2月22日はねこの日 人とネコの関わりを感じる絵本(2024年2月 新刊&おすすめ絵本)

文芸・カルチャー

更新日:2024/2/15

スリスリゴロゴロ甘えてきたと思ったら、呼びかけにも応えないそっけなさ。こちらの都合などお構いなしに主張する強引さがあれば、まるで気持ちを読んでいるように静かに寄り添う謙虚さも。自由気ままでマイペース、甘えん坊なのに独立心があって、それでいてちゃんと優しい。ねこ好きさんに聞くその魅力は尽きませんが、「憧れの存在」という声が多いのは、動物の中でもねこならではのような気がします。ねこのようになりたい、ねこのように暮らせたなら……。
ねこに魅せられ共に暮らしている絵本作家さんは多く、ねこが主役の絵本もいっぱい! 数ある中からご紹介するのは、人と関わる姿が印象的なねこの絵本です。 大福に似ていて、ことわざにもなる。きょうだいがいてもひとり違う遊びをし、愛想なしのへそまがりなのに読み聞かせが好き。絵本の中には登場しないのに、しっかりとその存在を感じられる……個性豊かなにゃーにゃーにゃーが登場!
そもそもねこって性格が実にさまざまなのか、それとも関わる人に合わせて七変化するのか、謎や不思議も止まることがなく。飽くなきねこへの探究心、思う存分、絵本で満たしましょう!

豆大福にそっくり?!見まちがえてつかまえようとする町の人たちが次々と……子ねこは逃げることができる?『だいふくねこ』

だいふくねこ

作:いのぐち まお

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出版社からの内容紹介

町のかたすみで女の子が見つけた子ねこは、豆大福にそっくり! 女の子が、和菓子屋さんのうちにつれて帰ると、子ねこはお店でふまれそうになり、通りへ逃げ出してしまう。ところが町では、おじいさんとおばあさん、小学生たち、よっぱらいのおじさんなど、子ねこを豆大福と見まちがえてつかもうとする人が、つぎからつぎへとあらわれて……。町のあちこちで追いかけられ、逃げまどう子ねこ。はたして逃げられるのでしょうか!?

おなじみのことわざの一部が「ねこ」に置きかわったら?ねこと背くらべ、花よりねこ、棚からねこ……猫あるあるに共感!『とおくのしんせきより ちかくのねこ』

とおくのしんせきより ちかくのねこ

作:広瀬 克也

みどころ

もしあのことわざの一部を、「ねこ」に置き換えたら? ねこ好きなら一度は考えたことがある(?)夢のような一冊が誕生しました。どのページをめくっても、ねこ、ねこ、ねこ、そして、ことわざだらけ!

息子が「 これ、うちでもよくあるよね!」と声を上げたページをどれどれとのぞいてみると、「ねこの腕おし」。抱き上げられたねこが、人間の顔に両方の前足をピーンと突っ張らせて、これ以上近づけるなと言っているかのようです。「かいねこに手をなめられる」とか、「ねこと背くらべ」とか、もっとねこと人とが仲良しな絵はあるのに、よりによってそれかいと思わずにはいられませんでしたが、まあ、そんなものですよね……。

作者は広瀬克也さん。『妖怪横丁』や『妖怪遊園地』などの妖怪絵本シリーズが人気です。あの個性的な妖怪たちのように、ねこたちもまたそれぞれ個性的に描かれています。模様だけでなく、顔立ちや体つきも一匹一匹違います。でも、寝ているときの顔はみんなそっくり、幸せそう。

絵本でことわざを勉強だ、なんて構えずに、新しいことわざが生まれたぞ!とおもしろがるくらいの気持ちで楽しく読んでみてくださいね。

生まれた時から一緒の「おまえ」、共に過ごし育った日々。いつもくっついていたけれど……子どもの旅立ちをねこの目線で描く『わすれていいから』

わすれていいから

作:大森 裕子

出版社からの内容紹介

あるひ、いえにやってきた おれ。
そこには、うまれたばかりの おまえ がいた。

ここは、おれたちのなわばり。

一緒に成長する猫と子ども。

二人とも隅っこが好きで、いつもくっついていたけど、
気がついたら隅っこに おまえ がいないことが多くなって――。

当たり前に過ごしている時間が愛しくなる、大切な人に贈りたい絵本です。

車の下でひとりぼっちで鳴く子ねこ。見守り、手をさしのべ、家を見つけようとみんなが集まって生まれるやさしく温かな輪『こねこのはなしではないおはなし 』

こねこのはなしではないおはなし

作:ランドール・ド・セーヴ絵:カーソン・エリス訳:石津 ちひろ

出版社からの内容紹介

ニューヨークタイムズのベストセラー作家であり、コールデコット賞を受賞したイラストレーター、カーソン・エリスによる、子猫が家を見つけるのを手伝うために集まったニューヨーク近郊のコミュニティで起きた実話を基にした心温まる絵本。

きょうだいねことはちがう遊びばかりする『こねこのぴっち』アヒルのまねをして池に入ってしまいーーハンス・フィッシャーの美しく愛らしい絵本

岩波の子どもの本 こねこのぴっち

作・絵:ハンス・フィッシャー訳:石井 桃子

出版社からの内容紹介

リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。

パンケーキを作ろう!思い立ったねこちゃんは、うさぎちゃん、くまちゃんと挑戦!ハプニングばかりだけどおいしくできるかな?『にちようびは パンケーキ!』

にちようびは パンケーキ!

