映画『事故物件 恐い間取り』公開記念 亀梨和也インタビュー

エンタメ

更新日:2020/8/12

 8月28日に全国公開を控えるホラー映画『事故物件 恐い間取り』。主演の亀梨さんに本作品についてお話を伺いました。

『事故物件 恐い間取り』ポスタービジュアル
『事故物件 恐い間取り』

 

「感じるか感じないかで言ったら……たぶんちょっと感じるのだと思います」

 様々な場所で、「言葉にするのは難しい」何かを、感じることがよくある、と話す亀梨さん。

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「コンサートツアーで泊まったホテルで金縛りにあったり、声が聞こえたり、テレビがパチンと消えたり。お風呂に入っててもなんか嫌だな、この部屋と思うことがあって、カーテンをあけたら目の前がお墓だった、とかいうことはありましたね。寝ていて、人の気配を感じることがあって……そうしたら視界が真っ赤になったんですよ。その時は、軍人さんがいるのが見えました。起きていたのか夢だったのか……。コンサートの会場で、廊下に誰かいるのを感じたり、(誰もいないはずの)階段をガンガンガンッて上る音が聞こえたりしたこともあります」

 ホテルにもコンサート会場にも、必ず〝過去〞があり、誰かがいて何かがあったことは間違いない。亀梨さんが感じているのも、必ずしも怖さばかりではない。

「その〝存在〞を僕も信じているというか。いい悪いはあるかもしれませんが、何かメッセージを伝えてくれているのかもしれない……そういう思考の持ち方もあると思うし、(原作の松原)タニシさんも『敵対するわけじゃない』とおっしゃっていて。悪いとされているものに対しては、清めたり、しっかりケアをする。おなかがすいている方にごはんを提供するようなものなのかなと思っています」

 冷静に語っているように見えるが「いやいや、実際にそういうことが起きたらめちゃくちゃ怖いんですけどね。ホテルの部屋も、すぐ替えてもらいましたし」と笑う。
 ちなみに、亀梨さんが何かを「感じる」感覚とはどのようなものなのだろう。

「体感というか……肌が感じる空気感というか。ただ僕がそういうことを感じやすいのは、こういう立場で(芸能の)お仕事をさせていただいているから、というのもあるのかなと。周りの目線、その場の状況を無意識に意識しているところがきっとあると思うんですよ。外を出歩く時もそうだし、生きていく中で、常に周囲を意識している。だから霊的なことに限らず、何かに『ん?』と気づくことがあるのかもしれないですね」

 そうやって、神経が研ぎ澄まされていった結果、亀梨さんは「何か」を肌で受け取るようになっていったのかもしれない。

『事故物件 恐い間取り』場面写真

実際の出来事にも〝そういうもの〞が絡んでいるのかもしれない

 そんな亀梨さんが、あえて事故物件を選んで住む芸人・松原タニシの実話集をもとにした本作『事故物件恐い間取り』の主演を、「やらせていただくか、だいぶ迷いました」というのは、当然のことだろう。

「自分の部屋で何か経験したことはないですけどね。映画でも言われていたように、何かあった後に、別の世帯が度住んだら、もう事故物件ではなくなるわけだから、その部屋で何も起きなかったとは言い切れないですが。ただ、今僕の住んでいる部屋は、新築の時に入った世帯が1つだけあることがわかっていて、その次が僕なので、事故物件ではないです(笑)。でもその土地で……ということだと、どんなことがあったかは、わからないですけど」

 迷いながらもオファーを受けたのは、脚本を読んで「〝そういうもの〞に真摯に向き合う部分と、エンターテインメントに特化している部分との良いバランスを感じた」から。

 事故物件でタニシさんが体験したことを原作に沿って丁寧になぞり、自分の家という逃げられない場所で起こる怖さを存分に味わわせつつ、〝バトル〞や恋愛、笑いなどのエンターテインメント要素もふんだんに盛り込まれている。

「思いのほか、笑いの要素は多いですよね(笑)。ホラーとしての怖さをすごく感じる部分はもちろんあると思いますが、撮影中、これは笑わせにいってるのか怖がらせにいってるのかと思うことはありました(笑)。でもそれも、事故物件という題材で、ホラーだからこそ成立している部分があると思います。中田監督も、『怖いのとおもしろいのは紙一重だ』ということ、ポップさや新しい怖さおもしろさを意識しているということを、おっしゃっていましたね。いい意味でエンタメしているというか、いろんなところに飛べている作品です」

 特に、4軒目の事故物件に住んでからは、エンタメとして怒涛の展開を見せ、そしてラストにはさらなる衝撃のシーンが……!

