本当はエロい!? “官能的”グリム童話 ―白雪姫は毎夜7人のこびとに愛されて…

社会

2015/8/11

 1998年に出版された『本当は恐ろしいグリム童話』(桐生操/ベストセラーズ)。小さい頃から親しんできた「白雪姫」や「シンデレラ」の、残酷で猟奇的な真実のストーリーに人々はおおいに興味をそそられ、空前の“怖い童話”ブームを巻き起こした。当時、そのグロテスクな内容に圧倒されつつも、ぐいぐい読み進んでしまったという人は多いハズ。

 実は、グリム童話を編纂したグリム兄弟というのは、ただの作家ではなく、民間伝承の物語を収集した研究者。だから、単に子供たちを喜ばせるためだけに書かれたのではなく、世相を表すような心の奥底に眠る暗い一面が浮き彫りにされたのだ。

 グリム童話の真実がさらされてから20年近くが経つ。その間、さまざまな類似の恐い童話集が刊行された。そして、このほど出版された『大人のためのエロティック童話13篇  美女と野獣 他』(ナンシー・マドア/ハーパーコリンズ・ ジャパン)は、子供にはまだ芽生えていない、大人の心の内に秘められた闇に彩られている…。

 作者はアメリカの女性作家。グリム童話や古くから伝わるおとぎ話をエロティックにアレンジしたという。だから、まったくもって、女性にひたすら優しいエロでまとめられている(つまり、男性には少々物足りないかもしれない。しかし、いざという場面で参考になるかもしれない)。というわけで、収録された13篇の中から誰もが知る物語のいくつかを紹介しよう。

■「シンデレラ」

 今年の春、実写映画化された『シンデレラ』。定石通りのロマンチックなストーリーが、子供だけでなく大人の心もがっちり鷲掴み。大ヒットを記録した。が、本書では知られざるその後の物語が展開される。実は、王子様はエッチが下手くそで、シンデレラはその幼稚な遊戯に飽き飽きしていたというのだ。

 そこへ再び、あの魔法使いのおばあさんが登場。シンデレラの足を固く締め付けていた美しいガラスの靴の代わりに、ピンク色の世にも柔らかな靴を与えた。その圧倒的な心地よさがシンデレラの心とカラダを解放。シンデレラは、夜の営みで自身の実力を発揮し、王子様をリードしまくり。そして、マンネリ化していた2人は極上の喜びに浸り、再び「めでたし、めでたし」となる寸法だ。シンデレラのあられもないリード方法は本書でお確かめを。

■「青ひげ」

「青ひげ」といえば、青いひげを蓄えた金持ちの男に、妻が次々と殺されるという話。新しく妻となった女性は、青ひげから鍵束を渡され、「小さな鍵の小部屋にだけは入ってはいけない」と忠告を受けるも、好奇心に負けてその部屋に入り先妻の遺体を見つけてしまう…。

 本書ではこの恐ろしい物語が、今年映画化された官能小説『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(E L ジェイムズ:著、池田真紀子:訳/早川書房)の世界へチェンジ。なんと「小さな鍵の小部屋」とは、SMプレイの部屋だったのだ。新妻は殺されることを覚悟するも、めくるめく官能の世界へと誘われる…。「小さな鍵の小部屋」で存分に楽しんだ青ひげと新妻は、いつまでも仲睦まじく暮らすのであります。

■「白雪姫」

『本当は恐ろしいグリム童話』では、実は白雪姫と実の父親である王様が、近親相姦の関係にあったという。鏡に美しさを問うまでもなく、王妃が白雪姫を城から追放して当然である。おぞましいことこの上ない。

 が、もしかすると、本書の白雪姫の方がもっとおぞましいかもしれない。継母に殺されかけて7人のこびとの家で暮らすことになった白雪姫は、毎夜7人のこびとのお相手をするのだから。ただ、本書においてこびとたちの正体は、魔女に呪いをかけられた7人の王子様たち。毎夜、白雪姫と順にキスを交わして本来のイケメン王子の姿に戻り、8人でプレイにいそしむのである。白雪姫の体力にビックリだ。その結果、死にかけた白雪姫を救った本来の王子様はフッて、白雪姫は7人のこびとたちと幸せになりましたとさ。

 童話らしく、すべてハッピーエンドである。お姫さまがどんなにひどい仕打ちを受けようとも、その後は必ず王子様が最高の癒しを与えてくれる。いろんな意味で気持ちよ~く読み終えられること請け合いだ。事細かな描写は、ぜひ本書を確認されたい。

文=林らいみ