ジャニーズ初の小説家・加藤シゲアキが描く、破滅に向かう若者たちの姿が切なすぎる!

文芸・カルチャー

2016/1/6

ジャニーズのNEWSといえば、誰もが知っている人気アイドルグループだ。そのメンバーでありながら、1年に1冊、コンスタントに新作を発表し、新進作家としても評価が高い加藤シゲアキの、記念すべき作家デビュー作『ピンクとグレー』(KADOKAWA)の人気が衰えない。2012年の発売以来、発行部数は今や25万部突破。漫画化、文庫化に続き2016年1月には『GO』の行定勲が監督、Hey! Say! JUMPの中島裕翔主演による待望の映画版が公開されるなど、いまだ話題に事欠かないこの作品。何がこんなにも人を惹きつけるのか?

「ジャニーズ初の現役アイドル作家」という言葉にそそられる人は確かに多いだろう。私も興味本位でこの本を手にしたひとりだ。が、読み始めて驚いた。ひやかし気分で読み出したことが申し訳なくなるほど、作者の言葉の選び方が美しいのだ。冒頭、まるで水彩画のように透明感のある文章で、心に屈託を持つ青年の姿を繊細に描き出していく。その屈託の原因が、人気俳優「白木蓮吾」にあることはわかるが、それは言葉尻に仄めかされるだけ。一体二人はどんな関係なんだろう? 好奇心が掻き立てられて読み進めていくうちに、いつの間にか物語世界の虜になっている。

大阪から横浜へ越してきた小学生の河田大貴は、新居となるマンションで、同い年の鈴木真吾、石川、木本の3人と出会い、「スタンドバイミーみたい」な濃い友人関係を築く。木本、石川とは彼らの転校によって交流が途絶えてしまうが、大貴と真吾は私立の大学附属中学に揃って進学、常に一番近い友達であり続ける。あまりにも優しく繊細な真吾の、我慢の沸点を越えた時に見せる、狂気を孕んだ破滅的行動が恐ろしくも切ない。そんな真吾をなんとか守ろうとする大貴。恋愛をも超越する、まさに一心同体的存在であった二人。しかしそれが様々な偶然から、「白木蓮吾」「河鳥大」としてそれぞれ芸能界で活動を始めた時、歯車は狂い出し、二人の関係が軋み始める。共に高みを目指したはずが、溝はどんどん深まり、ついに訪れる決別の時…。そしてそれは、さらなる衝撃的な事件、悪夢のような、それでいて「絶望的に素晴らしい」結末へと二人を駆り立てていく。

細やかな描写によるゆったりとした印象の前半と、事件を挟んで怒涛のようなスピード感で一気に語られる後半とのコントラストは鮮やかだし、フラッシュバックのように突然挟まれるシーンのインパクトも強烈だ。唐突すぎて違和感を覚えることもあるが、実はこれが物語の伏線になっていて、その本当の意味がわかった時、思わず「あ、やられた!」と悔しくなるほど。物語の構成もよく練られていて、読み出したら最後、結末まで一気に持っていかれてしまう。「アイドル」なんて色眼鏡で見て、食わず嫌いしていたら絶対にもったいない、極上の青春エンターテインメント作品だ。

文=yuyakana

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