「ほめ」で雰囲気が明るくなるだけで、職場の売り上げ3倍に!『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』著者:加藤光一×監修:坪田信貴対談<その1>

ビジネス

2018/1/22

「ほめちぎる」教習で、1万人の若者を伸ばし、合格率や事故率を劇的に改善。一流企業、大学、PTAまで、全国から注目を集める「ほめる人材育成」のノウハウをまとめた『「ほめちぎる教習所」のやる気の育て方』(KADOKAWA)。ほめることが会社全体の業績を底上げする効果について。三重県の南部自動車学校代表で著者の加藤光一さんと、「ビリギャル」の著者でもあり、本書の監修に携わった坪田信貴さんの対談第1回をお届けする。

■「ほめる」ことで職場が明るくなる。明るくなれば、業績が2倍、3倍にも

左:著者の加藤光一さん、右:監修の坪田信貴さん

加藤光一(以下:加):「ほめる」を始めてからしばらくして、他社の営業の方がお見えになった時、「なんだか教習所の雰囲気が明るくなりましたね。笑顔が違いますから、すぐわかりますよ」というお言葉をいただいたことがあります。指導員が明るく笑うようになったことが、生徒の前向きな気持ちを引き出したんじゃないかと思っています。

坪田信貴(以下:坪):会社運営の面からもメリットがあったんですか?

:不思議なもので、新しいことをはじめよう、という時も、明るい雰囲気だと「やってみましょう」という声が上がりやすいんですね。以前なら「いやそれは……」とできない理由探しからはじまるようなことでも、みんなの雰囲気が明るいと何となく「やってみよう」という声が増える。ネガティブな雰囲気の会社は、やっぱり業績も悪くなってくるように感じます。

:ある中小企業のコンサルをした時、ほめるチームといままで通りのチームの2つを作って比べてみたんですが、ほめるチームの方が圧倒的に結果をだします。コンサル前に較べて売り上げ、2倍、3倍になることも珍しくありません。互いにほめ合うようにして、ポジティブな明るい雰囲気ができただけで、こんなにもはっきりとした差が生まれてくるんです。

:そんなに違いが出るんですね。

教習所も実際明るくなってから業績がアップしている。

■「ほめる」ことに水を差す人が身近にいるなら、要注意

:このときは、具体的には「何か悪いことがおきたときでも、物事のよい面を見る」という言葉がけを徹底してもらいました。「プレゼンがうまくいかなかった」ではなく「問題点を把握できた」みたいな意識の変換です。ただ、そこに到る環境を作るまでが大変で、とにかく社内のいろんな人がやる気をそいでしまう。「ほめるなんて意味ないよ、うまくいくわけないよ」とかね。そういう言葉が出てくるようなところだと、やっぱり成果を上げるのが難しくなってきます。

:確かに。ほめる人材育成は、一人でやってももちろん効果を出せます。でも、可能なら、チームや会社一丸となってやると、さらに効果が上がると思います。

:お子さんの教育でも同じことが起きます。塾だけでちょっとやそっとほめたくらいでは「焼け石に水」なんです。ですので、ご家庭でもほめるようにするか、せめて生徒の意欲に水をかけないで、ということを徹底してもらいます。ほめなくてもよいから、やる気になった子の邪魔をするようなことは言わないでほしい、と。『ビリギャル』にも書いたことですが、当時高2のさやかちゃんは小4くらいの学力しかなくて、最初に小4のドリルを勉強していたんです。それでも彼女は一生懸命取り組んで、「勉強っておもしろい」とまで言うようになってくれていたんですね。そこで、今度は小5のドリルをやろう、ということで持ち帰らせたら、次に来た時にはさやかちゃん、ものすごく意気消沈して「こんなのやっても意味ないよ」と。なにがあったのかを聞いてみたら、お父さんに「高2にもなって何をしているんだ? こんなもの意味がない」と言われたそうなんです。それくらい、ネガティブな言葉というのは人のやる気を簡単に失わせてしまうんです。

:なるほど。うちの教習所では、幸いネガティブなことを言う人が少なかったのと、割と早い時期に効果が見えてきたこともあって、指導員が「ほめる」の良さを理解して、協力してくれました。ネガティブな言葉に引っぱられないようにするのも重要ですね。

■優秀な人材を育てる最短の方法、「ポジティブに捉える」視点が人を伸ばす


:「優秀な人材がどうやれば育ちますか?」と聞かれることもありますが、「優秀な人とそうでない人の違い」を考えてみたとき、実はそんなに大きな差はないんです。例えば世界一のスプリンターの、ウサイン・ボルトは100mを9秒72で走る、じゃあ私たちはどうか。大体は18秒以内に走りきれると思います。つまり、最高のトレーニングを積んだ世界最高のアスリートと、私みたいな不摂生な男性との間でも、2倍の差はつかない。人間なんて、基本性能に大きな差はないんですよ。そこで差がついていくのはどの部分なのかと考えると、やっぱりトレーニングや仕事などの外部からの刺激を、ポジティブに捉えられるかどうかにかかってくるのではないかと考えています。

:仕事や勉強が「楽しい」とか、「ポジティブに捕らえられる」と、成長の伸びしろが大きく変わりますよね。成長することは「辛い」ものではない、「楽しい」ものだと思えれば、自分から積極的に動く気になれる。こういう意識の変換こそ、「ほめる」教え方で可能になると思います。

第2回「仕事ができる人が、必ずしもよい上司になれない理由」 へ続く(1/29配信予定)。

撮影:神保達也
原稿:能登雄一

【プロフィール】
●加藤 光一:かとう・こういち

南部自動車学校代表。少子化、車離れで生徒数が減っていくことに悩み、実習プログラムの改変を決意。ほめると、モチベーションがあがり、結果がよくなることを実感した経験から、教員に「ほめ達検定」を受けさせ2013年2月「ほめちぎる教習」を実施したところ、大評判に。生徒数を3割増・事故者率減少という目覚ましい効果を上げる。現在では全国の教習所をはじめ、一流企業やPTA、大学など異業種からも視察が訪れ、南部自動車学校は「一般社団法人 日本ほめる達人協会 三重支部」としても活動している。

●坪田信貴:つぼた・のぶたか
坪田塾、塾長。これまでに1300人以上の子どもたちを個別指導し、心理学を駆使した学習法により、多くの生徒の偏差値を短期間で急激に上げることで定評がある。経営者として、全国の様々な上場企業の社員研修や講演会に呼ばれ、15万人以上が参加している。著書『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』が120万部のミリオンセラーに。近著の『人間は9タイプ』も累計10万部を突破。第49回新風賞受賞。