「アダルトDVD送りつけ被害」から「美味しく減塩するコツ」まで 国民生活センター「くらしの豆知識」充実の内容とは

暮らし

2015/9/7

 独立行政法人「国民生活センター」が毎年出している『2016年度版 くらしの豆知識』。なんと今年で44冊目というから、かなり長いこと出版されている本だ。しかし書店で見かけることがまれ(あることを知らない、もしくは興味がないので見ていないだけかも?)で、見た目も地味(ハンディサイズで表紙だけ見ると無料配布の冊子っぽい)、中身は青と黒の2色刷り(最近では珍しい)という「知る人ぞ知る」存在なのだ。

 そもそも「国民生活センター」とは何をしているところなのか? 本書には「法律によってつくられた、消費者のための国の機関です。くらしをよりよくするために、全国の消費生活センター等と協力して、くらしに役立つ情報を提供しています。消費生活センター等が行う相談業務を支援するとともに、裁判外紛争解決手続(ADR)を実施しています。さらに相談解決のための商品テストなどを行っています」とある。日常で起こる様々なトラブルの情報を集めて対処し、それを年に1回、重要な情報をまとめて一気に放出するのが『くらしの豆知識』なのだ(ちなみに『国民生活』という月刊のウェブマガジンもある)。

 今年は「身近にひそむ危険を防ぐ」という巻頭特集があり、製品による事故や健康被害など思わぬ危険から身を守り、安全に暮らすための情報が掲載されている。「高齢者に多い家庭内事故の予防と対策」「子どもの事故」「家電製品を長く安全に使うために」といった情報があり、本書の欄外にはその問題が起こった時に相談できる場所の電話番号や、さらに多くの情報があるウェブサイトなどが掲載されている。

 他に特集されているのは、今やすべての世代がトラブルや悩みを抱えるインターネットに関する「あんしんネット案内」、揉める前に読んでおきたい「よくわかる契約Q&A」「契約トラブル注意報」、若い人向けの「消費生活入門―ひとり立ちのために」、教育資金から投資、保険などに関する問題をまとめた「ライフ&マネープラン」、2015年4月に施行された新しい食品表示法や食について解説する「食生活の知識」、高齢社会を考える「セカンドライフを楽しむ」、医療関係などについて知る「健やかなくらし」、変わる前に、そして変わったことを知っておきたい「変わる制度」、様々な問題を扱う「こんな場合は、どうすれば?」、最後には「資料編」という全124の豆知識が見開き2ページ、もしくは1ページにコンパクトにまとめられていてかなりの読み応えがあり、意外な発見もあった。

 例えば「契約トラブル注意報」にある「アダルトDVDの送りつけに注意」では、これまで蟹などの魚介類や果物、健康食品などが勝手に家に送りつけられ、後日請求書が送られてくるというトラブルがあったが、2014年はアダルトDVDの送りつけが複数発生したそうだ(ひどい場合は「代金を払え」と電話がかかってくることもあるというから怖い)。しかし何の連絡もなく一方的に送られてきたものは「特定商取引法」で「送付された日を含む14日間保管して15日目以降は処分してよい」ことになっているそうだ。

 他にも自動車内での事故のことや、口約束だけで契約が成立するのかどうか、NISAでの投資について、がん保険に入る前に考えること、大人の食品アレルギーが増加している問題、高齢者が安全に楽しく登山するにはどうしたらいいのか、美味しく減塩するコツ、お墓の引っ越しについて、ギャンブル依存症かと思ったらどうしたらいいか…などなど、ものすごい幅広いトラブルについてきっちり解説されている。

 政府刊行物なので少々記述は固いが、値段も手頃(476円+税)なので、一家に一冊あると便利だ。思わぬトラブルになる前に目を通しておけば、様々な問題に冷静に対処できることだろう。

文=成田全(ナリタタモツ)