天体観測にうってつけの冬におすすめ星空文庫

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/22

空気が乾燥しているので、いろいろな星や惑星が、都会でも肉眼で見られ、冬は天体観測にうってつけの季節。疲れていても、ちょっとツイていないときも、見上げれば、キラキラ輝く星や月がきっと元気をくれるはず。

ダ・ヴィンチ』1月号では、流れ星や星、月にまつわるあらゆる文庫を特集。人がキラキラ輝けるためのヒントや思いがいっぱいつまった文庫を編集部が厳選して紹介。傷ついても、落ち込んでも、何かを後悔しても、それでも前を向くためのきっかけとなる1冊が見つかるかもしれない。

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■『プラネタリウムのふたご』 いしいしんじ 講談社文庫 770円
プラネタリウムで拾われたふたごのテンペルとタットル。やがてふたりは手品師とプラネタリウムの解説員になる。大人になるに連れ様々なデキゴトが彼らに降りかかるが、そこで知る大切なもの、コト。個性的な人物たちと紡ぐ、せつないけれど優しく温かい物語。

■『星に降る雪』 池澤夏樹 角川文庫 540円
田村は電波天文台に勤務している。20年来の親友・新庄を雪崩で亡くしてから、ニュートリノの数万光年ないし数億光年の旅路を想像し、メッセージを待っている。ある日、新庄の恋人が田村を訪ねてきて、埋められない喪失感を田村の身体で埋めようとするが……(表題作)。

■『星に願いを、月に祈りを』 中村 航 小学館文庫 730円
小学生の大介、麻里、アキオがホタルを探しに行くところから物語は始まる。3人は大人になり、恋をして、別れ、出会い、願いを抱く。月光、夢想、ラジオから聞こえる声、遠い約束、「どうか君の夜空に、優しい星が流れますように」というフレーズ。読後にじんわり心に響く。

■『一千一秒物語』 稲垣足穂 新潮文庫 662円
稲垣足穂の描く夜空の月も星も彗星も、饒舌である。そしてすこぶるユーモラス。しかも、王を惑わし、チョコレットに変身して、おもちゃの汽車の動力にもなる。大正から昭和にかけて活躍した作家の、見事なまでの斬新な表現力に瞬くのを忘れるほど夢中になれるはず。

同誌では、あなたの心をそっと導き照らしてくれる作品を全9作品紹介している。

構成・文=大久保寛子/ダ・ヴィンチ1月号「文庫ダ・ヴィンチ」