林家ペー「ずーっとルームメイトみたいな感じ」パー子「真面目で地味」 結婚40数年、おしどり芸能人夫婦にみる幸せの秘訣とは?
更新日:2020/6/12

結婚するかしないかは人生の一大事。あれこれ悩んでしまった時に、もしかすると背中を押してくれるのは「結婚はいい!」とまっすぐに答えてくれる人なのかも…そんなわけで、日本でもっとも有名なおしどり夫婦・林家ペー&パー子夫妻にお話をうかがった。結婚は「コロナが終息するころがいいコロナ」と陽気に笑うおふたりにとって「結婚」とは? 「幸せの秘訣」とは?
2人はずっとルームメイト
林家ぺー師匠(以下、ペー):僕らは兄妹弟子同士ですから「職場結婚」みたいなもんでね。彼女はいまだに僕のことを「おにいちゃん」って言うんですよ。こないだある地方に言ったらスーパーのおばちゃんにね「兄妹にしては全然似てませんね」って言われてね。結婚当初は「格差」とかあれこれ言われたんですよ。なにしろ彼女は林家三平の女弟子ってことで売れっ子だったからね。おかみさんだって「パー子と結婚する」って言ったら「えー! うそ!!」ってお茶の湯のみ飛ばしたくらいですから。結婚したのはね、パー子のお母さんが三平師匠の番組のアシスタントでテレビに出てた僕を見て、僕のことを気に入ってくれてて、「いつでも遊びにおいで」って言ってくれたからなんですよ。
林家パー子氏(以下、パー子):なにしろおにいちゃんは師匠が6年もお供につけて離さないくらいのお気に入りだったんですよ。弟子というかブレーンで、話がなんでもできるものですからね。それを見てうちの母親も「師匠がこれだけ気に入ってるんだから間違いない」と「あの人いいわよ」って私に言ってきたんです。
ペー:お母さんが神の声ですよ。だから僕が結婚についてアドバイスするとしたらね、持論は「結婚するならまずはお互いのお母さんがOKであること!」ですよ。
――おふたりは学生時代の友だちのような感覚と聞きましたが。
ペー:ずーっとルームメイトみたいな感じですよね。これまた私の持論ですけどね「1+1=2」っていうけど、僕らはそうじゃなくて「無限」なんだよね。無限の喜怒哀楽とともに偕老同穴(かいろうどうけつ:共に暮らして老い、死んだ後は同じ墓穴に葬られること)。「老後」って言葉もタブーで考えたことがないんだよ。結婚って他人同士が縁あってするものだけど、僕らの場合は名前だけでも相性がいいんだよね。もともと芸名がそうだったんだけど、結婚したら「ぺー・パー」でどう見ても相性がいい。
――お仕事もお家でもずーっとご一緒なんですか?
ペー:僕は落語協会に入ってるから、寄席にも一人でずっと出ているんですよ。だから半分は別々なんです。あくまでも寄席がホームグラウンドで、ペーパーで出るのは営業とかテレビとか。寄席は笑いにこだわるけど、ペーパーは顔出して、写真撮ってればいいみたいなね(笑)。
パー子:きゃはは。
ペー:なにしろ共存共栄ですから。だから僕らは「ペーパー(紙)」だけに「神」対応っていうね。いろんな意味で“P”で得してるよ。うちはピンクでしょ。ピンクでペーパーで、これをあわせて「林家3P」。Pだけでいろいろ使えるんですよね、ありがたいことに。
「離婚」する人の気持ちがわからない!?
――長い結婚生活の中で夫婦の危機はありませんでしたか?
パー子:トラブルなんてなんかあったかしら…。喧嘩もしないんですよ。でもね、私はあんまり自分で芸はできないんですが、それでも芸人なのでおにいちゃんにいろいろと言っちゃう時はあります。「あの場面ではこう言ったほうがいいんじゃないか」とか。
ペー:20年くらい前に『徹子の部屋』に出た時に、僕は家の延長みたいにごちゃごちゃ言うだけみたいになっちゃったことがあってね。あの時はパー子に怒られたね。「あんなにすごい番組に出させてもらったのに、硬くなって面白くない」ってね。
パー子:そういうのはあってもね、それは喧嘩ではないですね。私たち絵は派手なんですけど、真面目で地味なんですよ(笑)。
ペー:でもね20年くらい前に「離婚の噂がある」なんてテレビで言われたことがあったんですよ。腰抜かしたよね。それでわざわざリポーターが取材に来たんですよ。「パー子さんは?」って聞かれて、「え! 今そこにいるよ!」って言ったら、勝手に「やはり今は別居のようです」みたいになっちゃって驚いたよ。青天の霹靂だよね。だって僕ら「離婚」なんて言葉はタブーだし、みんなどうして離婚するのか信じられないくらいなんですからね。
パー子:そうそう。今、コロナ離婚とかありますけど、こういうときこそ2人で乗り越えるべきなのに、なんでみなさん離婚なんてするのか気持ちがわからないんです。
――林家では家事におけるルールはあるんですか?
