滝沢カレン「メルヘンすぎると思われても、これが私なんです」読むだけで作れる! 超感覚レシピ『カレンの台所』
更新日:2021/9/8
2021年9月7日(火)に、第8回 料理レシピ本大賞 各賞の受賞作品が発表され、滝沢カレンさんの『カレンの台所』が大賞に決定しました。おめでとうございます!

独特の日本語表現を使うことで注目を集め、いまや見ない日はないほどの大人気モデルとなった滝沢カレンさんが、このたび、自身初となるレシピ本『カレンの台所』(サンクチュアリ出版)を上梓した。
カレンさんの料理の腕前は相当なもの。テレビ番組でたびたび披露しているほか、自身のインスタグラムには日々の料理が投稿されている。そして、そこに添えてある文章にはカレン節が炸裂。食材をキャラクターのように扱い、料理の工程はまるで物語のよう。読んでいるだけでお腹が空くのはもちろん、ユニークな童話を読んだ後のようにほっこりした気持ちに包まれてしまうのだ。

『カレンの台所』は、インスタグラムに投稿された料理のなかから、イチオシのレシピを厳選して収録したもの。サバの味噌煮やハンバーグ、ロールキャベツといった人気料理から、ビーフストロガノフやドレスドオムライスなど、ちょっと難易度の高いものまでラインナップされている。もちろん、それぞれのレシピを紹介する文章には、カレンさん独特の言い回しが光る。料理初心者もそうでない人も、誰もが楽しめる一冊だ。

そんな『カレンの台所』の出版にあたり、特別にカレンさんにインタビューを刊行した!
インスタに寄せられるコメントは、まるで宝物

――『カレンの台所』出版のオファーを受けたとき、どんなお気持ちでしたか?
滝沢カレンさん(以下、滝沢):オファーをいただいた時点では、正直言って、本を出す気がなかったんです。2018年2月に『地球はココです。私はコレです。』(光文社)という本を出していたので、次はおばあちゃんになってからでいいかなって思っていて。
――おばあちゃんになってから……?
滝沢:はい。おばあちゃんになったら、ゆっくり絵本を描きたいなと思っていたんです。でも、急に何社からも出版のオファーがきてびっくりしました。私のなにに引っかかったんだろうって。それでよく聞いてみたら、インスタに投稿している料理をまとめて一冊にしたいと言っていただきました。
――それはうれしかったんじゃないですか?
滝沢:最初は「え?」という気持ちでした。インスタっていうのは、私にとってのお絵かき帳みたいなものなんです。どんな写真を投稿してもいいし、なにを書いてもいい。
そんな感じで好き勝手に投稿している場所だったので、それを一冊にすると言われても、「一体どうやってまとめるの?」とびっくりしました。もちろん、その気持ちは正直に伝えました。
――最初はそこまで前向きではなかったということですよね。その気持ちが変化したきっかけはなんだったんですか?
滝沢:迷っているときに、インスタで「カレンちゃんの投稿を見て、実際に真似してみました」っていう感想をもらったんです。それがすごくうれしくて。参考にしてもらいたいなんて思っていなくて、ただの報告のつもりで料理の写真と文章をアップしていただけだったから、それを真似してくれる人がいるということにびっくりもしました。
そこからインスタに投稿する意味も変わってきました。誰かが見てくれているってわかると、こっちとしてもやる気が出るじゃないですか(笑)。それを機に、料理の投稿を一冊にまとめる意味もわかってきて。これから料理をスタートしようとしている人の隣にいられるような、初心にかえることができる本だったら、私にも作れるかもしれないと思いました。
――ファンの方たちからコメントをもらったことで、気持ちが変わったんですね。
滝沢:そうですね。私、コメントはいつもチェックしていて。自分の投稿に対するコメントって、花束とか宝石とか宝物みたいな感じなんです。だって、世界中に公開されているところに自分の意見を載せるって、すごく勇気のいることじゃないですか。それでもわざわざコメントしてくれるって、私からすると思いがけずプレゼントをもらっちゃったような感じです。だから、今度は私がみんなのために本を作ってみよう、と思いました。
17歳の頃、料理というものを知った

――掲載されている料理はどれもこれも美味しそうですが、そもそも料理をはじめたきっかけを教えていただけますか?
滝沢:幼い頃は味の薄い料理で育ったんです。でも、中学生のときにファストフードに出会って、その味の濃さと美味しさにやみつきになりました。足を掴まれて逃げられなくなるくらい美味しかったですし、ずっとこの味を食べていたいと思うくらいでした。そうしたら当たり前なんですけど、太っちゃって。簡単に肉がつく女じゃなかったはずなのに、どんどんついていくんです。それに焦った私は、コンビニのサラダばかりを食べるようになりました。
すると今度は肌が荒れてしまって、もう全然治らなくて。そこで自炊の大切さを感じたんですけど、料理なんてしたことがなかったから、最初は茹でたパスタにレトルトのソースをかけて食べるレベルでした。それが17歳の頃。私が料理というものを知った瞬間ですね。
――そこから料理にハマっていったんですか?
滝沢:それからハンバーグやカレーも自分で作るようになって。でも、レシピなんて知らなかったから、雑誌や友達に聞いたりして覚えていきました。
ただ、あくまでも感覚で作っているところが大きいです。自分で食べるものだし、誰かに味を合わせる必要もないから。自分の舌だけに頼っていました。だから、この本に載せているレシピも、私好みの味になっていると思います。そうは言っても、味に自信がないわけではなくて。ちゃんと友達に食べてもらえるレベル。でも、私の味を100人全員に好きだと言ってもらいたいわけでもないんです。
――自分が美味しいと感じるものを、自由に作っているんですね。
滝沢:そうです! だからこの本を読んだ人にもしよろしければ、私みたいな感覚で「自分でも新しい味を作ってみよう」って感じてほしい。真似しなくていいんです。
頑張ってくれた食材は、お皿の真ん中にのせてあげる

