小栗旬主演『鎌倉殿の13人』がもっと面白くなる!「北条家」を知るための3冊

文芸・カルチャー

更新日:2022/2/15

 小栗旬主演のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がついに始まった。脚本は、三谷幸喜。三谷は北条義時の活躍と、家臣団による権力争いをどのように描き出していくのだろうか。大河ドラマというと、戦国~江戸時代や幕末が舞台となることが多く、鎌倉時代が舞台となることは稀だ。「鎌倉時代ってどんな時代だっけ?」「北条義時ってどんな人だっけ?」。もしかしたら、そんな疑問を抱いている人も少なくはないかもしれない。せっかく大河ドラマを楽しむならば、事前に知識があった方が何倍も楽しいはず。そこで、『鎌倉殿の13人』がもっと面白くなる、「北条氏」を知るための3冊をご紹介しよう。

『「わきまえない女」だった北条政子』(跡部蛮/双葉社)

『「わきまえない女」だった北条政子』(跡部蛮/双葉社)

『鎌倉殿の13人』が100倍楽しめる必読書! キーパーソン・北条政子の意外な素顔とは

『鎌倉殿の13人』では、当然主役・北条義時の活躍が気になるところだが、小池栄子が演じる、初代将軍・源頼朝の妻・北条政子にもぜひ注目してほしい。『「わきまえない女」だった北条政子』(跡部蛮/双葉社)は、北条政子の生涯を詳らかにする一冊。政子といえば、「悪女」というイメージが強いが、実際には、男たちを従え政治を取り仕切った才女だったらしい。

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「鎌倉殿の13人」を定めたのも、実は政子だ。政子は、執権の義時を凌ぐほどの権力を誇っていたと言われているのだ。政子は常にあらゆる手を使って夫・頼朝と築いた「鎌倉殿」の「家」を守ろうとしてきた。そんな姿を知れば知るほど、政子の存在が魅力的なものとして浮かび上がってくる。彼女は、悪女ではなく、決してブレない女だったのだ。この本を読めば、ますます大河ドラマが楽しむことができるに違いないのだ。


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『北条氏の時代 (文春新書)』(本郷 和人/文藝春秋)

『北条氏の時代 (文春新書)』(本郷 和人/文藝春秋)

北条氏はどうのし上がった? 時政&義時がエグい! NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観るのが面白くなる入門書!

 大河ドラマにおいて「鎌倉時代」というと、少しマイナーなイメージだが、鎌倉時代は、実は日本史の大きな転換点だ。そう語るのは、日本中世史が専門の本郷和人先生。彼の著書『北条氏の時代』(文藝春秋)では、田舎の無名の一族だった北条氏がどうのし上がったのかが詳しく描かれている。

 時代の風を読み、謀略と暗殺を繰り返してライバルを次々と蹴落としていく北条氏の祖・時政はとんでもなくエグい! そんな時政と対立する、『鎌倉殿の13人』の主人公・義時も同様。やがて朝廷を打破して権力を手中にするのだが、最初は「いやいや私なんて」と断りつつも、やったらやったで徹底的に潰していくのである。

 鎌倉時代は始まりからその終焉まで、とにかくダイナミック。この本とともに、実際にあった歴史や説を知った上で、「ほほう、こう来ましたか!」と見れば、大河ドラマをより一層楽しむことができるだろう。


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『逃げ上手の若君 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)』(松井優征/集英社)

『逃げ上手の若君 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)』(松井優征/集英社)

『暗殺教室』松井優征の最新作『逃げ上手の若君』は、南北朝時代を描く歴史ファンタジー!

『魔人探偵脳噛ネウロ』や『暗殺教室』などのヒット作で知られる漫画家・松井優征氏。氏の過去作は魔人や謎の生物が登場するファンタジーな設定が多いが、最新作『逃げ上手の若君』(松井優征/集英社)は、いわゆる「歴史もの」だ。

 主人公は「北条時行」。歴史が好きな人でも一瞬「誰?」となるだろうこの人物は、鎌倉幕府の執権・北条高時の息子、文永・弘安の役で蒙古軍を退けた八代執権時宗の曾孫であり、義時の子孫だ。物語は、鎌倉幕府が足利高氏(後の尊氏)の離反により、突然の滅亡を迎えるところから始まる。時行は実在の人物だが、本作では当然漫画ならではのフィクション性も多分に盛り込まれている。そして、ストーリーは、「友情・努力・勝利」というジャンプお約束かつ痺れる展開が続いていく。松井作品のファンにはもちろんのこと、歴史ものが好きだという人にもオススメできる、非常に優良な作品だ。


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 武士が日本史の新たな主役として登場し、統治や法による支配に目覚めていく鎌倉時代。この時代は、知れば知るほど奥が深く面白い。あなたもいろんな本で知識を蓄えてみてはいかがだろうか。きっと大河ドラマ『鎌倉殿の13人』をますます楽しむことができるに違いない。

文=アサトーミナミ

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