吉高由里子「唐揚げとハイボールがあれば、ほかになにもいりません(笑)」

あの人と本の話 and more

2017/9/6

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、主演映画『ユリゴコロ』で、殺人に罪悪を覚えない女性を演じた吉高由里子さん。大好きな肉とお酒に懸ける熱い想いとともに、出演作についてもお話をうかがった。

吉高由里子さん
吉高由里子
よしたか・ゆりこ●1988年、東京都生まれ。2006年、映画『紀子の食卓』でスクリーンデビュー。初主演映画『蛇にピアス』で日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞。出演作にドラマ『ガリレオ』『花子とアン』『東京タラレバ娘』、映画『重力ピエロ』『横道世之介』など。18年、映画『検察側の罪人』に出演予定。
ヘアメイク=面下伸一 スタイリング=藤本大輔 衣装協力=刺繍トップス 9万9000円、刺繍スカート 9万9000円(sacai TEL03-6418-6877) ※価格はすべて税別

「『東京タラレバ娘』よりも前にこの作品は撮り終わってたんだけど、公開が前後してるから『もう髪が伸びたんですか?』って訊く人もいて。ちがうんです。逆なんです(笑)」

 女子会で酒を飲みながら管をまく、独身彼氏ナシのアラサー女子・倫子を演じた『東京タラレバ娘』に対し、映画『ユリゴコロ』で演じたのは生まれながらに人殺しに罪悪感を抱かないという殺人者・美紗子の役。

「小さいころ、虫を殺してみるくらいのことは、したことある人も多いだろうし、私もなめくじに塩をかけたりしたし、その延長線だと思えば美紗子の感覚もわからなくもない。でも、たいていの人はいつからか虫を触ることもできなくなりますよね。これ以上はだめだっていう、ぞわっと鳥肌がたつような瞬間がなかったのかな、彼女には」

 松坂桃李さん演じる青年・亮介が、実家の押し入れで一冊のノートを見つけるところから始まる本作。「ユリゴコロ」と題されたノートには、手書きである女性の人生が語られていた。人殺しを重ねてきたと告白するその女性こそが美紗子だ。

「美紗子は人を殺すことで興奮を得ていたけど、たぶん、生き方も死に方もわからずに生きてきたんじゃないのかなと思います。彼女の人生を変えたみつ子(佐津川愛美)も洋介(松山ケンイチ)も、同じだった気がする。どこか欠落したまま立ち直ることのできずにいる人たちの物語だった。それでもそんな彼女たちを変えたのは、深い愛情と優しさで。誰かからそういうものを受け取ると、人はこんなにも変わることができるんだ、すごいなって、私も演じながら思いました」

 暴力をふるうシーンもあり、撮影中はどこか心がひりついていたという吉高さん。オンオフを切り替えるために何より必要なのが、おいしい肉を食べてお酒を飲むことだ。本誌で紹介してくれた本は『焼肉のすべて』(田辺晋太郎)だが、同じくらい好きだと教えてくれたのが『唐揚げのすべて』(安久鉄兵)。

「ムネ派かモモ派かって書いてあるけど、私は断然モモ! だって唐揚げですよ。ジャンクフードですよ。そうしたら選ぶのはモモでしょう。ヘルシーを選びたいんなら、焼け! 蒸せ! 蒸し鶏にしろ! って思う(笑)。でもおいしい唐揚げつくるのってすごく難しいんですよね。私、ずっと試行錯誤してるの。まぶすのも片栗粉、小麦粉、ミックス、それぞれで揚げてみたり。一度、びっくりするくらいおいしく揚がったことがあるんだけど、なんでか、二度と同じ仕上がりにはならないんですよねえ」

 と、瞳を輝かせながら話す。

「唐揚げとハイボールがあったら、それだけでごちそう。ほかになにもいりません(笑)」

(取材・文=立花もも 写真=干川 修)

 

映画『ユリゴコロ』

映画『ユリゴコロ』場面写真

原作/沼田まほかる『ユリゴコロ』(双葉文庫) 監督・脚本/熊澤尚人 出演/吉高由里子、松坂桃李、松山ケンイチ 配給/東映・日活 9月23日(土)より全国ロードショー
●「私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通と違うのでしょうか」。実家の押し入れで、その一文から始まる「ユリゴコロ」と題されたノートを見つけた亮介。父の創作とは思えない生々しさで綴られていく殺人者の記録に入りこむうち、ある真実にたどりつく。
(c)沼田まほかる/双葉社 (c)2017「ユリゴコロ」製作委員会