コロナ禍で避難所の定員が3分の1に! 防災グッズだけでは不十分。何をどう備える? 本当に役に立つ「防災」3つの事始め

暮らし

公開日:2020/9/29

防災

 度重なる自然災害に「防災」への関心が高まっています。その一方で、何をどこまで備えればいいのか分からず、漠然とした不安を抱えたまま日々を過ごしている人も多いのではないでしょうか。「とりあえず防災グッズを買って家に置いているという話をよく聞きますが、それだけではいざというときに役に立ちません」と断言するのは、国際災害レスキューナースの辻直美さん。防災をどのように考え、何を備えるべきか、基本を教わりました。

防災の基本 3つの事始め

 「発災したときに自分がどんな状況に置かれる可能性があるか、しっかりとイメージすることが防災の第一歩です」と辻さん。まずは基本の3か条を確認しましょう。

その1:ハザードマップで自宅周辺の災害リスクを確認
その2:被災後の生活をシミュレーションする
その3:シミュレーションをもとに、非常用持ち出し袋を作る

その1:ハザードマップで自宅周辺の災害リスクを確認

 「台風で洪水が予想される場合を例にしてみましょう。ハザードマップを見れば、自宅付近がどれくらい浸水してしまうか分かります。マップ上で3~5mの浸水深が想定されていたとします。あなたが一軒家にお住まいなら、2階まで床上浸水してしまう。屋根に逃げれば何とか助かるけれど、すぐに救助が来るとは限らない。もちろん自宅では生活ができなくなります」

被害予想に応じて必要な防災を考える

 「ハザードマップで災害リスクを確認しておけば、
・避難するのを前提にして、どの避難所に行くかを家族で話し合っておく
・避難先で生活ができるように非常用持ち出し袋を作っておく
など、具体的な避難方針や何を備える必要があるか見えてくるはずです」

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」
住所や地名を入力すると、周辺の洪水、津波、土砂災害など災害事例別のリスク情報や付近の避難所の場所が地図上に表示される。

コロナ禍では避難所の定員が3分の1に

 「避難所は先着順で満員になれば入れません。今は特にコロナ対策で各避難所の定員を3分の1程度に絞っています。入れなかった場合に備えて3か所は候補があるとベター。ホテル避難(※1)や在宅避難(※2)も視野に入れるとさらに安心です」

※1…台風などの予想される自然災害で、自分でホテルを予約しておき、宿泊することで避難する方法。
※2…家屋の倒壊や浸水など危険がなく、生活できる状況であれば避難所に行かず自宅で過ごすこと。

その2:被災後の生活をシミュレーションする

 被災後、行政のフォローが届くまでには時間がかかります。生活を続けていくための自衛は必須です。「水道の断絶に備えて自宅に水をストックしている方もいると思います。どれくらいの量を備蓄していますか? 人間は 1人1日3リットルの水分が必要だと言われています。2リットルのペットボトルを12本備蓄していたとしても、3人家族だと2日と半日で使いきってしまう量。給水車は10日前後で来ることが多いので、それまで持つように備蓄する必要があります」

助けがなくても10日は生きられる備蓄を

 「備蓄は災害専用である必要はなし! ローリングストックでOKです。私は、水、パスタやレトルトソース、ツナ缶、ラーメンなどふだん食べている食材を10日分程度備蓄しています。台風が来ると分かったときはさらに7日分買い足しています。使った分だけ買い足せば、賞味期限切れで食べられない失敗も防げます」

自宅で気軽に防災体験

 「防災グッズや備蓄を用意するだけではなく、実際に使ってみる“心の備え”も防災の一環です」という辻さんがおすすめするのは、キャンプ気分で行う防災体験。

 「自宅で被災後の生活を体験してみましょう。数時間でOKです。停電したつもりで電気を使わず、キャンドルやランタンを使って過ごしてみたり、持ち出し用のコンロで備蓄を使って調理をしたり。私はステイホーム期間中に、ベランダに出て寝袋で寝てみました(笑)。本当に被災したときに“あのときできたから大丈夫”と思えることが大きな助けになります。体験を通して自分にとって必要なもの、いらないものを精査できるところもポイントです」

その3:シミュレーションをもとに、非常用持ち出し袋を作る

 「その1、その2を経て被災したときのイメージができたら、非常用持ち出し袋を作りましょう。水や食料、着替え、ガーゼや包帯などの医療・衛生用品は最低限持って行きたい。しかし、人によって優先したいものは違いますよね。スマホ用のバッテリーは多めに持って行くといいでしょうし、子どもがいる方はお気に入りのおもちゃやお菓子があるとメンタルケアに役立ちます」

避難先には「何もない」と思って備えを

 「避難所に必ず水や食料が届くとは限りません。行政によるひとりひとりの状況に合わせた細かなケアをすぐに期待できないのが現実です。自分の身は自分で守ると考えましょう。備えれば避難先での生活が快適になり、心に余裕ができて復興への気持ちも前向きに。日常生活を送るためには何が必要か? それができる中身を考えましょう」

非常用持ち出し袋を背負ってみましょう

 「あれもこれも必要と、リュックに荷物を詰めてしまったために、非常時に背負えず持ち出せなかった」という被災者の経験談を何度も聞いたという辻さん。「非常用持ち出し袋を作ったら、背負える重さかどうかを確かめてください。発災時は足もとが悪い場合もあります。それを背負って避難所まで歩けるかも考えて中身の調整をしておきましょう」

 防災に大切なのは、お金をかけて高い防災グッズや専用の非常食を買い揃えることではありません。リスク情報を事前に確認し、避難の計画を立てて、それに応じた備蓄などを揃えておくことです。「備蓄はふだん食べているものを多めにストックすればOK。停電用のろうそくはお気に入りのアロマキャンドルでもいいんです。基本の3か条をもとに、ふだん使っているもので災害用に代用できるものがないか考えましょう。さらに防災力が高まりますよ!」

取材・文=箕浦 梢



この記事で紹介した書籍ほか

レスキューナースが教えるプチプラ防災

著:
出版社:
扶桑社
発売日:
ISBN:
9784594083359