武道館に虹を架けた、最高の1stライブが教えてくれたこと――東山奈央インタビュー(後編)

エンタメ

2018/5/30

 最新シングル『灯火のまにまに』制作時の、自身の変化を存分に語ったインタビュー前編に続き、5月30日にBlu-rayとしてリリースされる、2月3日・日本武道館の1stライブを振り返ったロング・インタビューをお届けする。4ヶ月近く前に行なわれたライブだが、Blu-rayに収められる映像を観る前から、会場で受け取った感動を記憶から鮮やかに呼び起こすことができるような、圧巻の1stライブだった。当日、ステージを観ながら、東山奈央という表現者は努力の才能が突出しているのだな、と感じた。歌唱、ダンス、サプライズとして用意されたTVアニメ『神のみぞ知るセカイ』の中川かのんとして「なるりん制圧」する演出、終盤に決意を込めて披露された新曲“灯火のまにまに”――。生半な覚悟と準備ではまず到達できない、完成度の高いパフォーマンスにより、東山奈央は武道館に集まったオーディエンスを驚かせ、笑顔にし、全員がひとつになる、幸せな空間を作り出してみせた。これは、彼女が声優として、歌手として積み重ねてきた努力と、作品やキャラクターと大切に向き合ってきた真摯さが報われたからこそ、だと思う。声優・東山奈央のこれまでの集大成であり、未来への決意を刻んだ1stライブはどのように作り上げられていったのか。その背景に迫ってみた。

 また、今回の特集では、武道館ライブを別の視点から掘り下げるための特別企画として、TVアニメ『きんいろモザイク』のユニット、Rhodanthe*で長い時間をともに過ごしてきた声優・西明日香と東山奈央の対談インタビューも実施させてもらった(近日配信予定)。そちらも、あわせて読んでみてほしい。

「初めて作詞作曲をする曲で自分の心が動かなかったら、みんなの心も動かないだろうな」って思った

――2月に観たライブ、それはもうとてつもなく感動しまして。「ヤバい、こんなすごい1stライブ見たことないぞ」って思いました。

東山:ありがとうございます。どのあたりで感動していただけたんですか?

――特に感動したのは、“君と僕のシンフォニー”と“Rainbow”。

東山:よかったです~。“君と僕のシンフォニー”と“Rainbow”には共通点があって、それは「武道館で歌うために作られた歌」っていうことなんですよ。“君と僕のシンフォニー”の《ひとりきりじゃ 辿り着けない景色/今こうして 笑い合えるキセキ》っていう歌詞は、あの日武道館に来ることを選んでくれた人たちに向ける歌詞として、自分の気持ちともピッタリくるものでした。“Rainbow”は作詞作曲もしていて――そのとき、わたしはとても苦しい時期にいたんですけど。

――いつ頃? 去年の春くらいですかね。

東山:春くらいですね。ちょっとしんどい時期が続いて、いろいろな意味で自分に自信が持てなかった時期に、“Rainbow”を書いて。だけど、「武道館に立って歌う日には、晴れやかな気持ちで歌えているといいな」っていう願いも込めながら作った曲なんです。《雨上がりの空に この両手で/描いてく 越えてく 七色の虹》っていう歌詞の通り、みんなも生きていて大変なこともいっぱいあるかもしれないけど、その弱さを抱えながらも強く前に進んでいこうよ、っていう。聴いてくれる皆さんのためにも、わたし自身のためにも、前向きな曲にしたくて。

 歌詞の中で気持ちが一番こもったなあって思うのは、《「明けない夜だって 止まない雨もないよ」って》っていう部分です。普通の歌だったら、ここで止まると思うんです。「だから前に進もう、ひとりじゃないから怖くないよ」みたいな。だけど、《そんな風にはとても思えなかったの》っていう歌詞が続く部分が、個人的にはとても大事で。きれいにすっきり前に歩けることばかりじゃないし、大変なこともあるけど、サビには《やっと気づいたんだ このいのちは/ほかでもない私を選んだの》っていう歌詞があって。苦しみも運命も、わたしなら超えられるって信じてわたしの命がやってきてくれたんだ、選んでくれたんだ、だから前に進もうっていう歌になってます。「武道館のステージで、自分自身を超えて皆さんに届けるんだ!」っていう気持ちで作った2曲が心に届いたと言っていただけるのは、わたしとしてはすごく嬉しいです。

