堀江貴文「遊び暮らしても食べていける」成毛眞「すべては“逆張り”が基本」 ホリエモン×成毛眞対談【前編】

ビジネス

2018/6/15

 発売たちまち15万部突破の堀江貴文さんの新刊『自分のことだけ考える。無駄なものにふりまわされないメンタル術』と、発売2ヶ月で4刷出来の成毛真さんの新刊『インプットした情報を「お金」に変える 黄金のアウトプット術』(いずれもポプラ社刊)が好評だ。仕事も情報も人間関係も無駄を一切省き、自分が好きなことだけをしているお二人には共通点も多い。

 そこでこのたび、2冊の同時期刊行を記念して著者二人が対談。学歴や肩書きよりも「何者なのか?」が問われる“個人戦の時代”到来に向けてやるべきことについて、時代の一歩先を行く二人が今注目しているコトやモノについて、それぞれ語り合ってもらった。

――堀江さんと成毛さんの新刊には、いくつか共通点があります。「自分が好きなことだけやる」「無駄を省く」など、お二人の働き方や情報とのつき合い方からまずお話しいただけましたら。

堀江 成毛さんの本の帯は、「大衆を脱出したけりゃ情報を吐き出せ」ですか。

成毛 ホリエモンの、「炎上される者になれ!」っていう帯のコピーもすごいね。

堀江 最近、誰かのフェイスブックに面白い見解があったんですけど、炎上のきっかけを作るノイジー・マイノリティの人たちは、文字は読めるけど文章が読めないらしいんですよ。意味わかります?

成毛 うんうん。

堀江 そういう人たちは、行間なんかもちろん読めっこない。だから、行間をめちゃくちゃ開けているブログの意味って、僕は全然わからなかったんですけど、彼らはあれぐらい開けないと読めないらしいです。

成毛 ディスレクシア(読み書き障害)とは違う人たちのことね。僕はフェイスブックをやっているんだけど、何を書いても誤解する人たちっているでしょ? ひとつひとつ丁寧に全部ブロックしているけど。僕は炎上されたくないほうだから、面倒くさくて。

堀江 あの人たちは悪意があるわけでもなんでもなくて、ただ読めないんですよ。意味がわかってない。

成毛 文章も下手だしね。

堀江 文章がポエムなんです。ポエマーなんですよ、あの人たちは。僕がイベントに出たりすると、質問してくる人もいるんですけど、そういう人にもポエムを話している人が多いですね。自分語りをしているから、「で? 何が聞きたいんですか?」って聞き返したり。

成毛 でもブロックはしてないんでしょ? 逆に炎上を演出してるわけでもないし。

堀江 はい。だから、最近それがわかってよかったなと思っていて。文字は読めるけど、意味がわからない人が実は結構いるということが。

成毛 比率はどのくらいいるんだろう?

堀江 比率まではわからないですね。ツイッターしかやっていませんから。

成毛 ホリエモンのツイッター、面白いよね。外野から見ているだけだけど、バトルとかすごいもの。

堀江 「ここまでは俺には言えない」って、以前、言ってましたよね。何の件だったかは忘れましたけど。

成毛 最近、多いよね、ホリエモンだけじゃなくて、結構、バリバリ言いたいこと言う “ケンカ上等”の人。増えてきたでしょ?

堀江 そうですね。

成毛 いい傾向だなと思って。自分はやらないけど(笑)。

堀江 僕は炎上しても、全然気にならないですね。

■大量に漫画を描ける漫画家は、ネームが上手い。寿司を握るのはセンス?

――インプットする情報の無駄の省き方と、アウトプットの仕方についてはいかがでしょうか。

成毛 先に話すと、基本的に僕の本の作り方は“逆張り”なんですよ。最近、みんなすごい勢いで情報をインプットしているでしょう。こういうことはおそらく人類史上はじまって以来。そういうときは、逆張りでアウトプットの本を出せば売れるだろうと。

 それが意外と正解だったりするわけです。インプット過剰な時代にアウトプットできる人は、希少価値が高まりやすい。といっても、僕が言うところのアウトプットの基本は文章ですけどね。動画とかクリエイティブの分野とはちょっと違います。逆張りこそ、あらゆる投資において基本ですから。

堀江 それは確かにそうですね。僕もアウトプットの重要性はずっと言い続けています。

成毛 上手いもんね、アウトプットの仕方が。

堀江 量が圧倒的ですからね。でもアウトプットするときに、自分の言葉に置き換えなきゃいけないので、構成を考えるんですよ。その能力って、絵コンテを描いたり漫画のネームを描いたりする能力と似ているんですよね。

成毛 そうかな?

