逆バトルロワイヤル!? 恐すぎる殺人鬼だらけの学校

マンガ

更新日:2013/3/7

 殺すか、殺されるか。そんな状況で繰り広げられる近年人気のバトルロワイヤルものだが、そこに“逆バトルロワイヤル”とも呼べる新機軸が登場した。2月28日に発売された『サイコメ1 殺人鬼と死春期を』(水城水城:著、生煮え:イラスト/エンターブレイン)は、自称一般人の高校生・神谷京輔が12人の人を殺した容疑をかけられ、殺人鬼を集めて真っ当にして社会に戻すための“再”教育施設「プルガトリウム更生学院」に入れられてしまったことから始まる。

 でも、この学校は右を見ても左を見ても殺人鬼だらけ。死んだ人にしか欲情できない少年や何回ボコボコにされても懲りないモヒカン野郎。肌身離さず凶器を隠し持っている少女に、常にガスマスクをつけた女の子。さらにまったく悪気はないのに、テンパるとコケて相手にエルボーを食らわせてしまったり、ヒザ蹴りしてしまう少女や何人殺したかなんて「いちいち数えちゃいない」からわからないという者まで。まさにバトルロワイヤルにはうってつけの舞台だ。

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 でも、本当の殺人鬼にはたまらないこんな状況も、冤罪で捕まった京輔にはたまったもんじゃない。そもそも、彼は大切な妹の綾花をいじめっこや言い寄ってくるヤンキーから守るために拳をふるってきただけ。しかし、あまりの強さから中学生時代にはすでに“虐殺王(スレイヤー)”や“百万人殺し(メガデス)”と呼ばれ、その強さは不良やチンピラだけでなく、ヤクザや暴力団にまで目をつけられるほどだった。それでも、彼は人を殺したことなどないし、殺す気もなかった。

 そう、これは殺すか殺されるかのバトルロワイヤルではなく、周りが殺人鬼だらけの学校でいかに誰も殺さず、自分も死なずに3年間生き残るか。そんな“逆バトルロワイヤル”的作品なのだ。

 しかし、“十二人殺しの殺人鬼”という彼の呼び名に惹かれて集まってくる生徒たちはたくさんいる。普通なら、そんな相手には怖がって誰も近寄って来たりしないのに、この学校の生徒はそうじゃない。驚嘆。羨望。嫉妬。いろんな意味で、みんな彼に興味津々なのだ。

 おまけに、京輔の肩書きに女子はもうメロメロ。12人殺しの噂が広まってから3日で、彼が告白された人数は10人。毎日下駄箱にはラブレターが入っているほどのモテっぷり。女子はもう完璧に彼の虜なのだ。今までは、告白した相手に土下座で謝られるほど恐れられていた彼がこんなにモテモテの学校生活が送れるなんて、まさに夢のよう。こんな場所なら案外悪くないと思うかもしれない。が、世の中そんなに甘くはなかった。

 告白と称して体育館裏に呼び出されると、「突きあってください!」と喉元目がけてサバイバルナイフを突きつけられたり、「神谷さんの『全て』が知りたいんですっ!」と言いながら解剖しようとしたり。ノコギリ片手に「お前を家具にして飾りたい」と言う人や「京輔くんを食べるの……一つになるの」と押し倒してくる者まで。いくらモテモテでも、こんな女子相手では命がいくらあっても足りない。殺人鬼だらけの学校でもらうラブレターほど、嬉しくないものはなかったのだ。

 さらに、危険なのは生徒だけじゃない。おかっぱで身長140cm。どう見ても小学生にしか見えないのに、容姿に似合わずどこからともなく鉄パイプを取り出し、気にくわないことがあったり生徒が始業チャイムまでに着席していないと容赦なくボコボコにする教師まで存在するのだ。休み時間や放課後。ところ構わずケンカをふっかけてきたり、隙あらば殺そうとしてくるクラスメイト。教師によって教室で繰り広げられる、血みどろの惨劇。殺人鬼と仲良く机を並べて勉強し、そんなところに3年も通う羽目になるなんて、普通の人なら絶対に耐えられない。

 おまけに食堂のメニューも「日替わり残飯定食」や「日替わり残飯うどん」、「日替わり残飯オムライス」に「日替わり残飯ハンバーグ」と、残飯メニューのオンパレード。もちろん味も激マズ。そして、部活の代わりに朝と夕方の6時から10時までたっぷり行われる刑務作業。校舎の修繕や草抜きといった雑用をひたすらこなし、それが終わるとコンクリート打ちっぱなしの牢獄のような寮へ帰る。

 果たして、こんな最悪な環境の中で京輔は無事に誰も殺さずに生き残り、綾花のもとへ帰ることができるのか? 気になる続きは、ぜひ本を読んで確かめて欲しい。