――……今、改めて深い感動に包まれてます(笑)。

東山:(笑)“Rainbow”を作ったときはすごく悩んで、「これを曲にしちゃっていいんだろうか」みたいな気持ちもあったんですよ。皆さんからのわたしのイメージは、いつもニコニコ、ワイワイしてる感じだと思うし、わたしにとってもそれが理想的なエンターテイナー像だし。でも、「初めて作詞作曲をする曲で自分の心が動かなかったら、みんなの心も動かないだろうな」って思ったので、踏み込んで書きました。いつもニコニコしているのも魅力的だけど、それは大変なことを乗り越えたからこその笑顔で。みんなからもらったパワーで、みんなと一緒に笑顔になる、「わたしはこれでいいんだ」って思った曲でもあります。

武道館はみんながひとつになれる場所って言われるけど、「ウチのライブも負けてないぞ」って思う

――今回ブルーレイ化されるということで、改めて映像で観たわけですけど、「やっぱりこのライブはとんでもなく濃いな」と思いまして(笑)。

東山:(笑)嬉しいです。2時間想定のライブだったのに、MCでしゃべりすぎました(笑)。

――観ていて、「伝えたいことがいっぱいあるんだな、この人は」って思いましたよ。大事な人たちが目の前にいたら、それはもういっぱい言葉が出てきちゃうでしょう。

東山:出てきましたね~。練習ができないからMCが一番心配だったんですけど、武道館に懸ける気持ちの部分は、すごく考えました。やっぱり、1stライブが日本武道館というのは時期尚早なんじゃないかと思って。武道館って、何年もの月日を経て、歌手の方とお客さんの二人三脚でつかみ取る、ひとつのゴールの形だと思うんですよね。そのステージに1stライブで立たせていただくことがなんとも恐れ多かったし、躊躇していました。個人的には、武道館に立つにはまだまだ力量も足りないし、メンタルも足りないし、けっこうナヨナヨしてたんですよ。アニサマ(Animelo Summer Live、2017年8月)で発表をするときも、胃がキリキリしていて。

 だけど、結果としては、他の歌手の方にも恥じないくらいの気持ちを持って、武道館のステージに立てたかなあって思ってます。積み重ねという点では他の方に劣ってしまうかもしれないけど、ライブにはわたしの思いもたくさんこもっていたと思います。来てくれた皆さんも、すごく楽しみにしてくれてたみたいなんですけど――そうそう、武道館ライブのブルーレイのメイキングに、開演前にお客さんがインタビュー受けてるシーンがあって。みんなが「今日はすごく楽しみにしてて~」って言ってくれてるんですけど、どこかちょっと不安そうな顔をしてたり、緊張感があったりして。それを観て、「みんなもわたしと一緒に緊張してくれてたんだな」って思ったら、「そんなふうに心配させちゃってごめんね…!」って泣きながら笑っちゃいました。でも、終わった後の映像では、みんなが「最高だったよ~!」ってはじけてくれて、「楽しんで帰ってくれたんだあ」って思うと、すごく嬉しくて。武道館って、みんながひとつになれる場所って言われてますけど、「ウチのライブも負けてないぞ」って思います。そこは自信になりましたし、武道館でライブができた意味は間違いなくあったなって今はすごく思います。誇らしい1stライブになりました。

――MCで、「マネージャーさんがちっちゃな才能を見つけてくれた」って言ってたじゃないですか。本人の自覚としては「ちっちゃな才能」かもしれないけれども、それを人に伝えるものにするためにものすごく努力をしてるんだな、と映像を観ながら改めて思ったんですよ。努力の天才、というか。実際、「ちっちゃな才能」があるだけでは、あのライブは作れないから。

東山:いやいや、わたしは何事も最初はまったく形になってないんですよ。何かに取り組むたびに「はあ~、下手くそ」って思いながらやってるし。それは、何年経ってもそうで。「いつかこなれてきて、一発目からガツンと出せるようになるのかなあ」と思ってたんですけど、どうにもそうならなくて。だからわたしは頑張らないとダメなんだなあって、謙遜でもなんでもなく、ほんとにそう思ってます。