ペー:うちはこういう仕事してるから、ご飯とか作るのもやれるほうがやればいいし、順番だのも何も決めてないよ。「東男に京女」ってことわざとは逆だけど、もともと僕は大阪人で彼女は江戸っ子で、違う文化のコンビネーションがちょうどいい湯加減になるんだよね。夫婦ってこんなもんじゃないのかな。子どもがいたら違ったのかもしれないけど。
――ちなみにお子さんについてはどう考えていらっしゃったんですか?
パー子:子どもは好きなんですけど、お互いにこうやって芸能界でやってくると、なかなか自分が子どもを産んで育てるっていうのも大変ですよね。だからみなさん偉いなと思いながら、自然にこうなりましたけど。そういうのも運命ですよね。
ペー:そもそも欲しいって気持ちもあんまりないじゃない。
パー子:それはありますね。自分が子どもみたいだしね(笑)。
夢は『奥の細道』を2人で

――ぶっちゃけお互いどんなところに惹かれたんでしょう。
ペー:こんなに純な人いないじゃないですか。こんなにかわいい人いないじゃないですか。ほんとに彼女は道歩いてるだけですごいんですよ、人が寄ってきて。僕が一人の時なんてそんなことないのに。ペーの女房じゃなくて「パー子」っていうひとりの女性なの。そういう意味であらためて敬意を持つっていうか、すごいなって日ごとに思うよね。
パー子:お兄ちゃんはすごく真面目で裏表がないんです。私が「もうちょっとよそ行きになったほうがいいんじゃないか」って言うくらい自然体で。遅咲きだけど長く続く才能がある。やっぱり私も尊敬してますね。
ペー:お腹の中ではいつも拝んでますよ。お互いに「尊重」してるわけですけどね、尊重だけど村の偉いひと(村長)じゃないってね。
パー子:ひとりでご飯食べても全然おいしくないから、結婚してよかったですよ。いろいろ私のこともアドバイスしてくれるし、2人でいると嬉しいことが倍増するし、やっぱり2人でいるほうがいいですね。
――ちなみに師匠はプレゼントとかしたりするんですか?
ペー:好きなもの、たとえばヨーグルトを1つでいいのに3つも4つも買っていくと、すごく喜びますからね。今はコロナの影響で3日おきですけど、僕は365日、仕事の帰りにリュックしょって近所のスーパーで買い物してるんですよ。だいたい買うものも決まっててね、「小松菜・大根・豆腐」がビッグ3でね、あとは「シャケとタラとブリ」が御三家。
――そういうおだやかな感覚が長続きの秘訣なのかもしれないですね。
ペー:ほんとに空気みたいに一緒にいるっていうね。運命だからしょうがないよねぇ。
パー子:芸人なんですけど、あんまり飲みにも行かないし、割と家にいるのが好きなほうで。私が人見知りするので、外にもあんまり行かないんですよ。
ペー:だからコロナ騒ぎも平気だったね。パー子って笑うイメージあるでしょ。これはね、実は人見知りの反動なんだよ。照れちゃってなんだかわかんなくて笑っちゃうんだよね。
パー子:やっぱりお互いの思いやりじゃないですかね。自分のことよりも相手のこと。私は誰にでもそうなんですけど、相手の気持ちを考えちゃうほうで。そういう思いやりがあれば長続きするんじゃないかと思いますけどね。
ペー:「戦友」みたいな感じなのかな。まあ、とはいえまだほんの途中でね。なんたって金さん銀さんは104歳の時に仕事しましたからね、僕らなんてまだまだ。でもね、夢ってのもオーバーなんだけど『奥の細道』か『東海道五十三次』をね、パー子とずーっと行ってみたいんだよね。お互い派手だから目立っちゃって、どこ行ってもほっといてくれないかもしれないけど。そういうロマンがあるんだよね。
パー子:松尾芭蕉と曾良のコンビみたいにね。
ペー:そうそう。ホントに彼女は私のよき「パー子ナー(パートナー)」なんですよ。
パー子:きゃははは。
取材・文=荒井理恵