディプスの黒い真実⑥
更新日:2022/7/20
数ヵ月後――。とある喫茶店に、奇跡的に病気から回復した男の姿があった。
一緒にお茶を飲んでいる相手は、彼の娘だった。
「あの時、素直に会いに来てくれていたら、俺は思い残すこともなくなって、死んでいただろうな」
まだ病気が完全に回復していないのか、男は弱々しく笑いながら言った。
「でも、『会いたいのなら、お父さんのほうから謝りに来ればいいじゃない』なんて手紙を送って来るから、俺も意地になって、『お前に会いに行くまでは』と踏ん張ることができた。ありがとう。それと、あの時は、すまなかったな」
「別に……。『再会』が、親の死に目だなんていうのが、嫌だっただけよ」
そう、きつい口調で言う娘の目には、うっすらと、涙がにじんでいた。