――でも、武道館のライブを観た人には伝わっちゃうと思う。これを観て、「ものすごく頑張ったんだな」って思わない人はいないと思いますよ。

東山:みんな、我が娘の大きな発表会を観ているような気持ちだったかもしれないですね(笑)。

――そうそう。同時に、すごく信頼されてるというか。このライブの一番の感動って、実はそこなのかな、と。ステージ上で、みんなのために頑張る、力を尽くす。それを信じているお客さんが全力で迎え入れてくれて、武道館がひとつになる。その関係は、すごく眩しい感じでしたよ。

東山:ほんとに、1stライブが武道館でよかったなって思うのは、まさにそこですね。一時は、とても贅沢な悩みだとわかりつつも「なんで武道館なんだ」って思ったこともあったんですよ。「なんで? どうして? つらい、苦しい、わたしにはできない」って。でも、武道館じゃなければきっとあんなに頑張れなかったし、1stライブで武道館という大きなハードルを課していただけて、ほんとによかったなって思います。1stライブだったから、みんなもすごく思いを寄せてくれてたし、「みんなでここから物語を紡いでいくんだ」っていうチーム力みたいなものも、武道館だから生まれたんじゃないかなって思いますし。武道館に「ただいま」って言うのはすごく大変なことだと思うけど、それができるように頑張りたいなって思います。あともうひとつ、武道館でやれてよかったと思ったのは、かのんちゃんの楽曲を歌えたのも大きかったですね。「なるりん」(アニメ『神のみぞ知るセカイ』で、東山演じる中川かのんが立つ鳴沢臨海ホールのこと。武道館をモデルにしている)が目の前にあるわけですから。

――「なるりん制圧」。

東山:はい、なるりん制圧です。かのんちゃんの曲、“ハッピークレセント”は、「もう二度と歌うことはないだろうな」と思っていたので、初めてリハーサルで歌ったときはほんとに泣きましたね。「また歌えるんだあ」と思って。MCでも言ったんですけど、家でも絶対に口ずさまないくらい、軽々しく歌えない曲なので、嬉しかったです。

――いろんなことが報われた瞬間でしたよね。キャラクターや楽曲を大事にしてきたからこそ、こういう場所にめぐり合うことができた、というか。

東山:そうですね。かのんちゃんのプロジェクトって、5年前にきれいに終わらせたものだったんですよ。ただ、最後のライブのときに、わたしがMCで「わたしはかのんちゃんになれなかった」って言って。真意としては、「かのんちゃんという星にはなれなくても、隣で輝ける別の星を目指して、わたしはわたしで輝いていきたいです」っていう前向きなMCをしたはずなんですけど、「かのんちゃんになれなかった」っていうフレーズが鮮烈すぎて、みんなの心になんとなくしこりを残すような感じで終わりを迎えてしまったんですね。だけど、武道館のステージで歌えて、なるりんにかのんちゃんが降臨したことで、ほんとに終われたんだなっていう感じがみんなにも伝わったと思うし、わたしの中でもそう思えたし。だから今後は、よほどのことがない限り、かのんちゃんの楽曲を歌うことはないと思います。

――大事にしているからこそ、ですね。

東山:そうですね。同時に、わたしはかのんちゃんの曲でアンコールを終わらせたくなくて。東山奈央として、過去を抱き締め未来に突き進むんだっていう強い意思を示すためにも、新曲の“灯火のまにまに”を皆さんに聴いていただきたかったんです。わたしの中で、終演後の感想がかのんちゃんで埋め尽くされてしまうんじゃないかって――サプライズだから驚いていただけるとは思ってたんですけど、それだけではいけないって思ったので、そこで火事場の馬鹿力が働いたのか(笑)、“灯火のまにまに”がものすごいことになりまして。ライブって終わりに向かうほど声が疲れて出なくなるはずなのに、ものすごく声が出ていたみたいで。皆さんもすごく喜んでくださったので、「よし!」って思いました。

――あれはビックリしました。「えっ? これ、最後から2曲目だよね」みたいな(笑)。

東山:ほんとに、普通はあんなに出せないですよ(笑)。アドレナリンがすごくて、自分でも「これはなかなか、同じことはもうできないかも」って思うくらい、不思議な力が働いてました。

みんなが笑顔になって、「幸せ、満ち足りた、明日も頑張れるぞ」っていうライブができたら

――そういえば、ダンスパートのときの客席の様子がとても印象的だったんですよ。

東山:どうでした?

