結婚しなかった、子どもを産まなかった「後悔」を一生抱えるくらいなら「とりあえず結婚する」“とり婚”がいい理由とは?【インタビュー】

恋愛・結婚

公開日:2016/9/29


『とりあえず結婚するという生き方  いま独身女性に考えてほしい50のこと。』(池内ひろ美/ヨシモトブックス)

 年の差婚、授かり婚、週末婚、ビビビ婚。○○婚という名称が数ある中、新たにインパクト特大の名称が誕生した。その名も“とり婚”。「とりあえず結婚する」の略で、とり婚。……って、とりあえず結婚しちゃって、いいの!?

とりあえず結婚するという生き方 いま独身女性に考えてほしい50のこと。』(ヨシモトブックス)の著者・池内ひろ美さんは言う。「結婚は本来、大げさに考えたり、深く悩んだりするものではない。結婚を軽やかに、しなやかに行ってもいいのではないか」――。とは言え、結婚は人生の一大事。そう簡単に生涯の伴侶を決めていいのだろうか。池内さんに、とり婚の良さについてお話を伺った。

――なぜ“とり婚”という発想が生まれたのですか?

advertisement

池内ひろ美さん(以下、池内) 私は家族問題評論家として、夫婦の問題や親子関係について40,000人近くの人から相談を受けてきました。子育てや夫との関係など、いろいろな後悔をされる女性たちがいるのですが、中でも一番深い後悔というのが、結婚しなかった、子供を産まなかったというものなんです。60代、70代の方がそうおっしゃるんですよ。彼女たちはやり直しがきかないわけです。だからとりあえずでも、結婚したほうがいいと思うんです。いまの20代、30代の女性たちは、周りに独身の人がたくさんいるので、安心しちゃっているんですよね。それは将来の後悔につながる可能性が大きいです

――私は独身なのですが、とりあえず結婚して失敗したらどうしようと思ってしまいます。

池内 とりあえずという言葉の意味は、軽いものだと捉えられがちですが、元々の日本語としては『まず第一に』『何をさて置き』という意味なんです。失敗を怖がらないでほしいですし、失敗したらどうしようと思っていると、失敗しちゃうんですよ。人生なんて自転車に乗っているようなものですから、溝に落ちたらどうしようと思っていると、必ず落ちるんです。溝に落ちたくなければ、それを考えないで真っ直ぐ進むことなんです

――「子供はできれば産んだほうがいい」と書かれていますが、子育ての大変さはもちろん、非行に走ったらどうしよう、といった心配もあります。

池内 物騒なニュースというのは、レアケースです。だからニュースになるんですよ。子供が非行に走ることを恐れるというのは、親がどこかでそれを期待しているということでもあるんです。親が子供を信じていれば、大丈夫。子供を持って分かること、成長できることがたくさんあるので、持てるのだったら持ったほうがいいと思います

――収入に不安がある人も多いかと思います。「結婚はコスパが悪い」と言われたり。

池内 結婚ほどコスパのいいものはないですよ。一人で年収300万円だとすると大変ですけど、結婚すれば倍の600万円の生活ができますから

――なるほど!

池内 結婚って、人生を大きく変えることができるチャンスです。もちろん進学や就職でもできますが、そこまでに何年も努力をしなければいけないですよね。でも結婚は、相手の選び方によって自分のステージをぽんと変えることができます。例えば東京に住んでいるかたが、もう東京には住みたくないと思ったとします。そこで宮崎に住みたいと思ったら、宮崎の人と結婚すればいい。すごく簡単に自分のエリアを作ることができます。結婚相手を選ぶときに、その人個人だけを見ると狭くなるんです。どこの出身で、ご両親はどんな人で、どんな生活をしていて、ということを広く見たほうが結婚できると思いますよ

――とは言え、出会いがないんですよね……。

池内 出会いはどこにでもありますよ。電車に乗ったら、半分は男性じゃないですか。電車一両の中に、独身の男性が一人もいないということはないですよね

――いいなと思う人に声をかけるということですか?

池内 いいなと思うことができるかどうかなんです。電車に乗ったら、この中で一緒に暮らせる人はだれか、想像して一人決めてみてください。声をかけなくていいんです。異性をそういう視点で見るということのトレーニングなんです。着ている服やカバンや靴などから、職業的なものも分かるようになります。人を見る目を養うことができるようになりますよ

――実際に異性と知り合うためには、どうすればよいでしょうか?

池内 婚活パーティーに行くのもいいですね。婚活パーティーがいいというのは、結婚したい人が集まっているからです。出会いがないということがないですよね。間違いなくそこにはいるんですから(笑)

――「パステルカラーのワンピースを着たほうがいい」などの、ノウハウは役に立ちますか?

池内 セルフブランディングの問題ですよね。相手からどう思われたいかを自分でブランディングするということです。パステルカラーを着るというのは、私は温かい人ですよ、というのを見せたいから着るのであって、とんがったクールな相手を求めているなら、自分もそういう恰好をすればいいわけです。あなたはどういう男の人に好かれたいか、ということです。パステルカラーが最大公約数ではあると思いますが、黒のワンピースが好きな男性もいます。優しい人がいい、という女性が非常に多いんですが、優しい人がよければワガママになればいい。必然的に優しい人しか残りませんから

――自分を好いてくれる男性とは上手くいかないというのも、そういったズレが原因でしょうか?

池内 好きな人には振り向いてもらえなくて、そうではない男性には好かれる、というのもよく言われますが、それはセルフブランディングが間違っているからです。みんなから好かれたいと思っている人は、そうなりがちですよね。みんなから好かれたいというのは、だれとも深い関係が築けないということですよ

――漠然と「だれでもいい」と言う人もよくいますよね。

池内 だれでもいいということは、まだ真剣に考えていないということです。こんな人がいいという要素が3つくらいと、こういう人は絶対にイヤという要素が3つくらい出てきて、初めて相手を見つけることができます。婚活に限らず、友だちでもそうだと思います。無意識のうちに相手を選んでいる。でもなんで友だちの場合は自然にできるかというと、子供の頃からずっとやっているからなんですよ。それと同じように、恋愛ももう少し真面目に考えれば、相手を選ぶことができます

――なんだか私も結婚できそうな気がしてきました。

池内 じゃあ、結婚しましょう! 40,000人近くの相談を受けてきて、結婚したことや子供を産んだことを後悔する人って、いないんですよ。反省することはあっても、後悔する人は本当にいません。結婚しなかった人はとても後悔する。なんであのとき結婚しなかったんだろうという後悔は、一生残ります。少しでも結婚したいと思っているのであれば、絶対に結婚したほうがいいですよ

「まさに私のことだ!」と目から鱗が落ちっ放しのインタビューだった。とりあえず結婚する“とり婚”の本。結婚を迷っている人は、“とりあえず”読んでみてはいかがだろうか。

取材・文=尾崎ムギ子