言葉より愛が伝わる絵本『100万回生きたねこ』[45周年限定版]

文芸・カルチャー

公開日:2023/6/26

6月といえば結婚式。「ジューンブライド」は、ヨーロッパに古くから伝わる伝承で、6月に結婚式を行うと一生幸せな結婚生活を送られるとされています。

では、結婚式の前に必要なものといえば?――そう、プロポーズ! いつもいっしょにいたい、手を取り合って幸せな家庭をつくりたい……愛する人に伝えたい気持ちはいっぱいあるけれど、照れくさかったり緊張したりしてうまく言う自信がない。そんなあなたに勇気を与え、お相手に愛を届けられる絵本が、大ベストセラー絵本の豪華装丁版、『100万回生きたねこ』[45周年限定版]です。

今回ご紹介するのは、実際に『100万回生きたねこ』を愛する方に贈り、今も幸せなご家庭を築いている絵本ナビスタッフTさんのおはなしです。

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100万回生きたねこ[45周年記念限定版]

作・絵:佐野 洋子

出版社からの内容紹介

佐野洋子の不朽の名作絵本『100万回生きたねこ』は2022年に発売45周年を迎えました。

窓あきの赤い函に入った瀟洒な布装、タイトルの金箔押しなど、
持っているだけでうれしい特別な本ができあがりました。

いまだけ手に入る名久井直子デザインの限定版。
プレゼントにも、自分のための愛蔵版としてもぴったりの『100万回生きたねこ』です。

*2000部限定(シリアルナンバー入り)
*とらねこの特大ステッカー入り
*サイズ 左右20センチ×天地18.5センチ

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「きっと私の愛が届くはず!」と信じて選んだ絵本

もともと、結婚願望があまりなかったというTさんは、自分を「主人公ののらねこみたい」だと思っていました。今までいろんな人に守られて生きていたことに気づかず、「別に自分ひとりでいいじゃない」と思っていたそうですが、だんなさんに出会って気持ちが大きく変化したそうです。

そんなとき、たまたま『100万回生きたねこ』を読み返したTさんは、大切なだんなさんに絵本をプレゼントしようと思いつきました。

結婚したときに、だんなさんに何か特別なものを贈りたいと考えていました。ちょっと変わったギフトで、ふたりを象徴するような思い出に残るものはなんだろうとかなり悩んで……。

日頃から思いつく限りの言葉で愛を伝えても、疑り深いだんなさんには今ひとつ響いていないのを感じていたので、人生観を揺るがしたこの絵本なら「だんなさんにもきっと私の愛が届くはず!」と信じて、この絵本を贈ることにしました。

〝日頃から言葉で愛を伝えていたのに、今ひとつ響いていない〟という、Tさんのだんなさん。さて、絵本を受け取ったときは、いったいどんな反応だったのでしょうか?

だんなさんはとても照れ屋なので、「これ、私の気持ちです。」と手渡したときはゆっくりとその絵本を読んで、「うん。わかった」と短い返事をしただけでした。でも私には、ちょっと涙ぐんでいるようにも見えました。

キャー! 言葉は少ないけれど感動した様子が伝わってきて、キュンキュンしちゃいますね♥ そんな風に贈られた『100万回生きたねこ』。今はどうなっているのでしょうか?

絵本は、だんなさんの書斎に置いてあります。

専門書籍の隣にこの絵本が並んでいるのは不思議な光景ですが、居心地が良さそうです。

実は手渡した絵本は、15年以上前の私物でボロボロだったので、以前購入した2冊目をギフトとして手渡しています。その後、私たちはふたりの子宝に恵まれ、毎日、子育てに明け暮れています。結婚当初の甘いエピソードはすっかり忘れがちですが、時折この絵本が目につくことがあります。そんな時はすべてをやめて座りこんで読みふけって、今ある幸せのありがたさを心から噛みしめます。

こちらが愛するだんなさまの書斎にある『100万回生きたねこ』です

実はTさんが『100万回生きたねこ』をパートナーに贈ったエピソードは、2013年に公開された『100万回生きたねこ』200万回突破記念 編集・山田智幸野さんインタビューで登場しています。

あれから10年――子どもたちは4歳と1歳になりました。ふたりで仲良く『100万回生きたねこ』の絵本を読んでいますが、まだちょっと難しいかしら? でもこの本が、お父さんとお母さんにとって大切な絵本だということは、きっと子どもたちにも伝わっているでしょう。

それにしてもTさんのおはなしは、本当に『100万回生きたねこ』ののらねこと白いねこが結婚し、子どもたちに恵まれたのと同じです。幸せいっぱいのTさん、今後の夢は?

子どもたちがそれぞれ大きくなったら、この絵本をいっしょに読んで、何を感じたか語り合うのが今後の夢です。

いつか、子どもたちの本棚に仲間入りする日が来るかも

 

Tさんの夢が現実になるのを待っています!