作:マヤ・タツカワ訳:木坂 涼

みどころ

日曜日の朝、パンケーキを作ろうとしたねこちゃんは、材料が足りないことに気が付きました。そこで友だちのうさぎちゃんとくまちゃんに足りない材料を持ってきてもらうことに。早速、歌いながらスクーターに乗ってやってきた陽気なうさぎちゃん。くまちゃんもウキウキした様子で到着です。

ねこちゃんとくまちゃんは、手際よくパンケーキ作りを進めますが、うさぎちゃんはハプニングの連続。でもそのハプニングだってお楽しみ♪ みんなで仲良く、作っていきます。そうしてできたパンケーキ。きっとお味は格別だったはず!

作って食べて、満足したねこちゃんとくまちゃんはちょっと一眠り。うさぎちゃんは眠らないみたいだけど、何か用事でもあるのかな?

子どもの頃、日曜日の朝にパンケーキが出てくると、いつものトーストとは違う特別感がうれしかったことを思い出す1冊です。最後に「ねこちゃんのパンケーキ」の作り方が載っているので、のんびりできる日曜日に親子で挑戦してみてくださいね。

保護猫シェルターからきた愛想なしの『へそまがりねこ マックス』に家族はイライラ。その場しのぎのためにぼくが声に出して本を読みはじめると……!

へそまがりねこ マックス

作:ソフィー・ブラッコール訳:石津 ちひろ

みどころ

マックスは「ぼく」のねこ。ぼくは保護猫シェルターでマックスと出会い、一目で気に入って、家族に迎えいれました。

でも、マックスはぼくの家族をイライラさせる、あきれさせてしまうほどのへそまがりっぷり。とうとうママがシェルターの人を呼んでしまいます。慌てたぼくは、マックスを飼うときに約束した「毎日20分は本を読むこと」を実行し、なんとかその場を取りつくろおうとします。本を読むぼくの声にマックスはじっと耳をかたむけ、そしてついに……。

作者のソフィー・ブラッコールさんによると、アメリカのある動物保護施設には、子どもたちが猫を相手に音読の練習をするという取り組みがあるそうです。練習相手になった猫たちは、次第におだやかで社交的になっていったとか。そして、子どもと猫の間に友情が生まれて、猫が引き取られていくケースもあったそうです。

『へそまがりねこマックス』を読み終えた私の息子は、1歳になったばかりの猫を抱えると、キラキラした目で自室へと消えていきました。しばらくすると、息子の本を読む声が聞こえてきました。そしてさらにしばらくすると、猫が「出して!」と言わんばかりにドアを爪でカリカリする音が……。そう簡単にマックスのようにはいかないみたいです。

マックスほどではなくても、大なり小なり不可解なところのある生物、猫。猫と暮らしたがる人間もまた不可解な生物なのかもしれません。そんな猫と人間が、末永く一緒に暮らせますようにと願わずにはいられない絵本です。

行方がわからなくなったねこを探しに、凍てつく都会の街をひとりで歩く少年。「きっとだいじょうぶ」祈りは届くのかーー『この まちの どこかに』

この まちの どこかに

作:シドニー・スミス訳:せな あいこ

みどころ

この大都会に降り立ったのは、小さな子ども一人。知らない顔ばかりの中、大きな音や騒がしい人の声。きみはどんな気持ちでいるだろう。どうすればいいのか、わからなくなるよね。

でも、きっと大丈夫。そういう時は裏通りを通って、クワの木の下に隠れたり、暖かい蒸気が噴き出るダクトの下で、昼寝をするといいよ。公園に女の子がすわっていれば、ひざにのせてもらえるかもしれないよ。

吹雪で凍てつく街の中、その子が切なる思いで呼びかけているのは、行方不明になってしまった猫。状況を理解し、読者の誰もが胸をしめつけられる思いをする頃、全てをぎゅっと抱きとめてくれたのは……。

主人公の心情を表わすような景色の切り取り方。寒さが厳しくなっていく風景。道をたどりながら、見えてくる物語。悲しいけれど、あたたかい。まるで一本の映画を観ているような感覚になってくるのは、多くを語らないからなのか。シドニー・スミスが、初めて絵と文章の両方を手がけたというこの作品。美しい装丁も含め、自分だけの絵本として持っておきたくなる1冊です。

さとちゃんが手づくりした水色のめがね。ねこのごーぐるが作っためがねと一緒にかけてみると……!いわむらかずおさんが描くファンタジー『うそみーるめがね』

うそみーるめがね

文・絵:いわむら かずお

出版社からの内容紹介

さとちゃんは空き地で
地下の街の商店街でめがね屋さんをしている
ねこのごーぐるに出会う。
さとちゃんの手作りめがねとごーぐるのお店のめがねを一度にかけると
嘘を見破る不思議な力が。。。

動画でもおすすめ絵本を紹介しています

文:竹原雅子 編集:木村春子