DAOKO「小説の自由さがうらやましいな、って思うことがあります」

あの人と本の話 and more

2017/4/6

中学3年生の時にニコニコ動画へ投稿したラップがきっかけでインディーズ活動を開始し、メジャーデビュー後はメロディックな歌も手掛ける“ラップシンガー”として着実に進化してきたDAOKO(だをこ)。初の配信シングル『拝啓グッバイさようなら』は、テレビアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』のエンディング・テーマに抜擢された。本誌『ダ・ヴィンチ』5月号の記事では、敬愛する小説家・森見登美彦の『夜行』をオススメしてくれたが、大好きな作家は他にもたくさんいる。

 子どもの頃から、宮沢賢治の童話が好きで、谷川俊太郎の詩が好き。中でも谷川俊太郎の詩と吉村和敏の写真が美しく連なる『あさ』『ゆう』がたまらなく好きで、「オマージュをしてZINEを作ったりしています」。
少し大人になって現代作家の小説を読むようになってから、まず最初にハマったのが森見登美彦だった。

「『四畳半神話大系』のアニメがきっかけで、森見さんの原作を読みました。同じ作家さんの同じ本を、何回も読むという経験は初めてで。すごく映像的なんですよね。文字で表現された映画の世界に連れていかれる、という感じです」

 普段は、女性作家の本を読むことが多いそうだ。

「女性の書き手の作品を読む時は、自分に重ねながら読んでいく感覚が強いです。吉本ばななさんの『キッチン』は、登場人物たちの関係性のトーンが好きだなぁと思うし、綿矢りささんの『蹴りたい背中』や『夢を与える』は、10代ならではの絶妙な、なんとも言葉にできないもどかしい気持ちに共感しました。村田沙耶香さんの『コンビニ人間』は、主人公の中にある変態性と普通さのギャップがいいな、私にもあるかもな、と(笑)」

 楽曲の歌詞はすべて自ら書き下ろし、そのリリックが注目を集めているDAOKO。同じ「言葉」を扱う表現者として、小説と音楽の違いに意識的だ。

「音楽には、声があります。言葉により命を吹き込めるのが音楽なのかな、と。歌詞以外のところでも、息づかいとかフロウでも、感情を乗せられる。言葉を選ぶ時も、視覚的なものよりも聴覚的にエッジが立ったものの方が、歌っていて気持ちいいし届きやすいのかな、と。ただ、音楽はどうしても、言葉に制約がかかるんですよ。本当はこの言葉を使いたいけど、メロディにはハマず語感が合わないから断念することが沢山あるので。小説の自由さがうらやましいな、って思うことがあります」

(取材・文=吉田大助 写真=江森康之)

DAOKO

だをこ●1997年、東京都出身。ラップシンガー。中学3年生でニコニコ動画に投稿した楽曲が注目を集める。2014年公開の映画『渇き。』では、中島哲也監督の目に止まり「Fog」が挿入歌に抜擢。15年3月、トイズファクトリーから1st アルバム『DAOKO』にてメジャーデビュー。
ヘアメイク=スズキミナコ

 

『夜行』書影

紙『夜行』

森見登美彦 小学館 1400円(税別)

鞍馬の火祭を見物するために、10年ぶりに5人の仲間が集まった。10年前のこの日の夜、仲間のひとりが姿を消していた。長谷川さん。彼女のことを、誰もがこの10年、忘れられずにいた。しかも。5人はみな異なる土地で、銅版画家・岸田道生が手掛けた連作「夜行」と出合っていた─。第156回直木賞候補作。

※DAOKOさんの本にまつわる詳しいエピソードはダ・ヴィンチ5月号の巻頭記事『あの人と本の話』を要チェック!

 

シングル『拝啓グッバイさようなら』

シングル『拝啓グッバイさようなら』

この3月でハタチになったDAOKOの、新たなスタートを告げる初の配信シングル。テレビアニメ『神撃のバハムート VIRGIN SOUL』エンディング・テーマ。アニメは様々な種族が入り混じって戦うファンタジー作品だが、DAOKOは日常生活での戦いをモチーフに選んだ。「拝啓グッバイさようなら/昨日のボクは殺した」。新生活の季節にふさわしい、力強いメッセージ性とカラフルな歌声が光る。作詞・DAOKO 作曲・多保孝一、TAKU INOUE、DAOKO。itunes他で4月15日より配信リリース。250円(税込)。