――観ていて、ビリビリくるものがあって。それは何かというと、「今、ものすごいものを観てるんじゃないか?」みたいな空気が、さざ波のように武道館中に広がっていった気がしたんですよ。

東山:ありがとうございます。ダンスはもう自分の中でも――ほら、事前に取材とかでライブのアピールをするじゃないですか、かのんちゃんとか、新曲とか、サプライズはいっぱいあったけど、それは言えないから、アピールポイントがダンスに集中してたんですよ。だから、「自分で散々ハードル上げちゃったけど、どうしよう?」って思ってたんですけど、予想以上に皆さんが「おおっ」ってなってくださったので、そこは成功したなあって思います。ダンサーさんが、6人いらっしゃったじゃないですか。だんだん増えていって、バキバキに踊っていて。(声優の)加隈亜衣ちゃんが関係者席で観ていて、「奈央、だいぶハードル上がってるよ? 大丈夫?」って思ったらしいんですけど(笑)、わたしが踊り出したときに「あっ、すごい。この子踊れる」って思ってくれたみたいで。身近な友達も、今まで見たことがないわたしを見たような気持ちになってくれてたみたいなので、昔からダンスをやっていてよかったなって思いました。親にも「昔から好きでやってたことが、全部仕事で活かせるようになってよかったね」「レッスン料が無駄にならなくてよかったわあ」みたいなことを言われました(笑)。

――(笑)東山さんって、わりと自分のアウトプットや成果物に対して完全に満足できない性質の人じゃないですか。武道館ライブに関してはどうなんですか。

東山:今のところは、十分です(笑)。もちろん、長い目で見れば歌も上手くなりたいし、ダンスも「もっとやれたな」って思うところは正直あるんですけど、あの大大大プレッシャー、大大大不安の中で、心から楽しんでライブができて、自分に負けることなくやれたことは、純粋に自分を褒めてあげたいです。

――最終的に、何が自分を支えてくれたんだと思いますか。

東山:これがですね、わからないんですよ。でも、わからなくていいかなって思ってるんです。これは当時のスタッフさんの言葉ですけど――わたしは声優デビューしたときに自分のよさがわからなくて、現場に出るのはありがたいけど、もう不安で不安で、「自分が作品を汚してるんじゃないか」って思っていて。不安すぎて、「自分のいいところを教えてください」って聞いたんですけど、「わからないのがいいところだから、言いません。だけどわたしはいいと思っているから、安心して現場に出てください」って言ってくれて――ヤバい、この話をすると泣きそう(笑)。それから、もがいたり目の前のことにガムシャラになっても、それでいいんだなって思えたんです。

 今回のライブの『Rainbow』っていうタイトルは、わたしのアーティストロゴにもなっている虹のモチーフで、笑顔の輪だったり、人と人の和を大切にしたくて、それを表しているわけなんですけど、『Rainbow』をタイトルにするからには、どうしても自分がライブの中心に立つことになるんですよね。そういう現場で、バンドさんやスタッフさん、ダンサーさんたちが、笑顔で楽しそうに現場に来てくれたら理想的だな、と思っていて。今回のライブのサブテーマとして、「スタッフさんもワクワクできる本番にしたい」っていうものがあって。練習やリハを見ていて、サプライズや仕掛けも全部わかってるスタッフさんが本番を楽しめたら、それはきっといいライブになるだろうって思ってました。で、スタッフさんたちも「ほんとに感動した。よかったよぉ」って言ってくださって。基本的に自信ないマンのわたしとしては、信頼している皆さんが自分を信じてくれてるなら、そんな自分を信じようって思えました。

――お客さんも、まわりの人たちも、みんな期待してたし、信じてたんですよ。しかも、期待以上のものを見せてもらえたから、みんなが満足した。そういうライブだったと思いますよ。