プロポーズだけでなく、改めて自分の愛をお相手に伝えたいときにもぴったりの『100万回生きたねこ』。今なお熱い気持ちを表したかのような鮮やかな赤が美しい、豪華装丁の『100万回生きたねこ』[45周年限定版]が、絵本ナビで販売中です。

装丁家の名久井直子さんが手掛けた落ち着いた佇まいの絵本は、新婚さんはもちろん、長年連れ添ったパートナーや、結婚して巣立っていくお子さんへのプレゼントにもぴったりです。

100万回生きたねこ[45周年記念限定版]

作・絵:佐野 洋子

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スタッフTさんの、心に残る名シーン

素敵なエピソードを教えてくれたTさんに、『100万回生きたねこ』で好きなシーンを聞いてみました。

ひとつは「ねこは もう、けっして 生きかえりませんでした。」という言葉と、2匹のいなくなったその後の風景が描かれた、最後のページです。ページをめくって、その文字が見えた瞬間に涙があふれて、「ああ、ねこは本当に幸せだったんだなぁ。本当によかった。私もそんな風に感じて一度きりの人生を生きたいな」と、読むたびに清々しい気持ちになります。

もうひとつが、ねこが、白いねこに「そばに いても いいかい。」とプロポーズする場面。あんなにいろいろ、のらねこに口説かれても、「そう。」としか言わない、一見つれない態度の白いねこが、ねこのプロポーズに対して「ええ。」と一言で承諾するところです。口数の少ない、だけどちゃんと人(ねこ?)を見抜いて受け止めた、度量のある白ねこの毅然とした態度と美しさ、潔さ。その生き方に憧れますね。

ほかにもある!「愛を伝える絵本」絵本ナビおすすめ6選

唯一無二の愛を描いた『100万回生きたねこ』のほかにもある、素敵な絵本を紹介します。

しろいうさぎとくろいうさぎ

文・絵:ガース・ウィリアムズ訳:まつおか きょうこ

出版社からの内容紹介

白いうさぎと黒いうさぎは、毎日いっしょに遊んでいました。でも、黒いうさぎはときおり悲しそうな顔で考えこんでいます。心配になった白いうさぎがたずねると「ぼく、ねがいごとをしているんだよ」と、黒いうさぎはこたえます。黒いうさぎが願っていたのは、白いうさぎといつまでもいっしょにいられることでした。それを知った白いうさぎはどうしたでしょうか? 結婚式の贈り物に選ばれることも多い、優しく柔らかな2匹のうさぎの物語。

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あなたなんてだいきらい

作:きむら ゆういち絵:高橋 和枝

出版社からの内容紹介

あなたの寝顔、まじめな顔、だいきらい。困った顔、恥ずかしそうに笑った顔、これもキライ。でも何より一番キライなのは、私のそばにいないあなた。だから……。

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そのままのキミがすき

作:きむら ゆういち絵:高橋 和枝

出版社からの内容紹介

たとえばキミが、穴のあいた靴下をはいてても、漢字が書けなくても、世界中がキミをブスと呼んでも、80歳をすぎても、そのままのキミでいいんだよ。きむらゆういち&高橋和枝の大人の絵本。

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どうして パパと けっこんしたの? どうぶつたち それぞれのこたえ

作・絵:桃戸 栗子

出版社からの内容紹介

ペンギンの子がママに「どうして パパと けっこんしたの?」と聞くと、ママペンギンは「パパが くれた こいしが ステキだったからよ」と答えます。ヒゲペンギンやアデリーペンギンのオスは求愛行動として、メスに小石をあげるのです。ライオン、ゴリラ、タヌキ……動物によって、メスがオスを選ぶ理由はさまざま。美しくあたたかみのある絵が印象的な、図鑑とは一味違う、ぬくもりが伝わってくる動物の絵本です。

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ぼく おかあさんのこと…

作:酒井 駒子

みどころ

子どもの気持ち、ママに届くかな。

ぼく、おかあさんのこと……キライ!
ねぼすけで日曜日の朝はいつまでもいつまでも寝てるし、ドラマばかりみてマンガみせてくれないし、すぐ怒るし……。何より、ぼくとは結婚できないっていうし!

男の子とママの関係って、ちょっと特別なんですよね。(女の子とパパも!)
そう、結婚したいくらいママが大好きなんです。そんな愛情の裏返し、うさぎのぼくとママとのやりとりに、気付かされることも多いのではないでしょうか。大人の都合で「しかたがない」と思っていることでも、子どもから見ると納得がいかないことがたくさんあります。
酒井駒子さんの描くうさぎは愛おしさがにじみでる美しさ。
ママが自分のためにも手元に置いておきたい、そんな絵本です。

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ねこの結婚式

作:安房 直子絵:いもと ようこ

出版社からの内容紹介

大人も子どもも“名作を読もう”
安房直子+いもとようこ
本当に美しいぼくのねこ チイ子。ある日、きたならしい のらねこのギンが、ぼくに出席してほしいと、結婚式の招待状を持ってやってきた――――。

ぼくは美しい白猫を育てている。ある日、野良猫のギンが結婚式の招待状を持ってやってきた。ギンの結婚式に行ってみると、新婦は!?

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ひとくちに「愛」と言っても、人それぞれ、いろんなカタチがあります。自分の気持ちに近い物語を見つけたら、ぜひ結婚記念日やお誕生日に、あらためて貴方の愛を絵本で伝えてみてください。きっと、お相手との絆がいっそう深まることでしょう。

構成・文/ナカムラミナコ
選書/木村春子(絵本ナビ)

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