なぜみんな「どうぶつの森」にハマっているのか?

公開日:2013/1/27

 「どうぶつの森」とは、動物たちが暮らす森で様々なイベントを楽しむゲームだが、シリーズ6作目となる『とびだせ どうぶつの森』は発売開始からわずか2週間で売上100万本を突破し、不振だった3DS本体も売れ行きをのばすなど、一躍大ブームとなっている。その人気の裏には「どうぶつの森」が持つソーシャル性が大きく関係しているようだ。

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 「日本経済新聞」のサイトで任天堂の社長である岩田 聡がインタビューに答えているのだが、そこで社長自ら「どうぶつの森は、ソーシャルゲームとしてもよくできている」と語っている。では、これほどまでに売り上げを伸ばした「どうぶつの森」が持つソーシャル性とは、一体どういうものなのだろうか?

 『ソーシャルゲームはなぜハマるのか ゲーミフィケーションが変える顧客満足』(深田浩嗣/ソフトバンククリエイティブ)によると、ソーシャルゲームの持つソーシャル性がもたらす、これまでのデジタルゲームとの違いには次のようなものがあるそう。

 まず1つ目は、「遊び始めるきっかけ」がふんだんにあること。GREEなどのソーシャルゲームは、友人から招待されたり、無料で始められるものが多いことから、気軽に始めることができる。

 『とびだせ どうぶつの森』は、プレイヤーたちがどこでもその画面を画像として保存することができるので、それをソーシャルメディアにあげて盛り上がるという現象が起きた。ただ単に「どうぶつの森が面白い!」とか、ゲームについて書かれるよりも、実際に画像として見ることで、より興味をそそられる。それに、ネットワークを通じて最大4人と同時に同じ世界で遊ぶこともできるので、ソーシャルゲームと同じようにクチコミや友達などの招待から始めるという人も多かった。

 そして2つ目は、遊び方の自由度・プレイの選択の幅が大きいということ。そもそもソーシャルゲームには明確なクリアというものがないものが多く、その点も「どうぶつの森」に当てはまっていた。

 また、本来ゲームのプレイヤーには大きく分けてアイテム収集やレベルUPなどの達成意欲が高いアチーバータイプと、新しいことを発見したり、冒険そのものを楽しむエクスプローラータイプ。他のプレイヤーと交流することを楽しむソーシャライザーや競争心が高く、他のプレイヤーに恐れられることを自慢に思うキラータイプの4つがあるそう。そして、『とびだせ どうぶつの森』はそれらすべてのタイプが満足できるような仕掛けがたくさん詰め込まれているのだ。

 たとえば、数え切れないほどの家具やアイテムをコンプリートするのには相当な時間がかかるが、それによってアチーバーの収集欲も刺激される。それに、買った値段より高く売ることができるカブと呼ばれるアイテムや岩を叩いて出てくるお金、宝石などで効率よくお金を稼げるのも彼らを惹きつける秘密。

 また、島限定のアイテムをゲットしたり、季節限定のイベントでレアアイテムをもらえることも。さらに、黄金の家具を作る方法や、違う色の花を並べて植えると新しい色の花ができることもあったりするので、エクスプローラータイプのようにその仕掛けを探す楽しみもある。

 そして、今回は村長となって村を運営したり、他のプレイヤーと互いの村を行き来することもできるので、ソーシャライザーにはたまらない。また、先にも述べたように最大4人と同時に同じ世界で遊んだりチャットを楽しむこともできるし、すれ違い通信によって他のプレイヤーの部屋を見ることもできるのだ。

 それに、『とびだせ どうぶつの森』では、家具や服を自らデザインして作り上げることができる。ネットでも、プレイヤーこだわりの洋服やアイテムが話題になっているので、それを見ればキラータイプの競争心もくすぐられるはず。

 ソーシャルゲームの人気拡大のかげで、衰退がささやかれるコンシューマーゲーム。しかし、ライバルともいえるソーシャルゲームの要素を上手く取り入れたことが、「どうぶつの森」の爆発的ヒットにつながったのかもしれない。