東山:次のハードルが上がっちゃうなあ(笑)。

――MCで「どんなときでもわたしは皆さんを笑顔にできるような人になっていきたい。これからもずっと一緒にいてください」って言ってたじゃないですか。この場面、超感動しました。あの場にいた全員が同じだと思うけど、反射的に「あっ、はい、そうします」って思ってしまった(笑)。

東山:(笑)嬉しい。“Rainbow”のあとのMCですよね。「よくそんな言葉出てきたな」って思います。素直な言葉こそが皆さんに届くだろうな、とは思ってたんですけど、実は自分はずっとそういうスタンスだったのかなあ、とも思いますね。自分自身がアニメファンだったし、つらい時期もあったりしたけど、そのつらさを忘れさせてくれるのって、アニメとか声優さんだったんですよね。「なんでもいいからこの気持ちを忘れさせてくれ~」って、藁にもすがるような思いのときに助けてくれたのが、今のわたしがやっているようなことだったりしたので。わたしはどんなときもみんなを笑顔にしたいんですけど、自分自身が助けてもらったから、この仕事で恩返しをしたいっていう気持ちがあります。

――1stライブがほんとに素晴らしかっただけに、みんなさらに「東山奈央の音楽」を楽しみにしてくれると思います。その期待に応えていくために、どんな自分でいたいと思いますか。

東山:それ、まさにライブの翌日に考えてたんです。「ヤバい、けっこうしっかりできた気がするから、次へのハードルが上がってしまったかも」って思ってしまったんですよね。自分にできること以上の力が出せちゃったから、次は地力を上げておかないと、きっと大変だなって。でも、よくライブの翌日に頭が次に切り替わりますよね(笑)。「楽しかったなあ、よくやったなあ」って思っていてもいいのに、「次、どうしよう」って思っちゃうあたり、前進できてるのかなって思いました。「次が難しい、どうしよう」って最初は思ってたんですけど、今は不安はそんなになくて。きっと、1stライブで得た大切なことがあるんですよね。

――それを言語化してもらうと、どうなりますか?

東山:楽しむことかな? 素直になることかな? あの日のわたしは、とにかく飾らない自分でした。飾ってなかったし、みんなに楽しんでもらいたかったし、わたしも楽しみたかったし。ライブの中の映像でも話してたんですけど、最初はみんなの笑顔の中に自分がいなくて――あっ、これだ! これです(笑)。わりとわたしは自己犠牲的に、「みんなが楽しいなら、わたしは自分の身を削ってでも」って考えてしまうんですけど、「わたしも楽しみたい。みんなの笑顔の中にわたしも含ませたい」って思ったときに、みんなも「その言葉を僕たちも待ってたよ」って言ってくれて、それがわたしとみんなの絆だと思ってるので、そこを大切にしながら一生懸命やっていけば大丈夫だなって思います。

 今回は1stライブだったし、もちろん歌手として未熟な部分はあるんですけど、わたしという人間をすごくわかっていただけたと思います。「こういう人間です。こういう気持ちで歌います。受け止めてください」みたいな、自己紹介的なライブになったと思っていて。MCとかダンスも全部引っくるめて、歌だけじゃないライブが「東山奈央のライブ」なんじゃないかなあって思ったりするので、そういうエンターテイメントなライブをこれからもやっていきたいですね。世の中には「パワーをもらえた~」「めっちゃ泣いた~」「癒された~」とか、いろいろなライブがあると思うんですけど、わたしはみんなが笑顔になって、「幸せ、満ち足りた、明日も頑張れるぞ」っていうライブができたらいいなって思うし、それこそがわたしが歌手活動を通してできることなのかなって思います。

――いいですねえ。これからがもっと楽しみです。

東山:ありがとうございます。そう、ライブの後に、革命が起きまして。やっと、人と話せるようになったんです。ずっと恐怖心があったんですけど、それがなくなって、解き放たれました。もともと人見知り出身なので(笑)、人と話すときに内心震えてるところがあったけど、今は話をするのが楽しくなりました。ライブをすると、自分の中で何かが変わったりすることがあるんですけど、「今回は何が起きるかな~」と思ってたら、こういうところに現れて。すごくよい変化が、自分の中で起きました。

インタビュー前編はこちら

取材・文=清水大輔 
写真(武道館ライブ)=AZUSA TAKADA、タマイシンゴ