「そうなんですよね……あのシーンには僕も……。世の中で実際に起きている出来事って、なんか〝そういうもの〞が絡んでいる可能性もあるんじゃないか、と思いました」

 ホラー映画の主人公を演じたことで改めて感じたのが、「出演者は、ホラーの秤を持てない」ということ。

「出来上がった映像を観ても、怖いかどうかの判断ができないんですよ。自分は次に何が起こるか、しかけとかタネを知ってしまっていますから。だから出来上がった映像を観ても、実は怖いのかどうか、よくわからない(笑)。それでもぞくっとするシーンはありましたけどね。原作は、間取りを自分の頭で想像するからこその怖さがあると思うので、映像で見せる難しさがあるかもしれないとは思っていたんですが、そこは中田監督に委ねて。僕は、右を向いてほしいという監督のオーダーに対して、どうしたらより自然に右を向けるかだけを考えて演じるようにしました」

撮影中は大量の塩を購入しました(笑)

 タニシさんとは、亀梨さんのほうから、積極的に交流をはかったという。

「そういう中で見てきたタニシさんのしぐさを演技に入れたりしました。タニシさん、煙草をくわえる角度が、えげつないくらい急なんですよ(笑)。トークの映像も観たりして、要所要所にタニシさんオマージュが入っています。眼鏡も、シーンによっては、タニシさんご本人のものをお借りしていて。話を聞いていて印象的だったのが、タニシさんも『今日は家に帰りたくないな』って思う日があって、そういう時はマンガ喫茶に泊まったりもするんですって。そういうエピソードも自分の中に落とし込みました」

 そして、タニシさんと会う日は、いつにも増して不思議な出来事に遭遇するのだという。「生活の一部の、何かの調子が悪くなるんですよ(笑)。……移動車でもいろいろあって、たとえば自動のスライドドアが急に動かなくなるとか。これからタニシさんとお会いするんですけど……そんなの初めてのことです。自分の体調が悪くなるとかはないんですけどね。気をつけよう……!」

 もともと、日常生活において「家に盛り塩をしたり、調子が悪い時は塩風呂に入ったり」と「ケア」はしていた亀梨さんだが、撮影中はその頻度をあげて、「大量の塩を購入していました(笑)」。

 

*インタビュー完全版が『ダ・ヴィンチ 2020年9月号』に掲載中です!

亀梨和也
かめなし・かずや●1986年東京都出身。99年『3年B組金八先生』第5シリーズでドラマ初出演。2001年KAT-TUN結成、06年にメジャーデビュー。05年のドラマ『野ブタ。をプロデュース』が4月から再放送され、話題に。

取材・文:門倉紫麻

『事故物件 恐い間取り』

『事故物件 恐い間取り』場面写真
(c)2020 「事故物件 恐い間取り」製作委員会

監督:中田秀夫 脚本:ブラジリィー・アン・山田
原作:松原タニシ『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房刊)
出演:亀梨和也、奈緒、瀬戸康史、江口のりこ、木下ほうか ほか
企画・配給:松竹 2020年8月28日(金) 全国公開
売れない芸人・ヤマメは、テレビの企画で“殺人・自殺・火災による死亡事故等があったいわくつきの部屋”に住み、そこで起きたことをレポートすることで人気が急上昇。自ら進んで事故物件を転々とするが……。「お化け役の方たち含め、出演される俳優さんたちのキャラが濃くて……画力(えぢから)が本当に強いです!」(亀梨さん)