堀江 漫画家でも大量に漫画を描ける人は、ネームが上手いんです。話をしていてもテンポがいい。たとえば、『賭博黙示録カイジ』の福本伸行さんとか、『ドラゴン桜』の三田紀房さんとか、『東京タラレバ娘』の東村アキコさんとか。手塚治虫さんもめちゃくちゃ描くのが速かった。僕も経済書を漫画化していますけど、ダメな漫画家は、僕が話したことを逐一漫画にするわけです。簡単に言うと、僕の顔が漫画になっていて、僕が話したことがネームになっている。それが一番ダメなパターンですね。

成毛 テープ起こしをそのまま絵にしました、というやり方ね。

堀江 そうじゃなくて、僕の話のエッセンスをすべて理解したうえで、自分なりの世界観と構成で漫画にしてほしいんですよね。そのいい例が『多動力』の漫画版で、無人島サバイバルの話になっているんです。『伝え方が9割』の漫画版も描いている星井博文さんという方で、ものすごく上手いんですよ。

成毛 書籍もそういうところがあるよね。岸見一郎さん、古賀史健さんの『嫌われる勇気』も、内容はアドラー心理学だけど、まったく新しい手法で説明しているでしょう。『夢をかなえるゾウ』の水野敬也さんも、自己啓発本を関西弁のガネーシャという変な神様が出てくる小説仕立てにした。今は、そういう直接的じゃない表現が上手いクリエイターのほうが支持されているよね。

堀江 そうですね。その能力がとても大事で、しかも訓練すれば身につけられるんじゃないかと思っているんです。

成毛 最近、いくつか読んだ論文の中に、先天性について研究したものがあって。たとえば、音楽、スポーツ、数学の才能は先天性が高いけれども、絵画の先天性は50%ぐらいしかなくて、残り半分は後から訓練できるといった内容で。文章力は、数学と同じぐらい先天性が高いらしいの。実際、HONZのメンバーにも、今まで本は読んだことがないっていう元・暴走族の人とかいるんだけど、めちゃくちゃ文章が上手いんだよ。

堀江 誰でも先天的才能はあるんですよね。問題なのは“やるかやらないか”で、やらせてみると意外とできる人が、結構いるんじゃないかと思いますね。

成毛 同感。探すのが手間だけどね。HONZで探しているレビュアーに関して言えば、新聞記者とか雑誌記者とかプロの書き手には上手い人が少ない。つまり、天才系の人はどの分野にも同じ比率しかいないとしたら、業界に関係なく全国から選び出したほうが、質のいいライターが見つかるかもしれないという気もしていて。

堀江 僕のオンラインサロンで、何かをはじめようとする奴が、必ず「素人ですけど」って枕詞を使って、言い訳をしようとするのが腹立つんですけどね。

成毛 ハハハハ。わかるね。

堀江「いやいやいや、そんなことどうでもいいから。関係ねぇから」っていう話で、全部センスですから。料理だってセンスですよ。最近、寿司を握っているんですけど、あれも完全にセンスですね。

成毛 あれ、3ヶ月でできるようになるんじゃないの?

堀江 いや、3ヶ月かからないんじゃないですか。もちろん、センスがあるのが前提ですけど。足が遅い奴が、いくら訓練しても速く走れないのと同じで、センスがないと無理ですよ。

成毛 センスや才能が何もない人間もいるからね。

堀江 何もなければダメですね。

成毛 どうやって生きていくんだろう? その人たちは。

堀江 遊んで生きればいいんです。

成毛 出ました、この台詞(笑)。

堀江 完全にそうですよ。遊び方も訓練なので。

成毛 僕の同級生で、札幌に住んでいる人がいて、これといった才能はないんですよね。公務員を定年したからお金もない。でも週に一回、カヌーに乗って、終わった後ビールを飲みながらジンギスカンを食べたりしている生活を見て、向こうのほうが幸せそうだなと思ったりして。