――『カレンの台所』の一番の売りは、やはり文章の面白さだと思います。レシピ本なのに、まるで絵本とか童話を読んでいるような気持ちになりました。
滝沢:うれしい! 文章を書くときも感覚をすごく大切にしていて、頭のなかで食材と物語がマッチすればいいなって思っています。私、物語育ちしてきたので、結構メルヘンチックなんですよ。
――物語育ち?
滝沢:絵本が大好きで、もう読まなくてもいいでしょうっていうギリギリの年齢まで読んでいました。文字だけの小説が読めるようになったのは中学生にあがってからで、それまでは絵本ばかり。その影響なのか、「子どもっぽいところがあるのかな?」っていつも思います。
食材を選ぶときも、野菜たちが暴れだすんです。
――「暴れだす」というのは、どんな感じなんでしょうか?
滝沢:「今日ご飯の選抜メンバーを選ぶぞ」と思いながら冷蔵庫を覗くと、頭の中で「今日はぼくの出番だ!」って暴れだすんですよ。それがププって笑える日もあれば、もう邪魔だなって思う日もあって。自分の体調や気分によっては、野菜に申し訳ない扱いをしてしまうこともあります。かと思えば、ものすごく仲良くできる日もある。
この本には、そんな台所での楽しさを詰め込みました。でも、最終チェックをしているときに、何度も不安になったんです。みんなはこれでわかるのかなって(笑)。
――独特の表現がたくさん出てきますけど、わかると思いますよ!
滝沢:それならいいんですけど。自分の世界にハマりすぎていて、私以外が読んだときにどう思うのか……。それを考えるとキリがなくて(笑)。でも、「もう見せちゃいますけど、どう感じてもらっても構いません」っていう気持ちです。メルヘンすぎると思われたとしても、これが私ですから。
――カレンさんは食材をキャラクター視されていますが、そうすることによって一つひとつの食材への愛着も湧いて、丁寧に扱えるようになると思いました。
滝沢:そうかもしれないですね。お皿が舞台だとしたら、いつも主役を決めるためのオーディションをしている感じです。頑張った子は、ちゃんとお皿の中心にのせてあげます。
お気に入りのレシピは「ラザニア」

――本書に掲載したレシピのなかで、お気に入りはありますか?
滝沢:ダントツでラザニア! これはハンバーグの次に作ってきた料理です。でも、あんまり食べられない。
――どうしてですか?
滝沢:食べすぎるとカロリーが気になる料理ですから。ハンバーグだったらパン粉を使わないとか、ひき肉を大豆ミートにするとかでカロリーの調整ができます。
でも、ラザニアはそれが難しくて。なかに入れる壁みたいなパスタにはグルテンが含まれているし、なによりもホワイトソースとミートソースが最大の敵です! ホワイトソースは小麦粉もバターも使うから。でも、美味しいんですよ。ラザニアという料理を日本に運んできてくれた人に感謝したいくらい、大好きです。
ただ、モデルの仕事をしている以上は体形が気になっちゃうので、年に1、2回くらいしか食べられません。いまは夏前なので余計に食べられなくて、さみしい……。次にラザニアに会えるのは、年末ですね。冬だから肌も隠せるし、お正月休みの前なので気にせず食べられそう。



――早くラザニアに出会えるといいですね。では、料理初心者にオススメしたいレシピはどれですか?
滝沢:初心者の方とか、料理が苦手な方にもチャレンジしてもらいたいのは、鶏の唐揚げです。揚げ物って意外と簡単で、それを知ってもらいたくて本のなかにはいろんな揚げ物のレシピを入れました。
そのなかでも手軽なのが唐揚げです。油の温度と揚げ時間さえちゃんとしていれば、味付けは自由ですし。もしも薄かったらマヨネーズをつけて食べてもいいし、濃すぎたら、そのまま頑張って食べればいい(笑)。
――どっちにしても食べられる(笑)。
滝沢:そういうことです。それに料理は冒険! 今日決めた味付けを一生守れなんて誰も言いませんし、こんなに自由で失敗しても怒られないことなんて、料理くらいしかないと思います。家さえ火事にならなければ、いくら失敗してもいいですよね。
それと、この本を一生大切にする必要もないです。台所で読んだら、すぐにしまってもらっても大丈夫。一度目を通していただいたら、そっと置いてください。
――なるほど。子どもの料理入門編にもよさそうですよね。
滝沢:本当ですか? これで子どもに入門させて大丈夫かな(笑)。お母様たちはどう思うんだろう。でも、料理のスタートの門に落ちている本なので、バトンのように拾い上げたらそのまま走り出してもらいたいです。
――料理をするきっかけになればいい、ということですよね。最後に……ちょっと気が早いかもしれませんが、次にどんな本を出したいか教えてください。
滝沢:う~ん、最初にお話しした通り、やっぱり絵本は描いてみたいですね。絵本が大好きでそれで育ってきたので、毎日何度も手に取ってもらえるようなものが描けたらいいなって思います。

取材・文=五十嵐 大 写真=花村謙太朗