家族が別々の場所にいる時に台風が接近したら? “そのとき”に慌てないために、事前に準備をしておくべきこと

暮らし

公開日:2020/10/27

防災

 台風が接近して、浸水や土砂災害の恐れがある場合、どう行動すべきか。不安ばかりが膨らんで、避難するべきか自宅に留まるべきか判断できなかったという経験はありませんか? 水害時の避難のタイミングの見極め方を、国際災害レスキューナースの辻直美さんに教えていただきました。記事後半には読者から届いた水害防災についての質問に答えるコーナーも。家族構成や状況に応じた具体策は必見です。

水害時、避難するタイミングの見極め方は?

「みなさんが想像しているよりもずっと早いスピードで、河川が増水したり、冠水が起こります。今はまだ大丈夫と思っていてもあっという間に沈んでしまうこともあるのです。ハザードマップやニュースを確認し、土砂災害や床上浸水が想定されている場合は、必ず早めに避難をしてください。

 避難するタイミングを見極めるためには情報収集が肝心。具体的な情報収集の方法は前回の記事(https://ddnavi.com/interview/678590/a/)でもご紹介しています。テレビやラジオ、Twitterを利用し、リアルタイムで防災情報を収集して下さい。状況は刻々と変わるのです。防災情報には警戒レベルがあり、気象庁と自治体から発令されます。

【防災情報の警戒レベル】
警戒レベル 1 心構えを高める(気象庁)
警戒レベル 2 避難行動の確認(気象庁)
警戒レベル 3 避難に時間を要する人は避難(自治体)
警戒レベル 4 安全な場所へ避難(自治体)
警戒レベル 5 すでに災害が発生している状況(自治体)

 子どもや高齢者、障がい者は防災分野では災害弱者といい、“避難に時間を要する人”にあたります。家族に災害弱者がいる場合は警戒レベル3が発令されたタイミングですぐに避難を。防災情報に頼りすぎず、身の危険を感じるようならもっと早めに避難してしまってもかまいません。水害は逃げ遅れが命に関わるので、早め早めの判断を心がけましょう」

読者の疑問に答えました! 水害ケース・スタディ

「避難は早めに」と言っても、一人ひとり、家族によっても災害時に置かれる状況や悩みは違うものですよね。20代~40代までさまざまな背景を持つ読者からいただいた、水害防災への疑問に答えていただきました。

Q1.私と夫は仕事をしていて、小学3年生の子どもは学校が終わった後、普段は学童に通っています。台風で学校や学童が休みになれば自宅に夜まで1人です。家族全員が別々の場所にいて台風が接近してきたとき、どのように行動するのが安全でしょうか? (30代女性)

A.事前に夫婦、親子、ご近所でコミュニケーションを取り、協力体制を

 子どもだけで避難することは危険なので絶対にさせないでください。必ず大人が付き添って避難できるように、夫婦で話し合いを。会社を早退できるなら、どちらが子どもを迎えに行くかをあらかじめ決めておきましょう。その後の夫婦間での連絡方法や、どの避難所に逃げるかも決めておくとスムーズです。

 小学3年生になると自分で考えることが出来ます。親と離れている時はどうするか、子どもがどうしたらよいかを話し合っておきましょう。迎えに行くのが難しい場合はご近所さんで声を掛け合って助け合う“災害協定”を結んでおくのも有効。ご近所さんを頼る場合は、「台風のときはお隣のお家にいてね」と子どもに伝えて、実際にお隣を訪ねて、避難する手順を練習する機会を作りましょう。

 また、「どれだけ時間がかかっても必ずパパとママが迎えに行くからね」と普段から子どもに伝えておくことも大切。大人も不安になる災害時ですから、親が側にいない子どもはもっと不安なはずです。日ごろから夫婦、親子、ご近所でコミュニケーションを取り、いざというときに連携できる体制を整えましょう。

Q2.自宅で母の介護をしています。母は杖を使えば自力で歩けますが、歩行介助が必要で避難所までの距離を歩くには時間もかかるため、台風が来ても自宅に留まるべきか、避難すべきか判断に迷います。判断の目安になる考え方や、基準があれば教えてください。(40代女性)

A.大げさなくらい早くに避難しておくか、遠方避難も視野に

 まずはハザードマップで避難ルートを確認します。そして実際に歩いて確認しましょう。避難所までお母さまを連れて本当に歩けるかどうか、距離を見極める必要があります。冠水や土砂災害が見込まれる道、きつい坂道や階段が多いルートを避けた行き方を見つけておくと安心です。

 避難するタイミングは先述の通り、「警戒レベル3」が発令されたとき。心配ならもっと早くてもOK。まだ避難所が開いていない可能性がありますが、逃げ遅れるよりは早すぎる方がいいと考えて。

 また、お母さまが「私はもういいからあなただけ逃げて」と諦めてしまうことも。そうした「諦め」が避難の障壁になります。そのまま親子ともに逃げ遅れてしまうことを防ぐため、励まし続ける努力も大切です。

 避難先を他にも考えておくのがおすすめ。ホテルを予約しておいたり、県外の親戚の家を頼ったり、事前の遠方避難も視野に入れましょう。何事もなければ旅行を楽しんだと思えばいいのではないでしょうか。

Q3.乳児がいる場合の水害の防災はどのように考えればいいでしょうか。大雨の中で避難することになった場合の移動や、離乳食やミルク、おむつの備蓄など、不安なことがたくさんありますが、何を考えて備えておくべきですか? (20代女性)

A.荷物はなるべく増やさずに、ほかのもので代用できないか考えて

 赤ちゃんを抱えながら、非常用持ち出し袋を背負って大雨の中避難するのは、想像以上に大変です。離乳食も詰めようとすると、荷物が重くなりすぎてスムーズに避難できません。

 赤ちゃんの月齢にもよりますが、離乳食を始めたばかりでしたら、一時的に母乳のみに切り替えても問題ないでしょう。離乳食が進んだお子さんでしたら、衛生面に気をつけながら、ご飯にお湯を足しておかゆにアレンジするアイデアもあります。大人用の食事をいかに離乳食に変換できるかを考えて荷物を減らす努力を。その場合は塩分過多になりがちなので、水を多めにするなど調整してください。1つのもので他のものを生み出すのが生きるテクニックになります。

 とはいえ、被災時は赤ちゃんが敏感になるため、ふだん食べていないものでは口にしてくれません。平時に手抜き料理のつもりで調理してみて、何度か食べさせてみるといいでしょう。早めに避難所に入って場慣れさせておくことも大事です。

 離乳食に限らず避難先では物資が不足することが多くあります。日ごろから必要なものをほかのもので賄えないか考える“代用力”を磨いておくと役立ちます。

取材・文=箕浦 梢



この記事で紹介した書籍ほか

レスキューナースが教えるプチプラ防災

著:
出版社:
扶桑社
発売日:
ISBN:
9784594083359