堀江 ハハハハ。

成毛 才能なんかなくたって、それなりに幸せに生きられるんだよね。そんな風に思うのは、年をとったせいかなぁ。

堀江 いやいや、いいんですよ、それで。

成毛 まあ、そのおじさんたちにも、せめて『黄金のアウトプット術』と『自分のことだけ考える。』だけは買っていただきたいですけど(笑)。

■やりたくない仕事は、1時間後にでも辞めたほうがいい

――会社勤めをしていると、自分のことだけ考えるなんて無理という人も多いと思いますが。

堀江 やりたくない仕事なら辞めたほうがいいと思います。即、辞めましょう。

成毛 僕もあらゆる本で、「即、辞めろ」って書いています。

堀江 「即!」です。

成毛 僕たちの「即」ってどのくらいの長さかっていうと、12時に思ったら13時までに辞めるぐらいの長さです。

堀江 よく、「仕事を辞めると食べていくのが大変」とか言われるんですけど、食べていけますよ。今、会員が千数百人いるオンラインサロンHIU(堀江貴文イノベーション大学校)で、いろいろ実験しているんです。その中で発見したことのひとつに、HIU専用のシェアオフィスを作る計画がありまして。

成毛 なるほど。

堀江 あ、今、いいこと思いつきました。ここ(成毛さんの会社の会議室)って、貸してもらうことはできますか? 今、HIUの会費って月1万円なんですけど、プラス2万円払うと「世界中にあるHIUのシェアオフィス使い放題」になるっていうサービスを考えているんです。

成毛 面白いね。

堀江 最初は自分たちで物件を用意するつもりだったんですが、こういう素敵なオフィスをお持ちの方に貸してもらったほうがいいと思って。

成毛 いいよ、いいよ。

堀江 じゃあお願いします。HIUはオンラインのコミュニティなので、リアルなシェアスペースを全世界に作りたいんですよね。今年はエストニアにも行きますから。

成毛 僕も7月に行く予定があるけど。

堀江 9月にエストニアで「ホリエモン祭り」やりますよ。

成毛 え? じゃあ、それまでには帰ってこないと(笑)。

堀江 最初、ゲストで来ていただいたじゃないですか、尾道まで。たまたま成毛さんが尾道にいたから、お願いしたんですけど。

成毛 あれは何だったんだろうね。ホント、迷惑な話だよ(笑)。うちの奥さんと一緒に、「瀬戸内海なんて行ったことないから行ってみよう」と旅行を楽しんでいたら、ホリエモンが尾道にいるんだもん。しかも「いいから来てください」ってイベントに呼び出されて。

堀江 HIUは、上京した人が無料で使える宿泊所もあるんですよ、代々木に。旅館業法に抵触するので、お金はとってないんです。そこにバーも作って持ち込み放題にすれば、余ったお酒を他の人も飲めるし、リサイクル用の衣料BOXも置いて、そこにいらない服がある人はそこに入れて自由に持っていってもらえば服代もかからない。シェアオフィスもタダで使えたら、月3万円で暮らせるんじゃない?と。

成毛 なるほどね。

堀江 そこの宿泊所の管理人やる人は3万円もかからないよ、とか。そう考えると、遊んで暮らせるんですよ。オンラインのコミュニティには、学びから遊びまで何でもあるので、やりたいことがある人は、クラウドファンディングで資金を集めてやればいい。クラファンで集まらないってことは、その事業はダメっていうことですから。

成毛 確かに。

堀江 はじめる前にやめれば、失敗もしない。だから僕、最近、お金を稼ぐと損すると思っているんです。稼ぐと税金とられるから。

成毛 わかるわかる。

堀江 CtoC(Consumer To Consumer)の個人取引は、月10万~20万ぐらいの稼ぎだったら消費税がかからないじゃないですか。だから必要なときだけ、クラファンでお金を集めれば、税金を払わなくてすむわけです。

成毛 いやまあ、払ってもらったほうが、我々の年代としては嬉しいんですけどね(笑)。お金儲けについて言えばHONZも同じ考え方で、最初から儲けるつもりはないわけ。理由は同じで、面倒くさいから、遊びでやっていればいいじゃないと。レビュアーの人たちには個人でアフィリエイト収入が入っていて、それなりにいいバイトになっていますから。すごく売れる本だと月10万単位で入ってくるから、十分なんですよ。大金を儲けようとすると、いろいろ面倒くさいことになるからね。

堀江 検察がきますしね……。週刊文春もやってくるし、大変なんです(笑)。ですから、うちのオンラインサロンに入ると、「お金がなくてもほぼ何でもできるんじゃないの?」というところまで来ていますね。イマココです。

成毛 面白いね。

取材・文=樺山美夏 写真=海山基明

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